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『…全く。お前は幾らやっても処女のようだな』
逃げようとするラダマンティスの手を、双子のどちらかが捕らえた。口振りから察するに、カノンだ。
ラダマンティスは、恐怖よりも羞恥心が勝って身じろぎをするが、掴まえた手の力は尋常ではなく、万力のように腕を押さえ付けた。
『…安心しろ。抵抗しなければ私もお前に苦痛を与えはしない』
もう一人の法衣を着ていたサガが跪くと、恐怖で縮み兼ねないラダマンティスのイチモツを銜え込んだ。実は、それだけでラダマンティスの身体に電流が走った。
同時にやめろ、と叫んだが二人とも耳を貸さなかった。
一応、抵抗を防止する為に、背後からカノンに両腕を掴まれて押さえられていた。抵抗できなくなったラダマンティスをサガが前から銜え込む。
ラダマンティスは弱点とも言える性器に吸い付かれ、サガの卓越した舌捌きに身体の底から熱くなって力が抜けていく感覚に陥った。感じるまいと必死に感覚を遮断しようにも、身体の随まで直接刺激されていくような感覚に抗い切れない。
『あっ、ああっ…やめ…。やめてくれ…』訴えにすら唾液が混じりそうになる。
自分が酷く感じやすい身体だからそうなるのか。
それ以前に、サガの舌捌きもまた相当に上手かった。心は抵抗しようとしていても、身体は徐々に熱くなり、降伏するかのようにイチモツが固くなっていく。それは実際銜えられてから一分も経たない内のことなので、自分の身体の反応の早さに、ラダマンティスは心底自分が情けなくなった。
サガは完全に固くなったラダマンティスのイチモツから口を離し、恍惚と舌先で汁を滴らせる鈴口を舐め上げた。
『身体の方は随分と素直になったな…。可愛い子だ』
その言葉に、ラダマンティスは身じろぎをして顔を逸らした。咄嗟に振りほどこうとしたが、両手首をしっかりとカノンに掴まれているのでそれも不可能だった。
再びサガが喉の奥までそれに銜え付く。清楚な顔付からは想像も付かない、情熱的かつ貪欲なフェラチオだった。ラダマンティスもまたその技巧に身体を捩り、吐息を漏らし唾液に塗れた叫びを上げた。
それと同時に、ラダマンティスは後ろから押さえ付けているカノンの熱いイチモツが自分の臀部に当たっていることに気付き始めた。うなじに感じる吐息が欲望にも似た情熱を帯びている。
『…サガ、そっちはもう良い。そろそろ、後ろの穴を可愛がってやったらどうだ?』
後ろなどと遠回しなことを言っているが、それが何処で何をされるか今までの行為で経験済みだった。こいつらは人を抑えてペニスを舐め回すのが趣味ではない。こんなのほんの前戯の一つで、専らの目的はここだ。
『…そうだな』サガはそう言いながら、足下においてあった小さな壺を手繰り寄せ、中の香油をたっぷりと指に絡め始めた。
その小さな壺が一体何で、その蜂蜜のような濃厚な香油が一体何なのか、何の目的で付けているのか、ラダマンティスは今までの経験で十分に知っていた。
そこで初めてラダマンティスは尚更激しく抵抗を始めた。だが、これらの抵抗も全て想定内なので、幾ら暴れても後のカノンは万力のように彼の身体を固定し、実際のところ大した抵抗もさせてもらえなかった。
それでも香油塗れの指が臀部を伝って割れ目に達しそうになるのを感じると、殊更激しく抵抗した。
『暴れるな。大事なところを喰い千切られたくなかったら、大人しくするのだ』
銜え込んでいたイチモツから口を離し、紺碧の目でサガに睨み上げられると、ラダマンティスはまるで蛇に睨まれた蛙のように身動きが取れなくなる。清楚でかつ情が深そうな物腰だが、その眼は躊躇なく男根を切断しかねないようなそんな冷徹さを含んでいた。
実際のところ、こいつらなら抵抗次第で切りかねない。そう言った恐怖がラダマンティスから抵抗の意思を奪っていた。
身体の力を抜いた一瞬の隙に、指が肛門に滑り込んだ。それは、本当に一瞬の内で、潤滑油で程よく滑っているので苦痛を覚える暇もなかった。ただ、拡張された痛みがじわりと後を追って来た。
指の太さに馴らして具合を確かめた後、それは弄るように腸壁を撫で始めた。
『ふ…ぅ』腹の底から来る圧迫感に、ラダマンティスは少し声を漏らした。 時々指が出入りする粘液質な音を聞いて、ラダマンティスは更に顔を赤らめ、閉じていた眼を更に固く閉じた。それと同じぐらい、この男の括約筋も固かった。まるで侵入する全てのものを排除するかのように固く閉じて締め上げた。
耳まで真っ赤にして羞恥に震えている様を背後から監察しつつ、抑え役に徹しているカノンが聞いた。
『…どうだサガ?そっちはもう使えそうか?』
サガは指で探りつつも『まだまだだ』と言った。
『流石に恥ずかしいのか、こっちはまだ抵抗している。使えるようになるまで少し時間が掛かるな』
このままの状態で突っ込んだら、きっと裂けてしまうだろう。
そう言った苦痛はこの二人の好むところではないので、たっぷりと時間を掛けて馴らす。
『使える』状態がどう言うものかもラダマンティスは今までの経験で分かっていた。ただ単に挿入可能にするだけではない。その時の屈辱を思い起こすと、ラダマンティスはまた抵抗を始めた。
抵抗と言うか、既に哀願そのものだったが。
『…やめろ、やめてくれ。そこだけはやめろ。そこはそう言う為に使うところではない!』
その言葉での抵抗に一体どれだけの意味があるのか。今まで同種の言葉を多く口にして来たが、二人は耳を貸さなかった。
それどころか、
『そことはどう言うところだ?…一体何に使うのだ?』
意地悪のようにカノンが後ろから聞いて来た。
『………』ラダマンティスは答える術を持たない。腸壁を這い回る指の感触に苛まれつつ、呻くような声で漏らした。 『お前等の好きなことだ…』
『…ふうん』後ろから押さえ付けているカノンは鼻を鳴らした。
『オレ達は一体どう言うことが好きなんだ?曖昧な返答ではオレ達には伝わらんぞ』
十分に分かっているからこの種の質問を繰り返すのだ。分かっているくせに、ラダマンティスは悔しげに唇を噛んだ。
例え具体的に答えたところで、こいつらが止めてくれることはないだろう。
『変態どもめ…』
これが、この状況でできる唯一の言葉の抵抗だった。その言葉に反応してか今までフェラと性感マッサージに甘んじていたサガが顔を上げた。
『…では、その変態相手に感じているお前は何だ?』
そう言いながら、指で一番感じやすいポイントを押し上げて来た。腹の奥にじわりと痺れが走る。
『………』ラダマンティスは答える術を持たなかった。
局所を弄るサガの指は最初は軽く押し上げて、徐々に感じる辺りを中心に擦り上げていく。同時にフェラもするので、ラダマンティスはたちまち自分の何処が感じているのか分からなくなった。
思わず漏れそうになる声を噛み殺して、ラダマンティスは必死に感じるまいと感覚を遮断しようとした。だが、遠ざけようとすればする程身体の中で湧き起こった痺れは反響し、身体が徐々に熱くなっていく。
我慢できなくなったのか、後ろからカノンがうなじや耳元にむしゃぶりついてきた。くすぐったさに似たぞくりとする感覚に我慢できずは皮膚を粟立たせ身体を捩らせた。
そして、カノンは耳元に欲情の吐息を掛けながらラダマンティスの耳に囁く。
『…どうした?気持ち良かったら鳴いても構わんぞ?』
そう言われるとラダマンティスは余計に鳴くまいと声を抑えた。
『…だっ、誰がこんなことをされて鳴くものか…』
それが、この状況で言える唯一の虚勢だった。その言葉を聞いて再び双子が鼻で笑う。サガも、
『…私とてお前を無理に鳴かす気は無い。自分から鳴かれる方が興奮する』
そのまま、まるで堪えるのを楽しむかのように感じるところを指でくすぐり、擦り上げて来た。それだけで熱い塊が腹の底から脊髄を伝って込み上げて来る。
耐え兼ねてラダマンティスの太腿がびくりと撓った。漏れそうになる呻きを必死で堪える。声にならない声が宙を掻き、喉が掠れた音を立てた。
『精々堪えることだ。そんなお前が耐え兼ねて鳴く瞬間が一番興奮する』
既に感じていることが前提になっているのがラダマンティスにとって何よりもの屈辱だった。
それからは誰も口を開かない。ただ、明るいか暗いのか良く解らないこの部屋の中で、粘膜を掻き乱す音だけが聞こえる。潤滑油の香油が塗りたくられ、それで奥まで丁寧に解されていた。物理的には既に挿入可能だった。だが、それだけではこの二人は済ませてくれない。
ラダマンティスは体内を指で弄ばれたまま、身体を細かい震えが襲って小波のように快楽がせり上がって来る感覚に苛まれた。視覚や触覚などの一切の情報を遮断しようとしても、この耳障りな粘膜を掻き乱す音からは逃れられない。
それは時として酷く卑猥で、指が身体の奥深くに滑り込む音とそこから派生する感触に、ラダマンティスは奥まで開かれた自分の身体を思い出して身震いした。
ラダマンティスは既に気をやりそうになっていた。それだけ指の動きが巧みで、もう少しこの身体が淫猥に作られていたら、自分から腰を捩っただろう。当然のことながらこの双子は彼の身体がそうなることを望んでいるが。
出しそうな声を必死に堪えながら、潤滑油がまるで愛液のように細かく震える太腿を滑った。
もう少しでイク、そう思った瞬間に指が抜かれた。急にラダマンティスの身体を虚脱感が襲う。そして、せり上がっていた快楽の小波は行き場を失って身体の中をくすぶった。
『………』これが一体何を意味しているか分かっているラダマンティスは、屈辱にきつく眼を閉じて声にならない声を漏らした。この双子は、まるで手に取るかのようにこの男が絶頂に達してしまう瞬間を感じ取ることが出来る。
耳元で茶化すようにカノンが囁いた。
『…今回は何回堪えられるかな?』
ラダマンティスは、恐怖とそれに勝る屈辱に喉を鳴らした。
指責めを行っているサガも、情欲に塗れた双眸をサディスティックに光らせた。
何とこれで、まだ序章にしか過ぎないのだ…。