J・S・バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番

ヘルマン・ローラー&ハンス・フィッシャー(1964)
CD(TELDEC 2564 68708-0)2枚組

バッハ/ブランデンブルク協奏曲全集
CD1
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調BWV1046
2.    〃      第2番ヘ長調BWV1047
3.    〃      第3番ト長調BWV1048
CD2
4.ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調BWV1049
5.    〃      第5番ニ長調BWV1050
6.    〃     第6番変ロ長調BWV1051

  アリス・アーノンクール(ヴァイオリン)(1、2&5)
  ヘルマン・ローラー(コルノ・ダカッチャ)(1)
  ハンス・フィッシャー(コルノ・ダカッチャ)(1)
 ユルク・シャフトレイン(オーボエ)(1&2)
レオポルド・スタストニー(トラヴェルソ・フルート)(5)
  オットー・フライシュマン(ファゴット)(1)
  ヴァルター・ホリー(トランペット)(2)
  ゲオルグ・フィッシャー(チェンバロ)(1〜6)
  ニコラウス・アーノンクール指揮
   ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
    録音 1964年4月

 オリジナル楽器でアーノンクール率いるウィーン・コンツェントゥス・ムジクスによるバッハのブランデンブルク協奏曲全集です。アーノンクール最初のブランデンブルクでした。一世を風靡したヴィヴァルディの「四季」は1977年の録音でしたのでその13年前の録音になります。
 ブランデンブルク協奏曲第1番はナチュラルホルンを2本使っていますが、暴れることなくきれいな音色で気持ち良い演奏です。バロックオーボエとヴァイオリン(ヴァイオリーノ・ピッコロ)響きも素晴らしく、3本のオーボエは味のある響きです。第2楽章のオーボエとヴァイオリンも素晴らしい。第3楽章はホルンの響きがきれいです。第4楽章のメヌエットは遅めのテンポで演奏しています。第1トリオのオーボエとファゴットは現代のウィンナオーボエに近い音色のオーボエがきれいです。中間部のポロネーズは穏やかな演奏です。第2トリオのホルンとオーボエの演奏は遅めのテンポでしっかりとした足取りの演奏になっています。 
 第2番はクラリーノ・トランペットとオーボエの響きがきれいです。またリコーダーもきれいな響きの演奏です。第2楽章はヴァイオリンとオーボエ、リコーダーのトリオ・ソナタのようですがおとなしい演奏です。第3楽章ではトランペットの高域の音がきつそうですが遅めのテンポで確実に演奏しています。リコーダーが消えないように抑えているようです。
 第3番はテンポのやや速い演奏です。弦楽の素晴らしいアンサンブルが聞かれます。第2楽章のアダージョにはヴァイオリンのカデンツァが入ります。第3楽章のアレグロは弦楽の緻密な演奏が素晴らしい。
 第4番は2本のリコーダーがあたたかい響きでほのぼのとして演奏にも聞こえます。しかしながらこの響きがバロックの音でしょう。ヴァイオリンの響きもまた素晴らしいものです。第2楽章の響きは絶品。
 第5番の演奏は弦楽合奏に続くトラヴェルソ・フルート、ヴァイオリン、チェンバロの響きががこの曲を聞く楽しみです。現代のフルートとは異なる味わいがあります。ゲオルグ・フィッシャーの長大なチェンバロ・ソロがまた素晴らしい。第2楽章はチェンバロのアルペッジョに続くフルートのやわらかな響きとヴァイオリンがきれいです。第3楽章の跳ねるようなリズムはヴァイオリンとトラヴェルソ・フルートの息の合った演奏が見事です。
 第6番はヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバスとチェンバロだけによるいわば中低音楽器だけによる演奏です。第1楽章はヴィオラとガンバが主役でシンコペーションの主題が交錯しますがテンポの速い演奏になっています。第2楽章はガンバが抜けてヴィオラとチェロが悠々と演奏します。第3楽章は全合奏でフーガのように追いかけてゆく主題が繰り返されています。やや遅めのテンポでこれも素晴らしい演奏です。


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