シューベルト/八重奏曲

フォンス・フェルスパーンドンク(2017)
CD(Gutman Records CD181)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    バスーン(ファゴット)のための

 カメラータ RCO
 マルク・ダニエル・ファン・ビーメン(ヴァイオリン)
 アンネベト・ヴェーブ(ヴァイオリン)
 イェルン・ウードストラ(ヴィオラ)
 マルチェ=マリア・デン・ヘルデル(チェロ)
 オリフィエル・ティエリー(コントラバス)
 ヘイン・ヴィーディク(クラリネット)
 ヨス・デ・ランゲ(バスーン)
 フォンス・フェルスパーンドンク(ホルン)
 録音 2017年12月19日ライヴ

 ロイヤル・コンセルトヘボウのメンバーで編成されたカメラータRCOによるシューベルトの八重奏曲です。
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから良い響きを出しています。ホルンとクラリネットが良い響きを出しています。続くアレグロでは速めのテンポで整然としたアンサンブルが聞かれます。ヴァイオリンとクラリネットがよい響きで主題を歌います。続くフェルスパーンドンクのホルンは元気の良い演奏できれいな響きです。提示部のリピートはありません。展開部は弦楽が密度の濃い演奏をしています。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はバスーン(ファゴット)に始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロが高らかに歌われて終わります。
 第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。重なるヴァイオリンの響きもまた美しいです。中間部ではホルンのソロがきれいな響きで歌われますが、ヴァイオリンとの対話も大変きれいです。後半も緻密なアンサンブルが聴かれます。コーダのコントラバスのピツィカートも良い響きです。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。クラリネットとホルンが良い響きを出しています。ホールの残響が素晴らしいです。クラリネットとファゴットが大変よい響きを出しています。トリオの演奏もきれいな響きで、楽しいスケルツォです。ホルンの高音がよく響きます。
 第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のバスーンとホルンの絡みもきれいです。第2変奏は良い響きを出しています。フェルスパーンドンクの吹くホルンの第3変奏は大変よい響きです。ヴァイオリンもきれいです。続くチェロの第4変奏もまた良い響きを出しています。低音がきれいに響きます。第5変奏は勢いがあります。ヴィオラの響きがよく聞こえています。第6変奏は弦楽が素晴らしい響き、第7変奏は速いテンポで管楽器の響きが素晴らしい。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が流麗に歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。クラリネット、バスーン、弦楽器のユニゾーンの美しい響きもあって、優雅なメヌエットです。バスーンとホルンの響きが素晴らしいです。
 第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な響きの前奏が大変緊張感のある見事な演奏です。続くアレグロは見事な演奏です。細かいフレーズの演奏が素晴らしいです。まさに小さなコンセルトヘボウのようで素晴らしいアンサンブルです。
演奏時間55分37秒。


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