J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

バリー・タックウェル他(1959)
CD(EMI 50999 21761720)2枚組

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.      〃       第2番ヘ長調BWV1047
3.      〃       第3番ト長調BWV1048
4.      〃       第4番ト長調BWV1049
5.      〃       第5番ニ長調BWV1050
6.      〃      第6番変ロ長調BWV1051
7.2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調
  BWV1043
8.ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調BWV1042

 ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)
           (1、2、4、5、7&8)
  ジャネット・クラクストン(オーボエ)(1&2)
  バリー・タックウェル(ホルン)(1)
  アーチー・キャムデン(ファゴット)(1)
  クリストファー・テイラー(リコーダー)(2&4)
  リチャード・テイラー(リコーダー)(4)
  エレーヌ・シェーファー(フルート)(5)
  デニス・クリフト(トランペット)(2)
  ジョージ・マルコム(チェンバロ)(5)
  ユーディ・メニューイン(ヴィオラ)(6)
  パトリック・アイアランド(ヴィオラ)(6)
  アンブローズ・ガウントレット(ガンバ)(6)
  デニス・ネスビット(ガンバ)(6)
  クリスチャン・フェラス(ヴァイオリン)(7)
  ユーディ・メニューイン指揮
     バース音楽祭管弦楽団
      録音 1959年7月(1〜6)
          1958年10月(7&8)

  ステレオ初期にメニューインが録音したバッハのブランデンブルク協奏曲全集です。このオーケストラには20代のタックウェルが参加していました。またフィルハーモニアのフルート首席だったシェーファーは5番でソロを吹いています。
  第1番では明るい響きのバッハが素晴らしく、弦楽のバックにホルンやオーボエが鳴り響くところはいつ聞いても楽しいです。メニューインのバッハは古さを感じさせないもので当時のリヒターやバウムガルトナーと並ぶ名演といえましょう。ホルンはタックウェルが吹いていますが1番か2番かは不明です。2人のホルンはレガートのきれいな演奏で、第3楽章のアレグロでも見事な演奏になっています。第4楽章のメヌエットではホルンとオーボエが大活躍しますが、第2トリオのホルンのうまさは抜群です。
  第2番はトランペットが華やかに演奏します。ピッコロトランペットが響きがきれいです。第2楽章はヴァイオリン・ソロとオーボエ、リコーダーのトリオ・ソナタが聞きものです。
  第3番は弦楽合奏とチェンバロだけの演奏で明るさと奥深い響きが素晴らしい。第2楽章:アダージョは本来短いのですが、この録音ではベンジャミン・ブリテンが編曲した版を使っていて7分という長大な楽章になっています。
  第4番は2本の縦笛(リコーダー)が華やかに響く名曲です。ヴァイオリンがソロ楽器に加わりますが、やはり主役は2本のリコーダーでしょう。現代のフルートを使わずにリコーダーを使うことでバロックの響きらしくなります。第2楽章では通奏低音にピアノが使われているようです。
  第5番はフルート、ヴァイオリンとチェンバロがソロ楽器になります。ここでフルートを吹いているのがエレーヌ・シェーファーです。やわらかな響きが大変きれいです。メニューインのヴァイオリンとマルコムのチェンバロも素晴らしく、第1楽章後半では長いカデンツァがチェンバロだけで演奏されますが、これも見事な演奏です。
  第6番は風変わりな作品で、ヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによるいわば中低音楽器だけによる演奏です。メニューインはこれもお得意のヴィオラを弾いています。第1楽章はヴィオラとガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯します。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラとチェロが悠々と演奏します。また通奏低音のチェンバロの響きに癒されます。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。
  2つのヴァイオリンのための協奏曲ではフランスのクリスチャン・フェラスとの共演になっています。美音で知られるフェラスとの共演は貴重な録音になります。
  ヴァイオリン協奏曲第2番はメニューインのソロが素晴らしく、円熟期の最高の演奏といえましょう。


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