シューベルト/八重奏曲
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CD(LIVE CLASSICS LCL 101)
シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
コントラバス、クラリネット、ホルンと
ファゴットのための
オレグ・カガン(ヴァイオリン)
パーヴェル・ヴェルニコフ(ヴァイオリン)
ユーリ・バシュメット(ヴィオラ)
ナターリャ・グートマン(チェロ)
イリー・パーヴィアイネン(コントラバス)
エドゥアルト・ブルンナー(クラリネット)
ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)
ヴァレリー・ポポフ(ファゴット)
録音1985年7月26日ライヴ
フィンランド、クフモ室内楽音楽祭
ロシアのヴァイオリニスト、オレグ・カガン(1946〜1990)を中心としたメンバーによるシューベルトの八重奏曲です。フィンランドのクフモ室内楽音楽祭でのライヴ演奏です。チェロのナターリャ・グートマンは夫人です。ヴィオラがバシュメット、クラリネットがブルンナーという錚々たるメンバーに新人ヴラトコヴィチのホルンが入ります。
シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間近くかかるる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
第1楽章は前奏のアダージョから緊張感漂う演奏です。ホルンとクラリネットがよく響きます。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。カガンのヴァイオリンとブルンナーのクラリネットが良い響きを出しています。続くヴラトコヴィチのホルンも滑らかで素晴らしい響きを出しています。弦楽はカガンの強烈なタッチも合って巨匠たちの気迫が感じられます。展開部は弦楽アンサンブルの響きには圧倒されそうで素晴らしい演奏です。この楽章では同じ音型が楽器を変えてなんども繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれていきますが、凄い気迫に満ちた演奏です。バシュメットの存在感は大きいです。そして最後はホルンのソロが高らかに歌われて終わります。
第2楽章:アダージョはブルンナーのクラリネットで始まります。そしてカガンのヴァイオリンのソロ、クラリネットとファゴットのユニゾーンの美しい響きは格別です。ここでも弦楽の響きが特徴的でバシュメットのヴィオラとグートマンのチェロがよく響きます。中間部ではヴラトコヴィチのホルンのソロが素晴らしい響きで歌われますが、カガンのヴァイオリンがまた大変よく響きます。グートマンのチェロの深い響きもまた聴きものです。ポポフのファゴットの響きも感動的で、大変緊張感のあるアダージョです。コーダのコントラバスのピツィカートは強烈に響きます。
第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。勢いのある演奏は小さなオーケストラのようです。ブルンナーのクラリネットが大変きれいです。弦楽のアンサンブルが強烈に響きます。トリオの弦楽合奏が大変素晴らしい響きです。後半のホルンが良い響きを出しています。
第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏の弦楽とファゴットとホルンの絡みが大変きれいです。第2変奏は勢いがあります。ヴラトコヴィチの吹くホルンの第3変奏は朗々として大変よい響きです。絡むヴァイオリンがまたよく響きます。続くチェロの第4変奏はグートマンが良い響きを出しています。ヴァイオリンとクラリネットが対話しています。第5変奏は勢いがあり緊張感も感じられます。ピツィカートが凄いです。穏やかな第6変奏にも緊張感があります。弦楽の素晴らしい響きには圧倒されそうです。第7変奏の管楽器の響きはテンポが速いですが素晴らしいです。弦楽も強烈に響きます。信じられないような名演です。
第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章ですが、この演奏は気迫に満ちた演奏で驚きます。クラリネットが歌う哀愁的な主題が弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。ホルンが大変良く響きます。そして弦楽がよく響くメヌエットです。トリオのクラリネットとファゴットも大変きれいです。
第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な響きの前奏が強烈です。続くアレグロはオーケストラのような素晴らしいアンサンブルで圧倒的な演奏です。大変良い響きを出しています。クラリネットの細かいフレーズと弦楽の素晴らしいアンサンブル、これは管楽器だけでなく弦楽のパートを強調した最高の演奏です。素晴らしいアンサンブルです。この作品のイメージを一新してくれます。大絶賛、拍手喝采したい超名演、ブラボーです。
演奏時間59分46秒。 |
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