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『神々の迷惑な戦い』
初出;「Night Talker」様のコンテンツ「GS・絶チル小ネタ掲示板」(2008年2月から2008年4月)

番外編 宝瓶宮の後で......
番外編2 おあずけ状態! リュムナデス無情






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番外編 宝瓶宮の後で......

「文珠なんかじゃなくて......
 やっぱり、ひとの温もりが欲しいんです......」
「お......おキヌちゃん!?」


 美神を救うために、十二宮を突き進むおキヌと横島。
 宮と宮との間の長い階段では、人外な体力を持つ横島が、普通の人であるおキヌを抱きかかえて運んでいた。クロスが邪魔でおキヌとの密着を楽しめぬ横島は、

「この姿勢が一番運びやすいから」

 という口実で、片手をおキヌの胸まで伸ばしている。
 ただし、ソッとあてているだけなので、おキヌには不快ではなかった。それでも、

(......もう!! 横島さんったら!!
 いつもは美神さんにセクハラしてるくせに、
 美神さんがいなかったら、私に来るんですか?)

 というヤキモチじみた感情は持ってしまう。その結果、

(いいんです!
 横島さんが、そういうつもりなら......
 私にも考えがありますよ!?
 機会があったら、私のほうから
 少しだけ誘惑しちゃおう!
 でも、こわいから『少しだけ』だけど......)

 と思っていたおキヌ。
 もちろん、横島は、彼女の内心には気付かない。

 そんな二人は、宝瓶宮の戦いで、一時、の棺フリージングコフィンに閉じ込められてしまった。
 脱出後、おキヌは文珠で暖めてもらったが、むしろ、それを寂しく感じるのだ。

(やっぱり......私は美神さんとは違うんだ......)

 もしも相手が美神なら、横島のほうから『こういうときは、お互い素肌で暖めましょう』と抱きつくだろう。でも、自分に対しては別なのだ。
 おキヌは、そう考えてしまったからこそ。
 今、宮と宮との間の階段で。
 まだ体が震えていることを活かして。
 冒頭の一言、

「文珠なんかじゃなくて......
 やっぱり、ひとの温もりが欲しいんです......」

 を口にしたのだった。
 そして、これに対して横島がとった行動は......。




    番外編 宝瓶宮の後で......




「そ......そうだね......」

 ゴクリと喉を鳴らしながら、横島は、おキヌの言葉にうなずいた。
 そして、走っていた足をとめ、周囲を見渡す。
 ここは、宮と宮とを結ぶ階段なのだが、その脇に、人ひとり横になれる程度のスペースを見つけることが出来た。
 彼は、そこに、おキヌをおろす。
 そして、おずおずと問いかけた。

「こういうときって......やっぱり......
 服の上からじゃなくて、
 生肌のほうが効果的だよな......?」
「は......はい......」

 顔を真っ赤にして、おキヌは、首を縦に振った。


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(恥ずかしいけど......。
 でも、ここまでは嫌じゃないわ......)

 おキヌは、自分が横島を誘惑していると分かっている。しかし、これは半ばイタズラ心から始めたことだ。最後の一線まで許すつもりは、まだ、なかった。
 では、どこまでならばOKなのか?
 実のところ、おキヌ自身が理解していない。そもそも、自分の横島への好意が本当に恋心なのかどうか、分からないのだ。
 かつて、ルシオラと横島が恋仲になったとき。妬いていたのは事実である。それでも、美神との会話の中では、

女として......どーとか、
 う......うばってやるとか......
 だ、抱いてとか......
 自由にしてとか......
 忘れさせてとか......
 メチャクチャにしてとか、そーゆーんじゃ......。
 私、まだ子供なのかも......」

 と、否定的な発言をしている。それが、当時の正直な気持ちだった。
 そして、今でも結論は出ていない。
 しかし、だからこそ、積極的な行動に出るのである。

(どこまでは嬉しくて、どこから先が嫌なのか。
 それが分かれば、気持ちもハッキリするはず......)

 許容出来ることには身を任せるが、もしも、拒絶を感じるラインが出てきたら......。
 そこが、気持ちの限界なのだ。
 おキヌは、そう考えていた。

(横島さんだって......こういうの嬉しいのよね?)

 おキヌは、横島がスケベであると知っている。
 だから、どこまでであれ、女性がスキンシップを許せば、それは彼を喜ばせることにもなると信じていた。
 実経験ではなく、週刊誌やワイドショーから知識を得ているだけに、『中途半端なところで止められたら、オトコとしては、かえって辛い』という可能性は想定していないのだ。

(横島さん、優しいから......。
 私が拒絶したら、そこで止めてくれますよね?)

 横島を過信するおキヌであった。


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「おキヌちゃん......」
「横島さん......」

 二人の若い男女は、今、裸で向き合っていた。
 おキヌは、横島が視姦しているのを感じている。恥ずかしいけれど、それで彼が喜んでくれるのであれば、おキヌも嬉しかった。
 そして、おキヌ自身も、横島の裸を凝視していた。特に、一点から目を動かすことができない。

(す......すごい......。 これが......!?)

 それは、ビィンと天に向かって突き出している。

(男の人って......。
 こんなに上向いてて、オシッコするとき困らないのかな?)

 平常時を知らぬおキヌは、そんなノンキな疑問も持ってしまう。
 一方、横島は、『ノンキ』とはほど遠い状態だ。ここで止められたら、まさにオアズケである。早く先へ進みたかった。

「おキヌちゃん......それじゃあ、
 横になってくれるかな?」
「は......はい......!!」

 いよいよ、二人の肌と肌が密着するのだ。
 おキヌは、ドキドキする。しかし、少しだけだが、ワクワクする気持ちもある! そのことに、自分でも感激してしまう。

(私......やっぱり......
 横島さんのこと好きなのかな!?)

 と思いながら、脱いだ衣服の上に横たわったおキヌ。そんな彼女に、横島がおおいかぶさってきた。

(あ......これが......横島さんなんだ......!!)

 全身でお互いを感じながら、全裸で抱き合う二人。

「おキヌちゃん......
 もしかして......俺が重い?」
「平気です......」

 横島の体重がのしかかることなど、今のおキヌにとって、別に不快ではない。存在を強く感じることができるから、逆に嬉しかった。
 その気持ちをこめて、おキヌは、彼の背中に回した腕にギュッと力をこめた。

「むしろ......もっと......くっついてくださいな」
「うん......わかった......」

 ベッド代わりの衣服と、おキヌの背中との間に、横島の腕が入ってくる。おキヌ同様、彼も彼女を強く抱きしめたいのだ。

「横島さん......
 ずっと......このままで......」
「うん......。おキヌちゃん......」

 おキヌの体は、小さく震えていた。
 寒さからではなく、恥ずかしさと......そして悦びで。


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「熱くて......気持ちいい......」
「えっ!? おキヌちゃん?」
「いや、なんでもないです!!」

 小さなつぶやきだったが、何しろ、密着しているのだ。おキヌの言葉は、ハッキリと横島の耳に届いていた。
 熱くて気持ちいい。それが何を意味しているのか、同じ心境なだけに、横島にも明白だった。
 触れ合っている局部の熱さを、お互いに感じていたのだ。

(うん、気持ちいい......。
 だけど......ジッとしてなんか、いられねーぞ!?)

 このまま静止していることなど不可能だった。横島は、こすりつけるように腰を動かしてしまう。

「......えっ!?
 横島さん、何を......!?」

 驚くおキヌ。だが横島は、その口調に含まれる響きを、正しく理解していた。

(あんまり......いやがってない......!?
 それならば......!!)

 こういうとき、男は、弁が立つのだ。

「ほら、俺たち、今、
 おキヌちゃんの体を暖めるために抱き合ってるんだよな?
 それなら......体を動かしたほうが......
 こすりあわせたほうが、もっと暖まるだろう?」
「......そうですね」

 おキヌも嬉しかった。実は、彼女にだって、わずかだが、下半身がモジモジする感覚があったのだ。

「じゃあ......私も......」

 横島の体で地面に押し付けられているおキヌは、大きく動くことは出来ない。それでも、彼女なりに、下半身を動かし始めた。
 全裸で抱きあう若い二人が、お互いの秘所を押し付けあうようにして、こすりあわせる......。


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 横島の言いわけによれば、これは、体を使った乾布摩擦みたいなものだ。横島の全身が、おキヌを暖めるための道具なのだ。
 だから、彼は、下半身だけでなく上半身も動かしている。
 そして、自分の胸にあたるおキヌの乳房のふくらみを、シッカリ感じていた。

(うう、やわらかい......)

 おキヌの胸は、美神のような巨乳ではないが、決して貧乳でもない。スレンダーな体に似合う程度の豊かさはある。

(生チチを生肌で感じるのって、こんなにも気持ちいいのか!
 おキヌちゃん、サイコーだ!!)

 チチだけではない。おキヌの両脚は、横島の両脚でガッチリ挟まれている。だから、太ももの感触も満喫している。
 そして、背中に回っていた両腕のうち、右手は、いつのまにか臀部に移動していた。
 つまり、今、横島は......。
 おキヌのチチ・シリ・フトモモ、その全ての感触を、思う存分楽しんでいるのであった。


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 一方、おキヌも、横島の全身で摩擦されているというだけで、心が満たされていた。同時に、体のあちこちに快感が走ってしまう。
 例えば局部。横島のソレ自身が押し付けられているのだ。感じるなというほうが無理である。
 そして乳首。横島の胸でこすられているのだ。その引き締まった胸板に、強く『オトコ』を意識してしまう。

(横島さん......!!
 ジンジンします......。
 もっといじって〜〜!!)

 しかし、恥ずかしくて、とても口には出来ない。
 いや、もしもハッキリ告げたところで、横島には無理だっただろう。すでに、そんなタイミングだった。


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「ご......ごめん、おキヌちゃん! もう出る!」

 実は、横島のほうに、限界が来ていたのだった。
 挿入こそしていないものの、ずっと性器をこすりあわせていたのだから。

「えっ、ええっ?」

 わけが分からず聞き返したおキヌだったが、答は、言葉とは違う形でやってきた。

 ピュピュッ! ドピュッ!! ドピュッ......!

 横島の先端から出た白濁液が、おキヌの体にふりかかる。最初の一滴は頬まで届き、残りの大部分は胸をおおった。

(あったかい......。
 これが、横島さんの『赤ちゃんのもと』なんだ......)

 おキヌは、小さい子供や赤ん坊が好きだ。
 幽霊となる前は、おキヌ同様に孤児となってしまった子供たちを、姉のような立場で世話していた。
 また、少し前に美神の妹が産まれた時には、頻繁に、赤ん坊に会いにいっていた。
 そんなおキヌだから、好きな男性の『赤ちゃんのもと』には、特別な意識を持ってしまうのだった。


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「ごめん、汚しちゃって......」

 横島は、体を離して、あらためておキヌの全裸を眺める。
 彼自身の体液で汚されたおキヌは、なぜか、色っぽかった。
 自慰行為で出したときには、まさに汚物でしかない白濁液なのに、今は、それすら、おキヌを美しく際立たせるための小道具となっているのだ。
 顔についた一滴は、セクシーなほくろのようだ。そして、桜色に上気していた胸と、それを飾る白液とのコントラストも神秘的だ。

(触りたい......。
 今のおキヌちゃんに、この手で触れたい......)

 さきほどまで全身で感触を楽しんでいたはずなのに、この瞬間、そう思ってしまう横島だった。だから、

「お......俺が、手でふいてあげるよ。
 俺が汚しちゃったんだから、俺がキレイにしないとね」
「え......?」
「遠慮しなくていいからさ......」

 そんな言葉が自然に出てくる。
 おキヌが小さくうなずいたのを見て、横島の手が、胸へと伸びた。


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(あん! 横島さん......!!)

 男の指が胸の頂きに届くと、女は、嬌声が出そうになった。
 だが、おキヌは我慢したのだ。
 今二人が行っているのは、性行為ではない。体を暖めあっているうちに起こったハプニングの後処理に過ぎない。だから、あえいではいけない。おキヌは、自分に、そう言い聞かせるのだった。

(あんっ!! いいっ!!)

 それでも、おキヌは感じてしまう。
 さきほどから、すでに乳首はビンビンに勃っていたのだ。胸板で大雑把にこすられるだけでは、我慢出来ない気持ちもあったのだ。こうして手で直接触られることは、まさに体が望んでいたことだった。

「ここに......いっぱい......
 かかっちゃったみたいだね」
「あっ......そっ......そうです......。
 だっ......だから......そこを......もっと......」

 横島が、おキヌの胸の突起をいじりながら問いかけた。おキヌの返事に応じて、彼の右手が、両の乳首を行き来する。指先で先端を愛撫し続けるのだ。
 そして、左手は、おキヌの全身をまさぐっていた。

「こんな感じで......いいかな?」

 白濁液を拭き取るという口実だが、横島がやっていることは、むしろ、それを塗り広げていることだ。
 ベタベタしたものが体に広がっていく感覚。それは、普通ならば不快感になり得るのに、おキヌは、むしろ心地よく感じてしまう。

(不思議......。
 これも......
 横島さんの『赤ちゃんのもと』だからなのね)

 今、自分は、彼の『赤ちゃんのもと』を体で受けとめている。だから気持ちいいのだ。
 そう考えると、下腹部がジンと熱くなってくる。

(私......もっと欲しい!)

 おキヌは、ゆっくりと体を起こした。
 そして、彼に対して、ニッコリ笑いかける。

「ありがとうございます。
 今度は、私の番ですね!」
「......えっ!?」
「横島さんにふいてもらったんだから、
 今度は私が......横島さんをお掃除しないと......!!」

 おキヌの視線は、横島のモノに向いていた。
 それは、依然として固く、上方へ突き出している。そして、先端部には、彼自身の液がまとわりついていた。

「お......おキヌちゃんがそう言うなら......
 お願いしようかな......」

 おキヌの瞳には、妖艶な潤いがあった。横島にとって、こんなおキヌを見るのは初めてである。ついつい、色々と期待してしまう。
 そして、おキヌは、それを裏切らなかった。

「はい......。
 でも......こんな複雑な形をした部分、
 うまく手でお掃除できないですから......
 口と舌を使っていいですか......!?」
「......!! もっ、もちろん!!」

 さんざん女性週刊誌は読んでいるのだ。おキヌには、ちゃんと知識があった。

(まさか、こんなことするなんて思わなかったけど......)

 男性の性器を口で愛撫する。そんな行為を初めて知った時、おキヌは、とても驚いた。尿が出る部分を口にするなんて、なんて下劣だろうと感じたのだ。
 しかし、今、横島のモノを前にしてみると、全く違う。むしろ愛おしいのだ。
 だから、まだキスすらしたことない唇を、そこへかぶせてしまう。

 カプッ!!


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(す......すごい......
 とろける......ああ......
 こんな気持ちいいことがあったなんて......!!)

 横島は感激していた。
 おキヌは、口を精一杯開いて、横島自身をくわえこんでいるのだ。しかも、これは『複雑な』部分を『お掃除』するという名目で始まったフェラチオである。
 だから、あたたかい口内にただ包まれているだけではない。カリ首やウラスジなど『複雑な』部分を、おキヌは丁寧に舌でぬぐってくれているのだ。
 もちろん、おキヌにとって初めてのフェラだ。その技術は拙い。しかし、これは、横島にとっても初めての経験だ。十分気持ち良かった。

「気持ちいいですか?」

 と、声に出せないおキヌは、時々、視線で問いかけてくる。この上目遣いがまた色っぽい。

「うん......すごい......つづけて......」

 と、つぶやく横島。
 だが......。
 この気持ち良さは、ずっと続く種類の快感である。
 男には、もっと刹那的な快感も必要なのだ。
 だから、彼は、さらなる要求を口にした。

「おキヌちゃん......」
「......?」
「できたら......そのまま口を上下させるか......
 あるいは、手でこすってくれるかな......?」


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(......!!)

 一瞬驚いたおキヌだが、すぐに意味を理解した。

(出したいんですね......!? 横島さん......)

 これでは、出るものが出ないらしい。それでは可哀想だ。それに、おキヌとしても満たされない。
 なにしろ、おキヌだって『赤ちゃんのもと』を受けとめたいからこそ、この行為を始めたのだ。
 彼のモノをくわえたままコクリとうなずいて、おキヌは、口を上下させ始める。

 ジュブッ! ジュブッ! ズルズル......!!

 女性週刊誌には、動画はついてなかった。ワイドショーでも、フェラチオまでは扱われない。だから、どう動かすべきなのか、おキヌは何も知らない。それでも、ただ女の本能に従って行動していた。

(ください......私の口の中に......
 『赤ちゃんのもと』を出してください......)

 そう一心に願いながら、行為を続ける。

「ああ......そう......そこ......その感じで......。
 いいよ......おキヌちゃん......」

 横島の気持ち良さそうな声が聞こえる。それも、おキヌには心地よかった。
 彼の反応を確かめながら、時々、おキヌは、手も使う。口は軽く先端をくわえるだけにして、代わりに、手で幹の部分をこするのだ。

「う......それもイイ......」

 おキヌにも、少しずつ、コツがわかってきた。
 同じ動きを続けすぎてもダメ。単調にならないように、多少のバリエーションが必要。でも、もちろん、その『バリエーション』は、気持ちいいことだけで構成したほうがいい。

(横島さん......いっぱい感じてくださいね)

 手や唇や舌だけではない。歯を軽くあてることも、敏感過ぎない部分には効果的なようだ。
 そうして、色々と学習していくうちに......。

(え......!? これって......!?)

 口の中の彼のモノが、突っ張ったように、いっそう太くなる。おキヌが、それを感じたとき。


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「おっ......おキヌちゃん......!!」

 横島の叫びとともに、熱いモノが飛び出してきた。
 それは、おキヌの喉にぶちあたる。そして、あとからあとから出てきては、口内をいっぱいに満たしてゆく。

(う......。しょっぱい......。ちょっとヘンな味......!
 でも......なんで?
 なんで......私、これを『おいしい』って思うんだろ?)

 自分の感覚に戸惑いながらも、おキヌは、それを飲み下していく。

(そうか......!!
 横島さんの『赤ちゃんのもと』だから?
 だからなのね......!?
 うん、もっと欲しい!!
 もっと食べちゃいたい......!!)

 おキヌは、搾り取るかのように、彼の体液を吸い出すのだった。


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(おキヌちゃん......。
 気持ちいいんだけど......、
 イッたばかりには刺激が強すぎるよ!)

 おキヌの口は、まだ横島自身をくわえたままだ。そして、その中では、舌が生き物のように蠢いている。
 くすぐったいような感覚に耐えられず、横島は、みずから腰を引き抜いてしまった。

「え......!?」

 おキヌが、残念そうな顔をする。だが、

「......おキヌちゃん!!」

 今の彼女は、すごく色っぽかった。
 目付きはトロンとしているし、口も半ば開いている。顎が疲れて、閉じられないのかもしれない。口の端からこぼれる一筋の白濁も淫美である。
 しかも、その流れは、ツーッとおキヌの体を伝わっていくのだ。
 喉から胸元へ。やわらかな胸を経て、下半身へ。
 横島の視線も、つられて動いてしまう。

(おキヌちゃん、きれいだ......。
 これが本物の『美しさ』なんだな......)

 とまで、横島は思ってしまった。
 そんな状態の彼女が、ポツリとつぶやく。

「もう......終わりなんですか?」


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 最初は体の表面で浴びた『赤ちゃんのもと』を、今度は口で受けとめて、飲みこんだのだ。
 体の外側でなく、内部に入ってきたのだ。
 これは、おキヌを満足させるはずだった。
 しかし......。
 実際には、満足どころではない。

 ジン......ジンジン......。

 むしろ、下腹部の痺れが、どんどん強くなっていく。

(そうか......。
 お口じゃダメなんだ......)

 自分の熱い感覚の震源は、口ではないのだ。それが下半身から来る以上、『赤ちゃんのもと』を真に受け入れるべき場所は......。
 一つしかない。

(だめ......もう私のほうが止められない......)

 今や、おキヌには分かっていた。
 自分の横島への気持ちが、ハッキリしたのだ。

(どこまでは嬉しくて、どこから先が嫌なのか。
 ......そんなライン、なかったんだわ!)

 許す許さないどころではない。おキヌ自身が、今、最後まで望んでいるのだ!

(横島さん......!!
 私......あなたと一つになりたいです!
 ......身も心も!!)


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「よ......横島さん......。
 私......もっと体の......中から、あっためて欲しいな」
「お......おう!」

 もう横島だって理解している。
 これは、もはや体を暖めあうなんて次元を越えていた。
 しかし、そうやって始まった行為である以上、まだ、そうしたフリを続けるのだ。

(そうだよな......。
 おキヌちゃん、女のコだもんな。
 それも清純派美少女なんだから......
 おキヌちゃんの口からは、
 直接的なこと言わせられないよな)

 このまま、おキヌの『フリ』に付き合うことが、今、男として為すべきことだ。横島は、そう思った。

「どうしたらいいかな......?
 この......俺の......出っ張った熱い部分を
 おキヌちゃんの中に入れたらいいのかな?」
「はい......そうしてください。
 それから......中で......
 さっきの熱い液体をたくさん出してください。
 そうすれば......もっと暖まると思います」

 おキヌは、サラッと凄いことを言った。中出しして欲しいと懇願したのだ。
 しかし、脱童貞で頭がいっぱいの横島は、それに気がつかない。
 ただ、挿入の許可をもらったことだけを理解していた。

「じゃ......じゃあ......
 いくよ......!?」
「はい......!!
 お願いします......!!」

 横島は、すでにビンビンに回復しているモノを、おキヌの秘所にあてがった。


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 ツルッ!!

「えっ!? 横島さん!?」
「あれ?」
「......横島さん!?」
「ごめん、もう一回!」

 ツルッ!!

「えっ!?」
「あれ......?」

 何度かトライするが、すべってしまうだけで入らない。
 いくら横島がその気で、おキヌが濡れているとはいえ、童貞と処女である。処女の扉がどれだけ固く閉ざされているのか、どちらも、理解していなかった。
 そして、これを繰り返すうちに......。

 ドピュッ!!

 秘部をこすりあわせた刺激だけで、横島は、またイッてしまった。

「ごめん......」

 横島としても、これは本意ではない。
 ここまできたら、おキヌの純潔を貫き、その中でイキたかった。
 しかし、横島がションボリしているように、彼のモノも硬度を失ってしまう。
 そんな横島を見て、おキヌは、彼の横に座り込む。そして、

「慌てないでいいですから......」

 優しい言葉を投げかけると同時に、彼のモノを両手で包み込んだ。

「急ぐことはないですから......。
 でも私......ここで横島さんと......
 身も心も一つになりたいから......
 ゆっくりでもいいから、お願いします!」
「......おキヌちゃん!?」

 ついに、彼女は、『フリ』をやめたのだ。
 口実も演技もかなぐり捨てて、真摯な気持ちを彼に伝えたのだ。
 それが、横島の心にも体にも伝わる。

「あら......!?
 横島さんったら......!!
 うふふ......」

 おキヌの手の中のモノが、固さを取り戻しつつあった。大きさも形も、おキヌが最初に目にした状態へ向かう。

「これ......とっても愛おしいです......」

 優しく握りしめていたおキヌは、ソレに顔を近づけて、キスをする。口に完全に含んでしまうのではなく、チュッチュッと口づけを繰り返すのだ。

「おキヌちゃん......」

 一方、横島の右手も、自然に、おキヌの股間へと伸びていた。

 クチュ。

 横島の指が、肉と肉の間に挟まり、湿り気を感じる。

「おキヌちゃん......これって......」
「はい......。
 『横島さんとつながりたい』っていう気持ちの証です」

 おキヌが顔を上げて......。

「おキヌちゃん......」
「横島さん......」

 二人の唇が、一つに重なった。


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 しばらく二人は、そうしていた。
 依然として、座ったまま、互いの性器を手で触りあっている。おキヌは両手で、そして横島は右手で。
 また、二人のキスは、いつのまにか濃厚なものに変わっていた。求めあう気持ちのまま、舌と舌とが、からみ合う。
 さらに、横島の左手は、おキヌの胸を優しく愛撫していた。それは、おキヌの気持ちを高ぶらせる。

「横島さん、そろそろ......」
「うん......」

 どちらからともなく、二人の顔が離れた。それから、おキヌがその場に横たわり、少し脚を広げる。その間に、横島が腰を構えた。
 おキヌの両手は横島のモノに添えられたままで、横島の右手はおキヌの秘所を撫でたままだ。まるで、気持ちのつながりを象徴するかのように。
 そして、お互いの手で導かれて、二人の局部が重なりあう。
 今度は......ちゃんと入った。

「横島さん......!!」
「おキヌちゃん......!!」

 先端を包みこむ感触。それをシッカリ感じながら、横島は、グイッと腰を突き出した。


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「痛いーっ!!」

 おキヌが、体をこわばらせた。
 横島のモノが、彼女の肉のカーテンを突き破ったのだ。
 おキヌが『オンナ』になった瞬間だった。

「......おキヌちゃん? だ、大丈夫......?」

 体を止めて、横島がおキヌを気遣う。まだ、彼のモノは、根元まで入ったわけではない。これですでにおキヌが苦痛だというなら、残念ながら、ここで終わりにするしかなかった。
 なにしろ、おキヌの目には、涙まで浮かんでいるのだ。

「......平気ですから!
 続けてください......!!
 お願いします!!」
「だけど......涙が......」

 横島の言葉を聞いて、おキヌは笑った。

「横島さん......本当にニブイんですね。
 うれし涙ですよ、これ......。
 私......今、とっても幸せなんです!」

 横島に初めてを捧げることができた......。それがおキヌには嬉しいのだ。
 おキヌは、もともと現代に生まれた女性ではない。江戸時代に一度死んで、それから蘇った人間だ。
 300年前のことを全て覚えているわけではかった。道士から当時の記憶映像を見せられ、ある程度は思い出したものの、そこに全てが記録されていたわけではない。
 例えば、おキヌの恋愛のプライベードなど含まれていなかった。当時は今よりも成人とみなされる年齢だって若いのだ。もしかすると、誰にも秘密なうちにシッカリと恋愛をして、すでに誰かと体の関係をもっていたかもしれないのだ。
 それは、おキヌとしては、想像したくもない可能性だったが、今まで、否定する証拠は何もなかった。
 しかし、今、横島と結ばれた時に得られた、この破瓜の痛み。これは、自分が生娘だったことの、何よりの証なのだ。横島に処女を捧げたという証なのだ!

「だから......続けてください」
「う......うん」

 横島が、深々と腰を押し進め......。
 二人は、完全に一つになった。


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(痛いけど......でも幸せ!)

 おキヌは、横島の背中に手を回し、ギューッと抱きしめる。彼女は、今、体ではなく心で快感を受け止めていた。
 一方、横島は、心身ともにとろけていた。

(なんてこった......
 おキヌちゃんの口も良かったけど......
 こっちは......もっと気持ちいい......!!)

 女の秘肉に包まれることこそ、オトコの幸せなのだ。口内で模した肉の壁など、本物には、かなわないのだ。
 横島は、今、それを悟っていた。


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 二人は、少しの間、そのまま動かなかった。ただただ、お互いの感触を楽しんでいた。

「横島さん......」
「......ん?」
「動いてください......」
「......えっ!?」

 おキヌは、横島の『赤ちゃんのもと』をおなかの中に受けとめたいのだ。このままでは望みがかなわないことは分かっていた。

「お願いします......」
「でも......痛いんじゃないの?」

 横島だって、腰を動かしたい衝動にかられていた。しかし、処女を失ったばかりのおキヌの負担を考え、我慢していた部分もあったのだ。

「何言ってるんですか?
 痛いって言っても......
 痛痒いような感じですよ!?
 痒いんだから、こすって欲しいです......」
「お......おう。
 そういうもんなのか。
 それじゃ......」

 横島が、本能のまま腰を動かし始めた。

「あっ、あん! いっ、いっ......」

 これでいい。
 おキヌは、そう思っていた。
 『痛痒い』なんて嘘だ。これは、ズキズキするような鈍痛である。正直、こすられたら、辛い部分もある。
 それでも、そう言わないと、横島は止めてしまうだろう。だから、敢えて小さな嘘をついたのだ。

(だから、口にしていいのは『いっ』まで。
 『いたっ』って言ってはダメ......。
 それに......嘘も言い続けているうちに
 いつかホントになるかもしれないから!!)

 おキヌは、自分に言い聞かせるのだ。
 これは快感なのだ、と。この性器のこすりあいは気持ちいいのだ、と。
 そして......。
 おキヌの体が、おキヌの嘘を甘受し始める。

(え......!? ウソ......!?
 ホントに気持ち良くなってきた!!)


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(......!? おキヌちゃん......!?)

 おキヌの変化は、横島にも分かった。横島のモノを包んでいたおキヌの肉壁が、絡み付くような動きを見せ始めたのだ。

(すっ、すっげー!! 女体の神秘だ......)

 それだけではない。

「あっ、あん! いっ、いっ......」

 おキヌの喘ぎ声も、言葉そのものは変わらないのに、その音色が、全く違うものとなったのだ!
 心なしか、頬の赤みも増しているように見える。

(おキヌちゃん......やっぱり可愛いな......!!)

 横島も幸せだった。だから......。

(あ......やべっ!! もう出そう!!)


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 突然、横島が腰の動きを止めた。

「えっ......?
 どうしたんですか......?
 ......疲れちゃったの?」

 やや焦点の定まらぬ視線と口調で、おキヌが横島に質問する。

「いや......そうじゃなくて......。
 もうイキそうだから......
 えーっと......引き抜かないと......」

 横島だって、男の本能としては、おキヌの体内にドバーッと出したい。しかし、それはいけないという理性があった。
 これに対して、おキヌは、

「それじゃあ......続けてくださいね!?」

 と言って、横島を抱きしめていた腕にいっそうの力をこめる。さらに、自分の両脚で、彼の脚を抱え込み始めた。

「えーっ!? おキヌちゃん!?
 それはマズイ、マズイよ......。
 そんなことしたら......
 できちゃうじゃないか......!?
 俺たち、まだ高校生なのに......」

 口では否定する横島だったが、頭の中の天秤は、すでに『中出し』に傾きつつあった。ゆっくりとだが、腰が再び動き始める。

「......私、もともと江戸時代の女ですよ?
 当時なら......
 今の高校生なんて、もう成人扱いですよ?」

 時代によって元服の年齢も変わる。だから、この発言は微妙だ。しかし、その真偽は、どうでもよかった。そもそも、無茶苦茶な理屈なのだ。
 それでも、横島には効いてしまう。すでに、もう一押しで陥落する状態だったのだから。

「......ね?
 だから......くださいな?」

 おキヌが、ニコッと笑う。その笑顔には、妖しい艶っぽさと、淫らな美しさが混じっていた。
 この瞬間、横島の理性は完全に吹き飛んだ。

「わ......わかった!
 いっ、いくよ!?」
「はい!! あんっ、いいっ......!」

 横島の下半身が、ラストスパートに入る。そして......。

「お......おキヌちゃんーっ!!」
「......横島さん!!」

 横島の精が、彼のモノを駆け抜け、おキヌの中へと解き放たれた。
 その瞬間、熱いほとばしりを体内に浴びたおキヌは、横島自身を強くしめつけてしまう。

「あ......あ......おキヌちゃん......」

 まるで搾り取られるかのように、横島の『赤ちゃんのもと』は、いつまでもいつまでも出てくるのだった。


___________


 秘事の全てが終わり、今、再び二人は階段を走っていた。
 おキヌは、あいかわらず横島に抱きかかえられている。だが、前よりも、もっと幸せそうだ。
 時々、彼女は、自分の股間に手を伸ばす。何かが挟まったような鈍い痛みが、消えないらしい。

「おキヌちゃん......
 痛いんだったら、文珠で治療しようか?」

 貴重な文珠を無駄遣い出来ないが、今のおキヌのためであるというなら、話は別だ。それに、これは横島の責任でもある。

「いいえ......このままでいいです。
 これも......横島さんとの絆の証ですから。
 それに......」

 と、真面目な表情でつぶやいた後、イタズラっぽい笑みを見せた。

「文珠で治療なんかしたら、
 処女膜まで再生しちゃいますよ......!?
 横島さん、もう一度、
 『処女』の私を抱きたいんですか!?
 経験済みの私じゃ、イヤですか!?」
「......そんなわけないだろ!?
 一度で十分だよ!!
 これ以上痛い思いして欲しくないし、
 もっと......いっぱいテクニックも......」
「もうっ!! 横島さんったら!!」

 二人は、幸せに浸りながら、朗らかに笑いあう......。


___________


「そ......そういうわけには、いかないよな......」
「......!? 横島さん......!?」

 横島の言葉で、おキヌは、長い長い空想から、現実に引き戻された。
 彼の気持ちまで含めて色々と想像してしまったおキヌだったが、実際の彼の対応は、全く別だったのだ。
 彼は、立ち止まることすらしない。
 おキヌを抱きかかえて、走り続けていた。

「......そうですね。
 そんなこと......できないですよね......」

 たった今思い描いた内容と、現実とのギャップ。それは、あまりにも大きかった。
 おキヌの表情が陰る。それを見て、さすがの横島でも気付いてしまう。

(うわっ、おキヌちゃん......
 清純派のはずだったのに......
 ちょっと何か期待しちゃってたのか!?
 ひょっとして......俺のスケベが感染した?)

 おキヌだって女子高生だ。好奇心旺盛な年頃なのだろう。
 そうまとめてしまう横島である。自分への好意が根幹にあるということまでは、まだ理解出来ていなかった。

「おキヌちゃん......」

 呼びかけながら、横島が足をとめた。

「そんなことしたら......俺、止められなくなっちゃうからさ」
「え......!?」
「ごめん......。
 純粋に暖めてあげるだけじゃなくて、
 スケベなことしちゃいそうだから。
 でも......そういうわけにはいかないだろ?
 おキヌちゃんは......
 俺にとって......大切な女のコだからさ!」

 忘れてはいけない。横島は、おキヌの抱え方を変えたわけではない。だから、彼の手は、いまだに彼女の胸に添えられているのだ。
 この発言は、おっぱい触っている男が言うべきセリフではないだろう。
 それでも、おキヌには、横島がカッコ良く見えてしまう。

(横島さん......!!)

 さきほどの空想は全く実現しなかった。しかし、空想とはいえ、その中で、おキヌは最後まで許しているのだ。だから、自分が異性として横島を好きであることは、もはや明白だった。
 惚れた男から『大切な女のコだから、そういうわけにはいかない』と言われれば、誰だって嬉しい。おキヌの目から、一筋の涙がこぼれた。

(やべえ、おキヌちゃん泣いちゃったぞ!?
 今の言葉の......何がいけなかったんだ!?)

 一方、うれし涙だとは知らずに、横島は、少し焦ってしまう。場を明るくするために、冗談で誤摩化すことにした。

「あれ......!?
 体の震え止まったみたいだね?
 もしかしたら、さっきの俺の言葉で
 ......心が暖まったのかい!?」

 自分に似合わぬキザな言葉を、ギャグとして発したのだ。
 まさか、それが真実をついているとも知らずに。

「横島さん......!」

 ある意味、おキヌは、もう限界だった。
 顔を隠すようにして、彼の胸にうずめる。そして、彼の首に回した手に力をこめながら、自分の気持ちを正直な言葉にした。

「......大好き!」

 おキヌのささやきは、横島にもハッキリ聞こえた。

(うう......まただ......。
 でも......やっぱり......
 これは......おいしい......!!
 おキヌちゃんとこの状況......!!
 ときめく!! ときめくぞっ!!)

 だからといって、ここで衝動に従って行動したら、今言ったばかりのことが大嘘になってしまう。
 それに、以前の同様なシチュエーションでは、迂闊な発言でおキヌを傷つけているのだ。

(でも......こんな状態続けてたら、俺の理性がもたんぞ!?)

 そう思うならば、おキヌの胸から手をどければいいのに、それも出来ない横島であった。むしろ、ほんの少し、指が頂上へ向かって動いているようだ。すでに、理性は消えつつあるのではないだろうか。

(いや、ダメだ......!)

 彼は、大きく頭を横に振った。
 そして、雑念を振り払うかのように、再び走り出した。それも、かつてない猛スピードで。

「よ......横島さん?
 どうしたんですか、突然!?」

 腕の中のおキヌが問いかける。
 横島は口を開いたが、その答は、むしろ彼自身へのものだった。

「こーなったらもー
 はやく次の宮へいこう!!」


(第五話に続く)

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____
番外編2 おあずけ状態! リュムナデス無情

「魔鈴君......!?」
「助けてください......!!
 私......このままでは......!!」


 おキヌを救うため、ポセイドン海底神殿に乗り込んだGSメンバー。
 壊すべき柱の一本に辿り着いた西条は、そこに伊達雪之丞が倒れているのを発見した。しかし、彼を助ける暇もなく、今度は、魔鈴めぐみが現れる。

「魔鈴君......!? いったい......」

 彼女はヨロヨロと歩み寄るのだが、それは、ケガや疲労によるヨロメキではなかった。
 目はトロンとして、口はだらしなく開き、よだれもこぼれている。
 いや、上の口だけではない。服の上からでもわかるくらい、股間がグッショリ湿っているのだ。

「もう体が保ちません......。
 このままでは......私......
 処女を奪われてしまいます。
 それなら......せめて......西条先輩に......」




    番外編2 おあずけ状態! リュムナデス無情




「魔鈴君......!!」

 倒れそうな彼女を抱き支える西条。
 彼の腕の中で、魔鈴が説明する。

「この辺りには......
 女性に作用する魔法薬が......
 散布されてたんです......。
 吸ってしまった後で気付きました......」

 それは、女性を淫らな気持ちにさせる薬だ。
 男性には効果なく、女性だけに効くシロモノ。

「......許せん!!
 それは......ここの海将軍(ジェネラル)が、
 やってきた女性を......
 レイプしようということじゃないのか!?」
「そうです......きっとそうです......」

 魔鈴は涙を流す。
 彼女も魔女なので、この魔法薬の存在は聞いたことがあった。しかし、まさか自分に使われるなんて思ってもみなかったのだ。
 そして、彼女の知る限り、この毒気を体の中から抜く方法は、ただ一つ。

「それは......!?」
「男の人の精を......アソコの中で受けとめることです!」
「......いっ!?」

 つまり、男に中出しされるまでは、淫乱状態が続くというのだ。なんとも極悪な薬である。
 魔鈴は、西条の胸に埋めていた顔を上げる。目に涙を浮かべたまま、彼を見上げた。

「私......まだ処女なんです!
 結婚するまで純潔を守るつもりだったのに......
 こんなところで、卑劣な敵に散らされたら......」
「しょ、処女!?
 ......大丈夫だ、僕が守るよ」

 と西条は言うが、それは気休めでしかない。
 たとえ敵の魔の手から守り抜いたとしても、彼女の異常を解くためには......。
 誰かが彼女とヤらねばならないのだ。

「......私、ずっと西条先輩が好きでした」
「えっ!? 何を突然......」

 西条にも、魔鈴の気持ちは、なんとなく分かっていた。そして、これが話題転換のようで実は変わっていないということも。

「......だから西条先輩と結ばれるなら
 これも......むしろ幸せです」

 魔鈴が微笑む。しかし、その表情は、いつもの笑顔とは違う。薬のせいなのだろう、西条が見たことがないような妖しさに包まれていた。

「西条先輩が......私を好きでなくても構いません。
 人助けだと思って......抱いてください」
「いや、しかし......」

 行きずりの女性ではないのだ。
 大学時代からの友人なだけに、その『処女』をもらうというのは、重い。
 しかも西条は、それなりに女性経験のある男だ。いまさら、処女に神秘性など感じていない。彼にとって、処女とは、『あまりヤりたくない相手』なのである。
 まず、女性が痛がるということ。これが最大のネックである。どんな相手であれ、やはり肌を重ねる以上は、いっしょに気持ち良くなりたい。途中で相手が苦痛を示すようでは、こちらも興ざめしてしまう。
 さらに、西条の経験では、量に個人差はあるものの、ロストバージンは出血を伴うものだった。ベッドに赤いシミがつくのは許せるが、行為の最中に血を見るのはダメだ。抜き差しする自分のモノが真っ赤にぬめるのだ。それが目に入ると、気持ちが引けてしまう。

(なにしろ......魔鈴君だからなあ......)

 もちろん、もしも相手が最愛の女性であるなら、話は別だ。『最愛の女性』の処女が頂けるのであれば、それだけで、心が満足する。そして、心の満足は体にも快感を与える。
 『最愛の女性』が苦痛を感じながらも、西条がイクまではと我慢する。それは、西条への愛の証である。『最愛の女性』の破瓜の出血も、西条に純潔を与えたしるしだから、やはり愛の証。西条としては、そんなケースであれば、ひいてしまうことも興ざめすることもなく、むしろ興奮するだろう。
 だが......魔鈴は『最愛の女性』ではないのだ。
 そう思って躊躇する西条に、魔鈴は強く迫った。

「お願いします!
 これもノーブレス・オブリージだと思って!」
「わ......わかった......。
 そこまで言うなら......」
「嬉しい......」

 魔鈴は、ポッと顔を赤らめながら、服を脱ぎ始める。

(まあ......
 これはこれで役得だと思うことにしよう)

 気持を切り替え、自分も服を脱ぐ西条。そんな彼に、一言のプレッシャーが投げかけられた。

「西条先輩なら......
 プレイポーイだから、経験豊富ですよね?
 『初めて』でも痛くないように......してくれますね?」


___________


「ククク......。ちょろいもんだぜ」

 物陰から西条を見て嘲笑っているのは、お世辞にも二枚目とは言えない顔立ちの男。
 これが、南氷洋の柱を守護するジェネラル、リュムナデスのカーサである。
 彼は強力な精神感応者であり、敵の心を読み、さらに幻を見せることができた。相手の大切な人物に化け、敵が油断した隙に一撃で倒してしまうのだ。マザコン雪之丞があっけなくやられたのも、無理はないだろう。

「たまには面白いな、こういうのも......」

 現在、彼は、いつもとは違う戦法をとっていた。ちょうど一組の男女が来たので、変わった趣向を思いついたのである。
 男には女の幻を、女には男の幻を見せるのだ。
 幻とはいえ、それぞれ本物を化けさせたものである。だから、彼らの行動の一部は現実だ。これから二人がする行為は、本物の性行為なのだ!

「ヒッヒッヒ......」

 西条がすっかり騙されているように、魔鈴もまた、カーサの幻覚に捕われている。
 彼女が見ている幻は......。


___________


「西条先輩......!!」

 少し前まで同じ柱を目指して二人で走っていたのに、いつのまにか消えてしまった西条。
 彼のことを心配しながら柱に辿り着いた魔鈴めぐみは、そこに西条が倒れているのを発見した。
 自分も体を倒すような姿勢で彼の胸に手をあてたのだが......。

「そ......そんな......!!」

 西条の心臓は、止まっていた。
 瞳孔や脈をチェックしても、答は同じだった。
 西条は......死んでいるのだ。

「いやーっ!!」

 魔鈴は、横たわる西条の胸にすがりついて......泣いた。
 彼女にとって、西条は、イギリス時代から憧れていた先輩である。彼は様々な女性とデートしてきたようだが、自分は、その中に入れてもらえなかった。
 西条が日本に戻った後、不自然でない程度の時間をおいてから、魔鈴も、彼を追って帰国した。いや『彼を追って』とハッキリ意識していたわけではないが、それでも、日本へ帰る理由の一つであったことはまちがいない。
 だから。
 日本で魔法料理店を開き、そこに彼が訪れた時には、彼女の目が輝いた。他の客の前だというのに、

「うれしいっ!!
 来てくれたんですねっ!」

 と言って、ギュウッと抱きついてしまった。
 しかも、そこには西条と仲良さそうな女性が来ていたので、ヤキモチを妬いて、

「日本にこんな彼女がいながらイギリスでも......
 いっつも連れてる女性がちがったんですよ」

 と発言したくらいである。
 そんな大切な西条が......死んでしまったのだ。

「西条先輩......」

 彼女は立ち上がった。
 自分は魔女である。誰もが忘れてしまったような中世の魔法を、いくつも現代に蘇らせてきたのだ。

(そう......!
 西条先輩も......蘇らせてみせます!!)

 幸い、まだ彼の体は温かい。今ならば、まだ蘇生できるかもしれない。
 魔鈴は、自分の知識を総動員する。
 もちろん、彼女は死者を生き返らせたことなどない。だから、試したことない魔法を、頭の中で色々検索し......。

(......あった!!)

 それは、古くてレアな書物に書かれていた魔法。その名称すら文字がかすれて完全には分からない。『C......RGE』という四文字が判別できるだけだ。
 しかし、本文は、かなり解読することができた。それによると......。
 かつて神のような人間たちは、同類である者に、自分の生命力を分け与えることができたという。

(大丈夫......!!
 『神のような人間』って、
 今でいうところの霊能力者のはず。
 西条先輩は高いレベルの霊能力者。
 私も似たような者だわ......)

 文献には、『C......RGE』の図説もあったのだが......。
 男が与える場合は、二人立ったまま、相手の後ろから。
 女が与える場合は、相手を寝かせて、自分がその上に。
 ......どちらも、どう見ても性器同士のつながりだった。

(『C......RGE』とは、霊能力者同士のセックス......)

 魔鈴は、まだ処女だ。
 こんな形で初体験をするのは少し抵抗があったが、その気持ちも、一瞬で振り捨てた。

(いいえ......!!
 私の純潔と西条先輩の命......!!
 ......くらべるまでもありません!!)

 魔鈴は、口に出してつぶやいた。

「西条さんになら......私の『初めて』、捧げられます」

 これから二人は結ばれるのだ。もう『西条先輩』ではなく『西条さん』と呼ぼう。今までだって時々『西条さん』と呼びかけたことがあるのだから、それでいいだろう。

「でも......」

 性器同士をつなげるなら、それが可能な状態にしないといけない。
 処女の魔鈴も、それくらいは知っている。
 まず自分が全裸になり、西条の服も手早く脱がせたが、彼のモノは準備OKには見えなかった。
 一方、自分の股間に手をあててみると、わずかだが湿っているような気がする。これから行うことを、体が意識しているのだろう。

「男の人のモノを大きくするには、どうしたら......?
 意識がないんだから......
 かなり強引にしないといけないですよね?」

 意識がないどころか西条は死んでいるのだから、本来ならば、いくら魔鈴が頑張っても無理だろう。しかし、これを『C......RGE』という死者蘇生術だと認識している彼女は、今の西条を勃起させられるはずだと思っていた。

「お口......かな?
 話には聞いたことあるけど......」

 魔鈴は、西条のソレを見つめる。
 複雑な形状をしているが、目を背けたくなるようなシロモノでもなかった。

「まあ西条さんのモノなら......
 汚いとも思わないですから......」

 彼女は、西条のその部分へと顔を近づけ......。
 突然、止まってしまう。

「でも......少しだけ寄り道させてくださいね?
 やっぱり乙女心としては......最初は......」

 と言ってから、西条の顔の方へ。
 彼の唇にチュッとキスをする。

「それじゃあ、今度こそ......」

 彼女は、西条のモノを口に含んだ。


___________


 一方、西条が見ている幻では......。

「魔鈴君......!? いきなり......!?」

 二人が全裸になった途端、魔鈴は、西条をその場に押し倒したのだ。
 そして、西条にキスをする。

(んっ!?)

 それは、唇と唇が触れ合うだけの、本当に軽いキス。

(魔鈴君......本当にウブなんだなあ)

 全裸でキスをしているのに、舌も入れてこないとは、むしろ新鮮で微笑ましい。
 同時に、西条の頭の中に、一つの可能性が思い浮かんだ。

(もしかするとバージンなだけじゃなくて......
 今のがファーストキスか......!?
 それは......ちょっと......重いな......)

 考えてみると、魔鈴に恋人がいたなどという話は聞いた覚えがない。プライベートを話したがらないだけで、ちゃんと人並みの恋愛はしているのだと考えていたが、違うのかもしれない。

(キスからセックスまで......
 全ての『初めて』を僕に捧げるつもりか?
 ......そういう考え方はやめて欲しいのだが。
 ......おおっ!?)

 西条の思考を、魔鈴の手の感触が遮った。
 彼女は、西条のモノに触れているのだ。

「西条さん......
 私からお願いしたことですから......
 御奉仕させてください......」
「おいっ......!?
 そこまでしなくていいから......!!」
「お願いします......。
 ホントは『御奉仕』なんかじゃありません。
 私が......舐めたいんです。
 口いっぱいに頬張りたいんです。
 そういう気分なんです......」

 そう言って、魔鈴は、西条の性器を口に含む。

(これも薬のせいなのか?
 それにしても......)

 初キスの次は、初フェラ。最後は初体験となることが決まっている以上、これは初物づくしである。
 西条としては、話が深刻になるのはイヤだった。これは『人助け』なのだ。サッサと魔鈴の中にドバーッと精を放って、それで終わりにしたかった。幸い、最近しばらく、セックスはしていない。どちらかというと遅漏気味の西条だが、今ならばイクのに時間がかかることもなく、サクッと終わらせる自信もあった。
 そうすれば、自分は一時の快感を得られて、魔鈴も悪い魔法から解放される。それがベストだ。この後、魔鈴に恋人づらされるのも、つきまとわれるのも本意ではない。魔鈴とは今までどおりの友人関係を続けたかった。
 しかし......。どうやら魔鈴は違うらしい。

(まいったな......)

 と、頭では考えてしまう西条だが、体は正直だ。
 すでに西条のモノは最大に膨張していた。
 なにしろ......気持ちいいのだ。

(ふふ......。
 たまには初々しいフェラも良いものだな。
 いいぞ、魔鈴君!
 だが......)

 彼女は、何も知らないのだろう。
 これは人間の体の一部だということを、それも敏感な器官だということを、完全に忘れているようだ。ごちそうを口に含んだかのように、舌で転がしている。時には歯まで使って。

(魔鈴君......
 男のモノに歯を立ててはいけないよ?
 ......日本に帰った後で、
 ちゃんと僕が指導してあげよう)

 基本すら分かっていないフェラチオだが、それも心地よい刺激となっている。
 むしろ、気持ち良すぎて、少し辛いくらいだった。
 男としては、この状態まで来た以上、早く白い奴を出したい。だが、魔鈴は『こする』ということを全くしていない。これでは、出てくるのは先走り液ばかりだ。

「魔鈴君......!
 僕のほうは準備万端だから、今度は僕が君を......」

 と言いながら視線を彼女に向け、ここで西条は驚いた。
 魔鈴は、口で西条のモノをくわえているだけでなく、両手で彼女自身の秘部を慰めているのだ。

 グチョ、グチャ、グチョ......。

 今まで気付かなかったのが不思議なくらい、湿った音もハッキリ聞こえてくる。もはや濡れているなんてレベルを遥かに超えて、内股を伝う愛液は、ちょっとした川のようだった。

(きれいだ......)

 女性特有の白い全裸。
 その無垢な白さをベースとして、魔鈴の頬は紅潮し、そして、下半身は愛液でキラキラと輝いている。
 美しいコントラストに見とれてしまう西条だったが、その時間も長くは続かない。すぐに魔鈴は、彼の股間に埋めていた顔を上げたのだ。

「西条さん......私も......
 とっくに準備できてます......」

 魔鈴は、右手で股間の唇を開き、同時に、左手を西条のモノに添える。
 そして、ゆっくりと体の位置を動かした。その二つが重なる方向へと。

(そうだな......
 彼女が上になったほうがいいだろう。
 正常位では、処女膜を貫きにくい場合もあるからな)

 と西条が考えているうちに、ついに、二人の秘所が接した。

 クチュ。

 西条の先端が、魔鈴の肉と肉との間に挟まれる。

「魔鈴君!
 そのまま一気に......
 ストンと腰を落としたまえ!」
「......はい!!」


___________


 魔鈴が見ている幻の中でも、彼女は、熱心にフェラチオをしていた。
 しかし、

(これが......男の人の『勃起』なんですか?)

 彼女は、西条の反応に戸惑っていた。
 口に入れた時にはグニャグニャだったモノが、みるみる固くなっていくのである。同時に、大きさまで変化したのだ。

(こんなに大きいんですか!?
 これじゃ......
 口で頬張るだけでも大変なのに......!!)

 男の平均サイズも知らないので、魔鈴は、西条の性器を『異常に大きい』と思ってしまった。

(でも......
 これを私のアソコの中に入れないと......
 西条さんの命は助からない!!)

 彼女は、自分の股間に手を伸ばしてみる。
 不思議な潤いがあった。これが潤滑油の役割をするのだろう。うまく滑らせて、西条のモノを入れなければならないのだ。

(ここ......よね?)

 オシッコの穴の下にある、もう一つの穴。
 試しに、指を一本入れてみたが、指の先っぽだけで、もうキツキツだ。とても、あんな大きなモノが入りそうにはない!

(私の体......壊れちゃう!)

 怖い。
 いざ、男女の性器の大きさを確認してみると、本当に恐くなった。
 それでも......。

「西条さん......」

 彼女は立ち上がった。
 西条を救うために、勇気を振り絞る。恐怖心を心の奥に閉じこめて、自分の性器を、西条のモノへと近づける。
 少しでも自分の『穴』を大きくしようと、右手の指で、その入り口を広げた。一方、左手は西条のモノを支える。間違って違う穴に入ることはないだろうが、それでも、キチンと向きを調節するのだ。

 クチュ。

 ついに、西条の先端が、魔鈴の肉唇を割り始めた。

(あ......!!)

 この瞬間、魔鈴の中の恐怖心が消えた。代わりに、安らかな気持ちになる。

(今から......私と西条さんは一つになるんだ......)

 それは、怖がることなんかではない。
 むしろ望ましいことではないか!

(このまま......
 体重をかけてのっかったら、
 どんなに私の穴が小さくても......
 ちゃんと入りますよね......?)

 魔鈴は、幸せな笑みを顔に浮かべて、そして、つぶやいた。

「......それじゃ、いきます!」


___________


 こうして。
 二人の体は、一つに重なった。
 同時に、二人の幻も重なる。
 ......いや、もはや幻などではない。
 そこにいるのは、お互いの性器同士で体をつなげた、現実の一組の男女であった。


___________


(いっったああぁぁあいっ!!)

 魔鈴は、激痛に苦しんでいた。
 破瓜の痛みというのは、知識としては聞いていた。しかし、ここまで痛いとは思わなかったのだ。本当に、体を割かれたかのような感覚だ。

「いっ、いっ......!」

 『いたい』と口にすることすら出来ない。『いっ』までしか言えないくらいの痛みである。
 しかし、この言葉は、西条の耳には『いいっ』と聞こえてしまった。

(魔鈴君......!?
 初めてで、しかも入れた途端で、
 いきなり気持ち良くなったのか......?)

 これは驚きである。
 だが、ロストバージンの苦痛がなかったというのであれば、西条としても嬉しい。

(......珍しいな。
 もしかすると、体の相性が良かったのか!?
 ......それならば、もっと感じさせてあげよう!!)

 この状況ならば、遠慮する必要もない。
 西条は、彼女の腰に手を伸ばしてシッカリとホールドする。彼女の体全体を上下させつつ、自分の腰も動かし始めた。下から思いっきり、ガツンガツン突き上げる!
 一方、彼のこの行動は、魔鈴を驚かせた。

「西条さん......!?
 元気になったんですね!?」

 彼女は、西条は死んだと思っていたのだ。自分の生命力を彼に分け与えるために、『C......RGE』のつもりでセックスしているのだ。
 だから彼女にしてみれば、西条の反応は、魔法が成功したことを意味していた。
 西条は蘇ったのだ!

(嬉しい......!!)

 もはや、彼女の頭の中は、喜びでいっぱいである。性器がつながっているにも関わらず、処女喪失の痛みも忘れてしまうほどだった。

「西条さん......!!」

 彼女は、上体を倒し、彼にしがみつく。西条は、

(......!? 
 僕のモノは、
 さきほどから既に『元気』だったはずだが?
 ......あれでは足りなかったのか?
 ......案外スキモノなんだな、魔鈴くん)

 と思いながらも、彼女を優しく抱きしめた。
 ギュッと抱きしめられた魔鈴は、愛を感じてしまう。心が満たされたために、彼女の体も、それ相応の反応を見せ始めた。下半身の女の部分が、本能的に、西条のモノを締め付けたのだ。

「あっ、魔鈴君......!!」

 西条自身が予想もしない早さだった。

 ドピュドピューッ!!

 彼の精が、魔鈴の中に放出される。

(えっ!? 何これ!? あああ......)

 処女を失ったばかりの彼女には、衝撃的な経験だった。
 熱いほとばしりを子宮に浴びせられ、感覚の限界を超えた彼女は、そのまま気を失ってしまう。
 しかし、彼女が意識をなくしても、彼女の体内は妖しくうごめく。西条のモノを絞り続けているのだ。

 ドクッ。ドクッドクッ。ドクッ......。

 これでは、西条の射精も止まらない。

(すごいな、魔鈴君......)

 西条の胸の上で、魔鈴は、幸せそうな寝顔を見せていた。
 今の彼女は、いつもの可愛らしい後輩だ。ただ一点、二人が全裸でつながっていることを除けば。
 彼も、自然と表情がゆるむ。彼女の髪を優しく撫でながら、西条はつぶやいた。

「君の気持ち......僕も大切にしよう」

 状況はともあれ、付き合いの深い友人の処女をもらってしまったのだ。
 しかも、体の相性は最高と来ている。初めてなのに魔鈴も感じてくれたし、西条も気持ちよかった。なにしろ、こうしている今でも、西条の放出は続いているくらいだ。経験豊富なはずの彼にとっても、こんなことは初めての体験である。

「どうせ......令子ちゃんが
 僕の気持ちに応えることはないようだからね。
 これからは僕も......君を見ていくことにするよ」

 と、失礼にも西条が別の女性の名前を口にした瞬間。
 魔鈴の性器が、いっそう強く西条のモノを締め付ける。

「あ......」

 最後の一滴を搾り取られたかのような感覚とともに、西条は、そのまま意識を失った。


___________


「もう冥土の土産は十分だろう......!?」

 二人の体が動かなくなってから、カーサは、ゆっくりと歩み寄った。
 戦法が戦法なだけに卑劣漢だと思われがちなカーサだが、彼にだって情けはある。
 さすがにセックスの途中で倒すのは、かわいそうだと思ったのだ。だから、完全に終わるまで待ってやった。
 それに、ちゃんと心を読んだから、魔鈴が処女であることも、魔鈴が西条に憧れていることも分かった。だから、好きな男との初体験をセッティングしてやったのだ。

「ケッケッケ......。
 俺様に感謝しろよ?
 御礼は......おまえ自身の体でな!!」

 カーサは、これから西条を強襲し、そして魔鈴を美味しくいただく予定だ。それくらいの役得はあってもいいだろうと考えていた。
 ところが......。
 近づいてみたら、攻撃するまでもなかった。すでに西条は気絶している。

「おいおい......!!
 女が昇天して意識を失うというならわかるが、
 こいつ、男のくせに......」

 最初は西条を嘲笑うカーサだったが、途中で、表情が変わった。

「そんなに......この女の......
 アソコの具合が良かったのか......!?」

 ゴクリ。

 思わず、喉も鳴る。
 こうなったら、もはや男を倒すことなど後回しだ。

「俺もこの女とヤるぞーっ!!」

 カーサは、いまだつながっている二人を引きはがす。女の性器からゴボゴボと白い液体が溢れ出し、ムッとする匂いも立ちこめた。

「おいおい......!!
 こいつ、こんなに大量に出したのか!?
 そんなに......女の......
 具合が良かったのか......!?」

 ゴクリ。

 再び、喉が鳴る。

「俺もこの女の中に出すぞーっ!!」

 しかし、ここで、カーサは敵の接近を察知してしまった。

「......まずい!!」

 いつもは、広範囲に弱い幻をまき散らし、敵がやってくるペースまで調節していた。しかし、今は、それが薄れている。
 自分が化けるのでもなく、また、二人同時に強力な幻覚を見せていたのだ。やはり慣れないことをすると、おろそかになる部分も出てきてしまう。

「まずは......そっちが先だ!」

 女とヤっている場合ではない。それは、後回しだ。
 しかも、コントロールを怠っていたために、別々の道から来た二人が同時に柱に到着しそうだ。これでは、また、二人同時幻覚をやらねばならない。

「ちっ!!」

 三人の体を物陰に隠し、自分自身は柱のかげに引っ込んだ。
 精神感応の手を伸ばし、敵の思考を探る。
 今度の相手は......。

(こいつは面白い......!
 『幻』で若返らせてやるぜ!!)


___________


「......どういうことだ?」

 周囲を見回した唐巣神父の口から、言葉がこぼれた。
 海底神殿の中を走り回り、一つの柱の前まで辿り着いたはずなのに、ふと気が付くと自分の家の中にいるのだ。
 それも、現在の我が家ではない。

「この光景は......。
 二十年くらい前に住んでいた部屋じゃないか!?」

 ハッとした唐巣は、自分の顔や頭に手をやる。
 視界はハッキリしているが、眼鏡はない。そして、髪の毛もフサフサだ。

「若返っている......!!」

 驚く唐巣の前を、一人の若い女性が横切った。

(美神くん......!!)

 それは、美神令子と良く似た顔立ちの、彼女と同じ髪を持つ女性。
 若き日の美神美智恵である。
 彼女は、唐巣の衣類を洗濯しているらしい。

「あ、おかえりなさ......」
「......!!」

 美智恵の手から自分の下着をひったくりつつ、唐巣は悟った。

(そうか......!!
 これは21年前の一場面......!!)

 当時、美智恵はGS資格取得中の見習いで、唐巣のところに居候していた。もともとは六道家で研修していたのだが、六道家当主が冥子を妊娠したことで、唐巣に押し付けられたのだ。

「余計なことはしなくていい!!」
「だって何かしないと......。
 一応弟子なんだし」

 腰に手をあてて返事する美智恵は、スタイル抜群の美人だった。
 上はヘソ出しタンクトップで、しかもノーブラ。下は裾を完全に切り捨てたパンツルックのジーンズだ。『女の魅力は魔力のひとつ』『GSならうんとアピールしなさい』と六道家で教わってきたらしい。

「私の家でそんなものアピールしないでくれたまえ!!」
「いーじゃん。
 神父さまなら安全パイなんだし!
 あ、それとも......
 私の魔力に負けそう!?
 GS唐巣さんが......!?
 光栄だわっ!!」

 注意する唐巣に対して、冗談でピトッと体をおしつけてくる美智恵。
 ここまでは、唐巣の記憶どおりである。

(やめてくれ......!!)

 当時の唐巣は、まだ、美智恵がどういう女性か知らなかった。彼にとって美智恵は、ただの『世の中ナメた小娘』だった。
 しかし、違う。美智恵は、内面も魅力的な女性だ。今の唐巣は、それを知っている。今見ているシーンの後で、だんだん、それを知ることになるのだ。

(だから......私を誘惑しないでくれ!!)

 唐巣の頭の中で、二人のチビ唐巣がケンカし始めた。

『やっちゃえ、やっちゃえ!
 向こうもその気だよ!!』
『ばか、美智恵さんには公彦クンが......。
 この後、二人は出会うんだぞ!?
 歴史が......変わっちゃうじゃないか!!』

 悪チビ唐巣に反論する善チビ唐巣。しかし、

『歴史の改変とか恐れてんの?
 おまえ、ばっかだなー!!
 美智恵さんの時間移動能力で
 過去にとんだとでも思ってんの?
 そんなわけないじゃん、これ夢だよ!!
 ......な? 夢の中なら、何やっても自由だよ?
 夢の中くらい......
 思考回路もショートさせて、素直になれよ!!」

 説得力があるのは悪チビの方だった。

(そうか......!!
 これは夢なのか!?
 ただの妄想なのか!?
 ......主よ、感謝します!!)

 というわけで、唐巣は、美智恵に襲いかかる。

「大人をからかうとどうなるか、
 体で教えてやる......!!」
「し、神父......!?」


___________


「唐巣神父......!?
 しっかりしてください!!
 ......やめてください!!」

 一方、美智恵は、幻を見てはいなかった。
 かつて精神感応者と意識を混有したことがあるおかげで、カーサの幻惑にも抵抗できたのだ。
 しかし、自分が精神攻撃を受けた感触はあったので、目の前の唐巣の状態も想像がつく。

「君が誘惑してるんじゃないか!?
 あんな格好で......!!
 今度は『ノーブラ禁止』なんて言わんぞ!!
 それがどういうことになるか体で教えてやる!!
 ......今の私なら、まだ若いから体力も十分だ!!」

 何か幻影にとらわれているのだ。

「私がどれだけ君を欲していたのか......。
 君だって薄々気付いていたんじゃないのかね?
 ......君の娘など、当時の話をしただけで、
 『ちょっと好きだったんでしょ、ママのこと?』
 と言い当てたぞ......!?」

 どうやら、若い頃の幻のようだ。

(そういうシチュエーションの幻覚なら......
 とりあえず一発ヌイてあげないとダメかしら?
 でも......)

 美智恵は、もう人妻である。このまま唐巣に犯されるのはゴメンだ。
 うまく話につきあってコントロールし、最後の一線だけは守りたかった。

「......神父さま!?
 そうがっつかないでね?
 時間ならたっぷりありますから......!!」


___________


「そ、そうだな......」

 目の前で、美智恵が服を脱ぎ始めた。
 確かに『脱がされる美智恵』よりも『自分から脱ぐ美智恵』のほうが、当時のイメージにも合致している。
 彼女にあわせて唐巣も裸になり、そして、あらためて美智恵を眺めた。

「きれいだ......」
「もうっ!! 神父ったら......!!」
「いや......本当にきれいだ......」

 美智恵の胸は、あの頃、目にしたことがある。だが、こうしてフルヌードを見るのは初めてだ。
 フラフラと美智恵に引き寄せられる唐巣だったが、彼女が、それを制止する。

「待って!!
 私のほうから......色々してあげたいな!?
 ......横になってください!」
「......うん、わかった」

 唐巣は、言われるがまま、そこに仰向けになった。

(積極的なんだな、美智恵くん......。
 ......やっぱり、これは夢なのだろう)


___________


「唐巣さん......。
 ......何を期待してるんですか!?」

 横たわる唐巣のモノは、天に向かって屹立している。
 とても四十代半ばの男とは思えなかった。

(ま、本人は二十代のつもりですからね)

 美智恵は、そのモノに手を伸ばし、しごき始める。手コキだけで済むなら、それが一番だからだ。

「気持ちいいですか、神父?」
「いいぞ、美智恵くん。その調子だ......」

 彼女は、モノの胴の部分を右手でこすりながら、その指でカリ首やウラスジも刺激していた。同時に、左手で袋の部分にも優しく触れる。

「ああ、美智恵くん......!!
 君の手でされているかと思うと
 それだけで感じるよ......」

 唐巣は、恍惚の表情を浮かべている。

(『美神くん』と呼ばないってことは......
 全く当時に戻ってるわけでもないのですね?)

 状況を分析しつつ、手は動かしつづける美智恵。
 そして、ほどなく......。

「いっ、イキそうだ......!!」
「......いっぱいくださいね!?」

 唐巣が限界を主張し、美智恵が、心にもない甘い言葉を返した瞬間。

 ドピューッ!!

 彼の先端から、すごい勢いで白濁液が飛び出した。まるで、ちょっとした泉のようである。

(まったく......いい年した大人なのに......。
 そんなに溜まってらしたんですか?)

 呆れながらも、美智恵は、唐巣の顔を覗き込む。
 満足そうな表情だが、どうも目の輝きがおかしい。まだ正気には戻っていないようだ。

「美智恵くん......今度は私が......」

 そう言って唐巣が体を起こしかけたので、美智恵は慌てた。

(冗談じゃありません!
 私の体は......公彦さんのものですから!!
 神父には触らせませんよ!?)

 両手で唐巣の両肩を押さえ込み、主導権を手放さぬよう、猫なで声で提案する。

「......もっとサービスさせて下さいな?
 今度は、胸で......」
「そ、そうか......!? それじゃあ、お願いしよう」

 美智恵としても、これは許せるギリギリだった。
 手コキでダメなら次はフェラチオ......とも思ったが、さすがに、夫でもない男のモノを口にしたくはない。
 そこで、パイズリである。胸を唐巣のソレに押し付けるほうが、フェラよりもマシだった。

(うわっ、汚い......)

 唐巣の先端は、彼自身の白濁液で覆われている。さいわい、射精の勢いが激しかったため、体液の大部分はいったん高く飛び上がり、唐巣の胸や腹に着地していた。それでも、少しは、モノも白く汚染されているのだ。

 ムニュ。

 ソレを胸で挟み込んだ。
 あれだけ大量に放出したのが嘘のように、ビンビンに硬直している。その熱さが、美智恵にも伝わった。

(あら......!?)

 美智恵は、自分の股間が少しジュンと濡れるのを感じる。

(いやですわ、自然に体が反応するなんて......)

 長年にわたって夫に開発されたからだろう。

(これも公彦さんのせいですよ......!?)

 最愛の夫を頭に思い浮かべつつ、美智恵は、唐巣のモノをしごき始めた。
 唐巣の濁液が胸に付着するが、なぜか、それも不快ではなかった。
 上から唾をたらし、自分の唾液と唐巣の精液をミックスさせて、潤滑剤とする。

 ズリュッ、ムニュ......。ズルッ......。

 しっかり挟み込むために、美智恵は、両手で横から自分の胸を押さえつけている。同時に、指は胸の前面へ回していた。その頂きを唐巣から守るかのように。

「そうだ......その調子だ......」

 唐巣は、とても気持ち良さそうだ。
 そして、美智恵の体も、何かを求めてしまう。

(せめて......)

 彼女は、胸をカバーしていた指先で、ピンと勃った乳首を慰める。今できることは、その程度しかなかった。両手を胸から離せない以上、股間のうずきは、我慢するしかない。

(こんなの......私もつらいわ......。
 早く終わらせなきゃ......!!)

 美智恵の頑張りが、唐巣を、再び頂点へといざなう。

「......出るッ!!」
「えっ......!? うぐッ!!」

 それは、美智恵の予想以上の早さだった。ちょうど唾液をたらすために口を開けていたため、最初の数滴は口に飛び込んでしまう。

「ゲホッ、ゲホッ......」

 むせかえる美智恵。少し飲んでしまったのだ。

(やだ......!!)

 美智恵が嫌なのは、唐巣の精液を嚥下したこと自体ではない。自分の体の反応だ。
 白濁液が喉の奥を直撃した瞬間、彼女は、小さくピュッと、潮を噴いていたのだった。


___________


「大丈夫かね......!?」

 唐巣の幻の中でも、美智恵は、咳き込んでいた。
 しかし、この幻の彼女は、パイズリと同時に、カリ先を口に含んでくれていたのだ。だから、精液も、現実の美智恵よりも大量に飲み込んでいる。

「ごめんなさい......。
 全部は飲みきれませんでした」

 唐巣の液体が彼女の口からこぼれ出し、白い筋を描いてツーッと落ちていく。

「だから......次は......下の口にくださいな!?」
「......美智恵くん!!」

 淫妖な視線で誘惑されては、もう耐えられない。
 今度は唐巣のほうから、美智恵を押し倒した。


___________


「神父......!?」

 二度もヌイてやったのだ。それも『二発』なんて言えないくらい、大量に放出させたのだ。
 それなのに、唐巣は、いまだに股間を膨張させたまま、美智恵に迫ってきた。

「やめてください!! 本当に......!!」

 美智恵の言葉も届かない。
 勢いがついてしまったようだ。女には抵抗できない男の腕力で、美智恵は、組み伏せられてしまった。
 唐巣は、自分自身の精液で、胸も腹もベトベトだ。体を押し付けられたことで、美智恵までベトベトになる。しかし、それを嫌がる余裕すらなかった。
 今、唐巣がやろうとしていることは......!

「美智恵くん......!!
 いよいよ......入れるぞ!!」
「ダメです!! それだけは......絶対ダメです!!」

 口では抗う美智恵だが、彼女も、もう分かっていた。
 ......拒絶できない。
 すでに、先っぽをベトベトにした唐巣のモノが、美智恵の下半身の唇に触れている。その奥は既にシッカリ湿っており、男を受け入れたくてウズウズしているのだ。

(ごめんね、公彦さん......。
 唐巣神父には......
 あなたも私も、それに令子も、いっぱい
 御世話になってきたから......もう拒めません。
 さすがに最後までイケば、この人、
 正気に戻るでしょうし......。
 それに......今は......私も欲しいの。
 これが最初で最後の浮気だから......許して)

 美智恵が、心の中でつぶやいた時。
 唐巣のモノが、美智恵の秘奥を貫いた。


___________


「感激だーッ!!」

 唐巣が叫ぶ。
 ついに、美智恵とつながったのだ。

「......私も幸せ!」
「美智恵くん......!!」

 幻の美智恵に甘くささやかれ、彼は、彼女を強く抱きしめた。
 唐巣は敬虔なキリスト教徒ではあるが、別に童貞ではない。特に若い頃は、神に見放されたと思って自暴自棄になっていたから、女もかなり抱いた。凄腕のGSで外見は二枚目だったから、その気になれば女にも不自由しなかったのだ。
 しかし......。
 そうした女達を相手にするのと、美智恵を抱くのは、全く意味が違う。

「美智恵くん、美智恵くん......」
「あっ......しっ......神父......」

 唐巣は、ただただ彼女の名前を連呼しながら、腰をガンガン動かす。
 長年の想いをぶつけるかのように。
 そして......。その気持ちを、彼女の体内に吐き出すために。


___________


(ふふふ......なんだか可愛らしいですね)

 美智恵の上で荒々しく下半身を躍動させる唐巣。そんな彼を見ながら、彼女は、微笑ましく思う。
 もちろん、今、彼女自身にも快感はある。しかし、彼女は、決して喘ぎ声を出さない。そのために、右手の人差し指を口にあてて、強く噛み締めていた。
 いくら唐巣に感じさせられても、嬌声を決して口にしないこと。それが、すでに肉のつながりを許してしまった彼女にとって、守るべき『最後の一線』となっていた。

(......ね? だから許して、公彦さん!!)

 そして、いったん割り切ってしまえば、美智恵としても、自分の体を満足させることに異存はない。
 唐巣に感じさせられるのではなく、自分から感じるのだ。
 唐巣の体を、自分を満足させる道具だとみなして、うまく使うのだ。

(唐巣さん......
 人妻のテクニックを甘く見ないでくださいね!?)

 唐巣の動きに応じて、美智恵も腰を動かす。唐巣のモノが、ちょうど良いスポットをこするように。
 さらに、アソコの中も意識的に締め付ける。下腹部のどこにどう力を加えればよいのか、ちゃんと理解している美智恵であった。


___________


「す......すごいぞ、美智恵くん!!」

 現実の美智恵同様、幻の美智恵の肉壁も、唐巣のモノを強く包み込んでいた。
 若い体で四十女のテクニックを駆使する美智恵は、最強である。

「お、お願い......。
 わた......私の......な......中に......。
 たっ、たくさん......」

 美智恵が中出しを懇願する。

(......そうか!!
 これは夢なんだから......大丈夫なんだな!?
 妊娠する心配もないんだな!?)

 都合よく考えた唐巣は、早くもラストスパートに突入した。

「美智恵くん......!!」

 唐巣のもとに風のように現れた、21年前の美智恵。
 彼女といるとふりまわされてヘトヘトになるのだが、そうした非常識すら、彼女の魅力だったのだ。
 そして、強烈な印象だけを残して、風のように去ってしまった。
 立場や状況のために、唐巣が美智恵に惚れることすら許されなかったのだが、今は違う!

「......受けとめてくれ!」
「ください......!!」

 唐巣の心の中で結実した想いが、白い液体として凝縮されて、唐巣のモノを駆け抜けた。


___________


「......受けとめてくれ!」

 唐巣の言葉を、現実の美智恵が理解したのは、その一瞬後だった。
 彼のモノがパンパンに張ったことを、彼女の肉壁が感じ取ったのだ。
 これは......袋から竿へ精液が動いてくる証!

「ちょっと......!!
 それはダメッ、さすがにダメっ!!
 中はやめてっ、中は......!!
 イヤーッ......!!
 ......中出しだけはダメッ!!」

 焦る美智恵だったが、ガッシリ押さえ込まれた状態では、もう、どうしようもない。

(あっ!! ダメって言ったのに......!!)

 彼女の女の奥底に、男の熱さが、ぶちまけられた。

(ごめんなさい、公彦さん......!
 でも......気持ちいい......)

 美智恵は、正直に認める。
 やはり女の体は、男の精子を受けとめることで、満たされるのだ。
 いつのまにか、美智恵の両腕も唐巣の背中へと回され、彼をギュッと抱きしめていた。


___________


「フーッ!!
 いくら夢の中とはいえ......さすがに疲れるな......」

 イクだけイッて満足した唐巣に、ドッと疲労感が押し寄せた。
 すっかり脱力したまま、美智恵に体をあずけていたのだが......。

「『夢の中』ではないですからね」
「......えっ!?」

 両手をついて、かろうじて上体だけを起し、美智恵の顔を覗き込む。
 昔と同じ美貌を保っているものの、そこにいるのは、現代の美智恵だ。

「......!?」

 唐巣は、片手で、自分の頭を確認した。
 髪が薄くなっている。それに眼鏡をかけている。
 これは、現代の自分だ。
 夢は終わってしまったらしい。
 しかし、自分は、まだ裸だ。しかも、自分に組み伏せられている美智恵も全裸だ。
 ..................あれ?

「......まさか!?」
「ようやく正気に戻りましたか!?
 ......体がつながって、心もつながったのかしら?
 ともかく、私の『精神感応への抵抗力』、
 少しは手に入れられたようですね?」
「夢......じゃなかったのか......」

 唐巣、顔面蒼白。

「......私たち、もう大人なんですから、
 そう気にしないでください。
 でも......勘違いしないでくださいね?
 これっきりですよ?」
「......はい」

 シュンとなる唐巣。

「あの頃の唐巣神父が、
 私のことを想っておられたというのは、
 女としては嬉しいですけど......
 でも私には公彦さんがいますから、
 今の一度で、気持ちには
 ケリをつけたということで......いいですね?」
「はい、当然です......」

 唐巣は、もはや美智恵を正視することもできない。

「中に出されちゃいましたけど......」

 ギクッ。

「さすがに二度も大量に出した後なので
 量も少ないし薄いはずでしょう。
 だから......それも......
 あんまり気にしないでください」
「......ありがとう」

 気にしないわけにはいかないが、唐巣としては、美智恵が気遣ってくれるだけで嬉しかった。

「じゃあ、目の前の敵に専念しましょう。
 ......あの......お疲れでしょうが......
 その......まずは抜いてもらえませんか!?
 ......このままじゃ戦えませんから」
「も......もちろんです......!!」

 なんとか下半身を引き抜いたが、まだ体に力が入らない。

「あ......」
「大丈夫ですか!?」

 腰が抜けたかのようによろめく唐巣に、美智恵が肩を貸した。
 美智恵だって疲れているが、体を支えあう形で、二人は立ち上がる。

「さあ......
 隠れていないで、出てきなさい!」
「くっ......!!」

 美智恵のタンカに、カーサが、ようやく姿を現した。
 しかし......。

「おまえら......
 全裸で、しかも体ベトベトなクセして、
 カッコつけてるんじゃねえ......!!」

 幻影を始めたのはカーサであるが、カーサ自身は、何もオイシイ思いをしていない。目の前で二組の男女にセックスをされただけだ。
 さんざん見せつけられてモヤモヤした気持ちを、今、攻撃という形でぶつける!

「サラマンダーショック!!」
「く......!! 無念......!!」

 体力を無駄遣いした中年二人など、もはや、カーサの敵ではなかった。
 一撃で倒されてしまった二人だが、意識は失ったものの、まだ息はある。さすが一流GSだ。

「ずっとおまえたちのターンだったが、
 今度こそ俺のターン......。
 ......ん!?
 ちっ、またかよ!?」

 ようやくヤれるかと思ったカーサだが、新たな敵が来るのを感知した。

「今度はガキか......」

 しかし、それでも女。
 しかも一人で向かってくるのだ。
 それも......かなりの上玉だ。

「それならば......」

 もちろん、ここで気絶している女二人も器量はいい。
 それに、若いほうはアソコそのものが名器で、熟れたほうはテクニックが凄いのだろう。
 ......だが、しかし。
 二人とも、股間から、男の白濁液を垂れ流しているのだ。そこに自分のモノを突っ込むくらいなら、それよりも......!

「『俺はロリじゃない』なんて言わんぞ!
 ......今度こそ俺が食ってやる!!」


(第八話に続く)

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