シューベルト/八重奏曲

アンドレ・ピシャル(1992)
CD(Harmonia mundi HMT-7901440)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    バスーン(ファゴット)のための

 アンサンブル・ヴァルテル・ブイケンス
 ヴァルテル・ブイケンス(クラリネット)
 アンドレ・ピシャル(ホルン)
 ブライアン・ポラール(バスーン)
 マリータ・コロセク(ヴァイオリン)
 ペーター・ディスピーゲラーレ(ヴァイオリン)
 テレーゼ=マリー・ギリッセン(ヴィオラ)
 ロエル・ディエルティーンス(チェロ)
 エティエンヌ・シーベンス(コントラバス)
 録音 1992年10月

 ベルギーのクラリネット奏者ヴァルテル・ブイケンスを中心としたアンサンブル・ヴァルテル・ブイケンスによるシューベルトの八重奏曲です。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから良い響きを出しています。ホルンとクラリネットが良い響きを出しています。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。コロセクのヴァイオリンとブイケンスのクラリネットが甘い響きで主題を歌います。続くピシャルのホルンはフランス系のホルンのように明るくまろやかな音色で演奏しています。良い響きです。展開部は弦楽が密度の濃い演奏をしています。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はバスーン(ファゴット)に始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロが高らかに歌われて終わります。
 第2楽章:アダージョはブイケンスのクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。重なるヴァイオリンの響きもまた美しいです。中間部ではホルンのソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話が大変きれいです。後半も緻密なアンサンブルが聴かれます。コーダのコントラバスのピツィカートも良い響きです。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。ブイケンスのクラリネット、ピシャルのホルンが良い響きを出しています。クラリネットとファゴットが大変よい響きを出しています。トリオの演奏もきれいな響きで、楽しいスケルツォです。ホルンの高音がよく響きます。
 第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のバスーンとホルンの絡みもきれいです。ピシャルの吹くホルンの第3変奏は深くて大変よい響きです。ヴァイオリンもきれいです。続くチェロの第4変奏もまた良い響きを出しています。第5変奏は勢いがあります。ヴィオラの響きがよく聞こえています。第7変奏も木管の響きが素晴らしい。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が流麗に歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。クラリネット、バスーン、弦楽器のユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。バスーンの響きが素晴らしいです。
 第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な響きの前奏が大変緊張感のある演奏です。続くアレグロは見事な演奏です。細かいフレーズの演奏が素晴らしいです。まさに小さなオーケストラのように素晴らしいアンサンブルです。
演奏時間62分56秒。


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