『ゆうべはおたのしみでしたね』02

 叫ぶだけ叫んだ所でティエナの身体を満たす性欲の炎は消えてなくならない。  それどころかより一層燃え上がり、ティエナの身を内側から焙って悶えさせる。 「はぁ、はぁ……、ん、はっ、はっ、はぁっ」  ロザリーは熱病に冒された病人のように荒い呼吸を繰り返すティエナの頬をそっと撫 でた。 「では真面目にやりますからね。私にすべて任せてください」 「うん」  その返事を合図にロザリーがその場で四つんばいになり、身体をずらしてティエナの 股間に取り付いた。 「あ……ぅ」  ロザリーの顔が自分の秘所に近づいているのを見て、ティエナはその身を強張らせた。  今までロザリーに裸を見せたことがなかったわけではない。冒険中、一緒に水浴びを することもあれば、怪我を手当てしてもらう時に肌を晒したこともあった。  それどころか、たとえ最も恥ずかしい箇所を見られても笑って済ますことも出来るは ずなのに、今この瞬間は無性に羞恥心を覚えてしまう。  こうなってしまったのもすべて毒によるものだが、ロザリーの顔を見ることすら恥ず かしく思うのも果たしてそのせいだろうか。  妙に気分が落ち着かないままでいると、ティエナはいきなりロザリーの中指に縦すじ を抉られた。 「あんっ!」  ただそれだけで強烈な快感に襲われて、緩やな高揚感が一気に昇華し、ティエナは目 の前が白んで霞む感覚に陥った。 「あっ、やだっ。何これ、何これっ……あんんっ」 「ティエナ?」  うわ言を繰り返していると、訝しげにロザリーが声をかけてきたが答える余裕はない。  ティエナは懸命に意識を繋ぎとめようとするが、それを裏切るように二度目の快感が 津波のごとく押し寄せる。  ロザリーがその細くて長い指を使ってティエナの割れ目を撫でるように、上下に揺り 動かして刺激し始めたのだ。 「やぁっ、はぁああっ! あ、ああ……ああぁんっ!」  全身を支配する得たいの知れない興奮にティエナは怖がっているようにも、悦んでい るようにも取れる複雑な声を上げた。 「ティエナ、恐れることはありません。今はただ素直に感じていればいいのです」 「そんなこと言われても! んっ、んん、ひゃぁあっ、こんなの知らないよ!」  圧倒的な悦楽によって自分が自分でなくなっていくような気がしたティエナは、腰を 浮かせて愛撫から逃げようとするが、すぐにロザリーに捕まり地面に押さえつけられる。 「やだっ! ロザリーやめてよ! あたし、こんないやらしいのもうやだよ!」 「いやらしくはありませんよティエナ。これはある意味立派な医療行為です」 「なら何で微妙に鼻息荒くしてるの! あぅんっ、あ、あっ、だめだめだめっ! そこ は感じちゃうから触っちゃだめぇっ!」    割れ目の上部にある秘芯をロザリーに弄られ、足首が震えるほどの快感がティエナの 背筋を駆け巡った。 「あぁっ、ロザリー……やめ、あんっ、あたし頭がおかしくなっちゃ、あぁあああっ」  ティエナは両手で地面に敷いた毛布を握り締めると、泣き叫びながら腰を跳ね上げた。  その様子を見守っているロザリーはどこか残念そうにため息を漏らした。 「イってしまいましたか。もう少し焦らすつもりでしたが、どうやら今のティエナには 刺激が強すぎたようです」  反省の念を含みながらも相変わらず冷静な口調だったが、ロザリーにしては珍しく熱 の篭った視線でティエナを見つめていた。  性的な興奮によって赤みがかった頬に紫色の長髪が汗で張りつき、ティエナは悩まし げに眉を歪ませた。  ひたすら甘く切ない喘ぎを漏らす唇は口紅を差したように美しく色づいていた。 「ファンティック国でお転婆ティエナと呼ばれるあなたがここまで激しく乱れるとは、 なかなか感慨深いものがありますね」  どこかしら神妙な面持ちで頷くロザリーをよそに、ティエナはかすれた声を漏らして 苦しげだった。 「んは……ぁ、はぁ、はぁ、はぁ」  新鮮な空気を求めて短く呼吸を繰り返し、汗に濡れた着衣がわずらわしいのか何度も 胸元をかきむしっていた。 「今、楽にしてあげますからね」  ロザリーが慣れた手つきでティエナの衣服を脱がして胸元を開いてあげると、しばら くして穏やかな吐息が聞こえてきた。 「少しは落ち着きましたか?」  ロザリーの声に反応して、ようやくティエナは目を覚ました。  最初は身体を起こしてぼんやりと視線をさ迷わせていたが、次第に意識が覚醒してく ると状況が掴めてきたのか、目の前にいるロザリーに向かって口を開いた。 「あ……ロザリー、あたし」 「今まであなたは気を失っていたのですよ。そうなった時のことを覚えていますか?」 「……うん。あたし、ロザリーに触られてる内にだんだん気持ちよくなってきて、急に 頭の中が真っ白になってそれで……」  そこで絶頂を迎えた時のことを思い出して、ティエナは身を震わせた。 「そうですか。何事もティエナにとっては初めてのことですから、よほど衝撃的だった ようですね。お漏らしまでしてしまうとは」 「え……?」  ロザリーが指を差す仕草に既視感を覚えながら、ティエナは視線を股間に落とすと、 見慣れた黄金水が太腿を濡らし、毛布に大きな染みを作ってすえた刺激臭を放っていた。 「あっ、やっ、これはその!」  慌てて染みを隠そうと尿まみれの脚を閉じたが、勢いが強すぎて飛沫がティエナの顔 にかかった。 「うあっ、わっ、わっ」 「まったく何をしているのですか。別に私はあなたを咎めたわけではありませんよ」  そう言ってロザリーがティエナの顔に付着した滴を拭おうと指で触れた瞬間、 「あんっ」  と、ティエナが色気のある声を上げた。 「ティエナ?」 「あ、や、えっとこれはその……」  しどろもどろになりながらティエナは腰を引いてロザリーから離れようとするが、し っかりと彼女に腕を掴まれてそれも叶わない。 「ちょ、ロザリーってば、手、離して」  何故か言葉を途切れさせながら身悶えするティエナを、ロザリーは首を傾げながら指 先でつつくと、 「あっ、やんっ、だ、ダメ……はぁああんっ」  触れた先から劇的な反応を見せて喘ぎだした。 「ティエナ。もしかしてまだ毒が効いているのですか?」 「うんっ……そう、みたい。さっきから色んな所が敏感になってるみたいで……その、 んっ、触られるだけでも感じちゃうんだ」  絶頂に達したばかりだというのに、依然として熱い奔流が身体中を駆け巡る感覚が消 えてなくならない。  持て余し気味の性欲心にティエナの瞳は再び蕩け始め、快楽を求めて自然と内股を擦 り合わせていた。  そんなティエナの様子を見入っていたロザリーが呟きを漏らした。 「何と素晴らしい」 「い、今、何か言った?」 「いえいえ。しかし、こうなった以上もう一度慰めるほかありませんねそれがいいそう しましょう文句なし」 「もういいよっ。やっぱりこういうの恥ずかしいし。あたし、我慢するからっ……!」  矢継ぎ早に喋って自己完結するロザリーを何とか思い止まらせようとする。  これ以上何かされたら本当におかしくなりそうだったからだが、すでにティエナの肉 体は官能に狂いかけていた。  そのことを見越してロザリーがティエナを安心させるように優しく諭した。 「安心してください。すべてあなたを思ってのことですから。やましい気持ちなど欠片 もありませんよ?」  絶対に嘘だ、と訴えるティエナの視線に気にすることなくロザリーは立ち上がった。 「心配はいりません。今度はあなただけに恥は欠かせませんから」 「ど、どういうこと?」  疑問符を浮かべて硬直するティエナを前にして、ロザリーは身に着けていた胸当てを 外し、あっと言う間に衣服をすべて脱ぎ捨てた。 「……ぁ」  我が身に起こる性欲もロザリーに対する不審感も忘れて、ティエナは息を呑んだ。  惜しげもなく晒されたロザリーの裸身は、頭の頂きからつま先まで滑らかな曲線美を 見せて、その白磁の肌には染みひとつない。  カンテラの光を受けてうっすらと輝きを全身から放つロザリーは、まるで精霊のよう に幽玄的な美しさを誇っていた。 「どうですか?」  両手を広げて己の肉体を見せつけるエルフの少女に、ティエナはとっさに思い浮かん だ言葉を口にすることしかできなかった。 「とっても綺麗だよ。これで口を開かなかったら最高なくらいに」 「何か一言多かった気もしますが、まあいいでしょう」  ロザリーはしゃがみ込んでティエナの華奢な肩を掴むと、そのまま押し倒した。  ここまでは先回と同じだが、今回のロザリーは身体を反転させ、臀部をティエナの顔 に向けて覆いかぶさった。  これでお互いの顔が相手の股間に位置することになる。 「ロ、ロザリー? 見えてるよ……あそこ」 「見せているのですよ。あなたが望むなら好きなようにしてください」  自らも陰部を晒すことでティエナの羞恥心を紛らわせようとするのが、ロザリーの気 遣いだった。 「でも、好きなようにって言われても、あたしにはどうしたらいいかわかんないよ」 「それならば私がティエナにするのと同じことを真似してください」 「真似って……やっ、あっ、そんないきなり触っちゃ! ダメダメダメぇっ」  ロザリーがティエナの割れ目に指を挿し入れて陰唇を擦り上げると、紫色の髪をした 少女は自分でも情けないと思えるか細い声で哀願して太腿を閉じた。  だが、ロザリーがしっかりと脚を掴んでそれを許さなかった。  無理やり股をこじ開けられて、間にある縦すじを撫でられた途端にティエナは力を失 い、だらしなく足を投げ出してしまった。 「あ、ああ、ああぁ、やぁっ」  ティエナが上げる淫猥な声と、ロザリーの愛撫が生み出す粘着質の濡れ音が洞穴の中 で響き合う。  ロザリーは指に絡みついた蜜を性器全体にまぶしつけ、瑞々しい弾力を見せる粘膜を 弄り立てれば、 「あんんっ、いや、やっ、やぁっ」  と、いつまでも変わることなく初々しい反応が返ってくる。 「本当に可愛いものです。ティエナもこうなってしまっては、ただの女の子でしかあり ませんね」  言われ放題のティエナだが言い返す余裕すらなく、ただひたすら歯を食いしばって快 感に耐えようとしていたが、 「その強情がいつまでも持ちますか?」  と言うや、ロザリーがさらに大きく少女の両脚を開かせると、その間に顔を埋めた。 「きゃあっ、いやぁっ」  唐突にロザリーの唇によって敏感な場所を刺激されて、ティエナは悲鳴を上げて逃げ ようとした。  だが、執拗なまでの粘着さでロザリーは淫裂に吸い付いて離さない。そして、彼女は 舌先を突き出して、性感帯を舐め回しては滲み出る愛液を啜った。 「あ、ああ〜っ、そんな音立てちゃダメだってば……くぅんっ」 「あなたという人は、そうやって鼻を鳴らしておねだりとは、いったいどうして欲しい んですか」 「ち、違うっ。あたし、そんなつもりじゃ」  ない、とティエナが最後まで言い終える前に、ロザリーが陰唇の粘膜に軽く指で刺激 して黙らせる。すると、その指先には白い粕がこびりついていた。  それを後ろ手に伸ばしてティエナに見せつけると、 「まったくあなたと来たら、いつも丁寧に洗わないからこうして汚れたままなんですよ」 「え……? ロザリー、何言って……んんっ、ああっ、あんあんあっ」  ティエナはわけもわからず喘ぎ始めたものの、ロザリーが大陰唇と小陰唇の間に溜ま った恥垢を舌先で丁寧に舐め取っていることに気がつくと暴れだした。 「バカバカバカっ! 何考えてるんだよ! そんなの汚いのにっ!」 「私にとってはご褒美です。ふふ。このきつい臭いもまた格別ですよ」 「バカぁっ!!」  羞恥心を激しく掻き立てるような陰湿な責めに、さしものティエナも涙を浮かべて抗 うが無駄だった。  ひとしきり陰部の汚れを舐め尽くすまでロザリーは止まらない。 「くぅっ、いやぁ、はぁあんっ、そんなイジワルしないでよぉっ」  必死になって懇願するティエナに耳を貸さず、包皮に溜まった垢も丹念にほじくり返 して秘芽をしゃぶった。 「あん、あんんっ、あぁっ、あーっ!」  淫らな嬌声を張り上げたティエナは両膝をわななかせて、今にもオーガズムに達しそ うな勢いだ。 「ティエナ、もうイきそうなんですか?」 「はぁんっ、あぁっ、あんんっ、くぅぅ……ダメぇ」  半狂乱といった様子でティエナは問いかけに答えることが出来ない。  ただ物欲しげに腰をくねらせて、無意識の内に局部をロザリーの顔面に押し付ける。  そこでロザリーがすぼめた舌先を膣口に挿入すると、 「ひぃっ、あっ、ああぁんっ、ああああぁぁぁっ!」  黄色い声を振り絞って、ティエナは喜悦の頂点まで上りつめてしまった。 「はぁああっ、あっあっあっ、ああ、ああ……」  全身を痙攣で波打たせて、少女は途切れ途切れに感嘆の声を漏らし続ける。  そうして虚ろな目で引くつくティエナを肩越しに見やりながら、ロザリーは嘆息をつ いた。 「こうも簡単にイってしまわれては面白みに欠けるというものです」  もはや毒に犯されたティエナを慰めるという当初の目的を覚えているのかいないのか、 ロザリーはまだまだ物足りないと言いたげに紫色の陰毛を指に絡ませた。  彼女はそのまま潤いを帯びた秘所を撫でている内に何か思いつくことがあった様子で、 「これはお仕置きする必要がありますね」  と、壁際に置いてあった荷物に手を伸ばして中をまさぐった。  ほどなくしてロザリーは目当てのものを探り当て、それをカンテラにかざして見せた。  それは鈍色に輝く一本の剃刀だった。

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