シューベルト/八重奏曲

ペーター・アルノルト(1995)
CD(ARTE NOVA BVCC-6035)

シューベルト/八重奏曲ヘ長調Op166、D803
   〜2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
    コントラバス、クラリネット、ホルンと
    ファゴットのための

 ミトゥラス八重奏団
  トーマス・ヘンケマイアー(ヴァイオリン1)
   クリストフ・メンツェル(ヴァイオリン)
   ヴェルナー・エールブレヒト(ヴィオラ)
   クリラウディア・リンペリグ(チェロ)
   トーマス・シュライバー(コントラバス)
   ペーター・プリツェベラ(クラリネット) 
   ウルリヒ・リンデルレ(ファゴット)
   ペーター・アルノルト(ホルン)
   録音1995年4月&5月

 ミトゥラス八重奏団はドイツのザールブリュッケン放送交響楽団のメンバーによって結成された団体です。ホルンのペーター・アルノルトはソロ活動もしています
 シューベルトの八重奏曲は演奏に1時間もかかる大曲で室内アンサンブルのための交響曲といえます。1824年に書かれており「未完成」と「ザ・グレート」の間になります。シューベルトはホルンを大切にした曲が多いのですが、この曲にも重要なメロディーを吹かせています。
 第1楽章は前奏のアダージョから厚い響きを出しています。続くアレグロでは整然としたアンサンブルが聞かれます。ヴァイオリンとクラリネットが素晴らしい響きで歌います。続くアルノルトのホルンは滑らかで良い響きの演奏です。展開部も緻密なアンサンブルで素晴らしい演奏です。この楽章では同じ音型が楽器を変えて幾度も繰り返されます。再現部はファゴットに始まって主題が各楽器に受け継がれながらホルンのソロが高らかに歌われて終わります。第2楽章:アダージョはクラリネットで始まる穏やかな雰囲気がきれいです。木管のユニゾーンの美しい響きは格別です。中間部ではホルンのソロが歌われますが、ヴァイオリンとの対話もまた大変きれいです。ファゴットの響きも素晴らしいです。コーダのコントラバスのピツィカートはよく響きます。
 第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェは快活なスケルツォです。ヘンケマイアーのリードするアンサンブルは流麗な演奏をしています。ホルンの高音がよく響きます。クラリネットとファゴットが大変よい響きを出しています。楽しいスケルツォです。第4楽章:アンダンテは主題と7つの変奏曲、シューベルトの歌劇「サラマンカの友人」から使われた主題に始まります。クラリネットとヴァイオリンが良い響きで演奏しています。第1変奏のファゴットとホルンの絡みもきれいです。アルノルトの吹くホルンの第3変奏は大変よい響きです。ヴァイオリンもきれいです。続くチェロの第4変奏もまた良い響きを出しています。第5変奏は勢いがあります。変化に富んだ7つの変奏曲は名作といえましょう。
 第5楽章:メヌエットはこの曲の中でも最も美しいといえる楽章です。クラリネットの美しい主題が歌われ弦楽器、ホルンに受け継がれていきます。アルノルトのホルンは明るいです。トリオのファゴットの響きも素晴らしいです。第6楽章:アンダンテ・モルト〜アレグロはシューベルトの音楽の美しさがあります。劇的な前奏に続くアレグロはオーケストラのような素晴らしいアンサンブルです。まさに小さなオーケストラです。
演奏時間63分37秒。


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