守ってあげたい 37話
どうしてあの場に跡部が現れたのか不思議に思って、それを聞いてみると。
「校舎裏から逃げ出すように立ち去る女の集団を見たと報告を受けて、よくない予感がして駆けつけてみると。髪を切られたが居た」
その時の俺の気持ちを考えてみろ。そう続けられて、ちょっとだけ反省。
本当に真綿でくるむようにして、私の事守りたいんだ。
そんな風に大切に思われていることが嬉しくようなくすぐったくなるような感覚がして、幸福の笑みがこぼれる。
「そんな風に俺の側でずっと笑っていろ」
くしゃりと私の髪を撫でる跡部の手があまりに優しくて、胸に抱えた矛盾も忍足への思いも全部見ないフリをすることに決めた。
愛してみせる。
私を私だけを愛してくれる理想の恋人。
この人を幸せにすることが自分も幸せになること、そう思おうとしていた。
着いた場所は、いずぞやのマンションでは無く。
アトベッキンガム宮殿と称される本宅だった。
ズラッと並んだメイドさんと、バトラーと言ったほうがいいような執事の人に出迎えれらる。
「す、すごいね」
ご自宅訪問をする気にもならないくらい煌びやかで、正直腰が引ける。
「どうして、こっちに招かれたか聞いてもいい?」
メイドさんが紅茶を運んで来て、ひと段落ついた後に思わずそう聞いていた。
「俺が今まで、こっちに女を連れてきたことは無い」
「ということは…」
あっちのマンションは連れ込み専用って訳ですか?
で、こっちに連れてきたって事はそれだけ私に本気って事?
「お前だけ、特別っていう事だ」
「そうなんだ」
改めてそう、口に出して言われると照れてしまう。だからそっけない返事を返してしまった。
「嬉しくないのか?」
「う、嬉しいよ」
まともに顔を見るのが恥ずかしくて、高そうなカップを凝視してしまう。
ふいに、カップを跡部に取られてそれに釣られて跡部を見ると愛しくてたまらないっていう顔で私を見ていた。
「お前を抱いていいか?」
ここまで来ても私の意志を尊重してくれる。
そう問われて、私は返事の変わりに瞳を閉じて跡部からのキスを待った。
キングサイズはゆうにあるようなベットに押し倒される。
控えめに、シャワー浴びたいと言ったけど。
「後から俺が洗ってやる」
そう言われてしまって、もう何を言っても無駄だと観念することにした。
私の吐息すら奪うようなキスをしながらも、器用に動く手に衣服を剥ぎ取られ胸を揉みしだかれる。
いつのまにか外されたブラウスの釦は全開で、ブラのホックを外すのももどかしいのかグイっと上に押しやられる。
すでに、主張しはじめている胸の飾りを指で時折挟み込むようにして刺激される。
それだけで、下半身に熱が灯る。
「んっ……」
口付けの途中でも、殺しきれなかった嬌声がもれてしまう。
クスリと跡部が笑った気配がして快楽に閉じた瞳を開けると、名残惜しげにちゅっと唇にキスをしたあとに首筋にキスが落ちてきた。
首筋を這う跡部の舌に、ピクピクと反応を返し漏れ出る声を必死で我慢しようときゅっとシーツを掴む。
「我慢しなくていい。防音は完璧だ」
「やっ、それでも、嫌」
かたくなに拒否する私に、ため息のような吐息が聞こえ中断された愛撫が始まった。
首筋にチリっと痛みが走って、そこを強く吸われキスマークを付けられている事が分かる。
残った理性で、思いっきり見える位置に付けられた印を思い当惑するけれどさっきまで、おざなりに与えられていた乳首への刺激を強められてしまい。
じきにそんな事も気にならなくなった。
先端を指の腹で、擦るようにして時折コリコリと刺激されるとそこだけの刺激で軽くイキそうになってしまう。
「あ…んっ。いいっ……」
触れられてもいない下半身から、トロッと染み出るような感覚がして両足をすり合わせてしまう。
そんな私を知ってか知らずか、ピンと立ち上がった乳首を口に含まれてコロコロと転がされる。
「あっ……ふっあぁっ……」
それと同時に足の間に身体を割り込まされて、両足が閉じられないようになった。
恥ずかしいくらいに濡れているのを知られたくなくて、下半身に伸びようとする跡部の手首を掴むけど、私の抵抗など何処吹く風で私が手首を掴んでも難無く下半身へと触れられてしまった。
下着の上からはっきりと分かるほど、潤んでいる秘所を跡部がどう思うか少し不安になる。
「すげぇ感じてるな」
「んっ……」
「可愛いぜ。」
すでに用をなさなくなったショーツを剥ぎ取られテラテラと光っているだろう場所を見つめられる。
明かり落とすことを許してくれなかったから、隠すことも出来ず何もかも見られてしまう。
糸を引くほど滑った其処へ、指が入れられる。
不慣れな其処は、溢れるほど蜜が溢れていてもキツク絡み付く。
「ッ…」
知らずに息を詰めてしまう、だけど指の腹で花芯を刺激され身体の力が抜ける。
乳首を舐め転がされ、花芯と蜜壷を同時に攻められて快楽に出る涙が止まらない。
その涙すら唇で舐め取られ、私は跡部のなすがままだった。
増やされた指で、ぐちゅぐちゅと中をかき回されると脳天がしびれるほどの快楽に襲われてただ喘ぐだけしか出来ない。
「んっ…ああぁ。もうっ、…やっもうっ…イクッ」
何処か気持ちいいとか、そんな事もわからなくなるほど愛撫に蕩かされて一気に駆け上がってしまった。
余韻に喘ぐ中跡部がゆっくりと着衣を落としてく姿が目に入る。
綺麗な綺麗なその姿。
快楽に潤んだ瞳のままその姿に見惚れる。
ゆっくりと私に近づいてくるその姿を、陶然と見守っていた。
跡部side
シャワーを許す時間も惜しいくらいに早く欲しくて、明かりを消すことも許せないほどその姿を焼き付けたいと思う。
今まで数え切れないほど抱いた女との行為を思い出せないほど、余裕が無い。
咲き誇った花に誘われるように、本能のまま口付け愛撫に手をすべらしていく。
伏せられた睫の長さや、白くてすべらかなその肌に一つずつ自分の理性が崩壊していくさまがはっきり分かる。
1度絶頂を極めたの姿は、凄絶なほど色っぽい。
早く繋がりたい。初めてのガキのように気持ちが急く。
それを誤魔化すように、ゆっくりと服を脱ぎを見ると魅入られたようにこちらを見ていて快楽に解けた様をまざまざと見せ付けられ、己が苦しいくらい張り詰めるのが分かる。
の上に覆いかぶさり、花芯に口付けようとすると。
「…も…う、来てっ」
小さな声でそう言われて、かすかに残っていた理性が粉々に砕けたのが分かった。
両足を、ぐいと割り開き。
はち切れんばかりになったモノを入り口に擦り付けて、蜜を絡ませるとそれだけでも刺激になるのか。
「ぁっ…んっ」
とたまらない声で鳴く。
濡れすぎていて滑るソコに体重をかけてグっと分け入った。
「…あぁっ……やっ…んっ」
狭すぎるソコは俺にたとえようも無い快楽をくれる。
顰められた眉が、の苦痛を物語っているようだった。
身体の間に指をすべらせ、プクリと立ち上がったままの花芯をやさしく刺激するとの緊張がほぐれ痛いほどの締め付けがふっと緩む。
その隙をついて、ぐっと一気に置くまで押し入った。
好きな女に包まれる。ぴったりと身体を重ね合わせ、これ以上近づけないほどそばに来た俺達。
満たされる。
誰かと抱き合って、こんな風な充足感を味わったのは初めてだった。
快楽の度合いやそんなモノだけじゃ測れない幸福感だった。
奥まで貫いた衝撃をまぎらわす為に、花芯や乳首を刺激しつつ。が慣れるのを待った。
すぐさま突き上げたい衝動をこらえるのに精一杯だった。
今までの自分なら、己の欲望のまま振舞っていただろう。
だが、には優しくしたいとそう思う。
「ふっ…んっ…ぁ」
の吐息が艶めいたものになるのを待って、ゆっくりとした律動を始める。
じれったいほど優しく動かす。既に見つけていたのいい場所を、集中的に攻めながら腰を使う。
「ぁ…ん。あぁ…や、もっと」
ゆるゆるとした律動に焦れたが、「もっと」と言う。
求められている。その事実が嬉しくて堪らない。
「俺が欲しいか?」
「ヤっ、もう…いっ…じわるっ…しない…で…ぁ」
ちゃんとした言葉を言わないに罰を与えるために、ぐるりと腰を回すと両足に腰を引き付けられた。
「行動じゃ無く。言葉が欲しい」
耳元で、そう甘く囁くと。
「景吾がっ…ほしいのっ…もっと強くしてっ…」
羞恥に真っ赤になりながらもそう言った。
嬉しくてたまらない。
それでもなお動かない俺に、焦れたの腰が揺れる。
くちゅと音聞こえるほど、限界まで腰を引き一気に置くまで突き入れる。
脳髄がしびれるほどの快感と、息が詰まるほどの愛しさに精一杯の気持ちを込めてを貫く。
すぐに限界を迎えそうなの頂点を何度もはぐらすと、すすり泣くような嬌声を漏らしだした。
「ぁっ…んっ…はぁん…」
その声が可愛くて、愛しくてずっとその声を聞いていたくて自分自身も限界まで我慢した。
どうはぐらかしても、どんな刺激も頂点へむかう刺激になるのかすでに焦点のあっていないを追い上げるべく激しく腰を使う。
きゅきゅきゅと俺自身も激しく締め付けられる。
それをやり過ごして、激しく突き上げると。内壁が激しく痙攣して。
「んっ…あぁ…イクっ…ゆう…しっ…」
そう言って、がイッタ。
その締め付けに連動され射精を誘発されの中から即座に抜き取り、俺自身もの腹の上に白濁を放つ。
今まで熱かった熱が瞬時に凍る。
を見ると、極めると同時に気を失ったようだ。
「ふっ、はははははは・・・」
乾いた笑い声が辺りに響く。
を抱いて自分のモノにしたと思っていても、即座にすり抜けていく。
「何処までいっても俺のモノにならない」
憎くて、可愛いお前。衝動的に首を絞めようと、両手を首に這わすけどその暖かな感触と泣きたいほどの慕情にポツリと雫がのほほに落ちる。
「愛しているんだ、。俺を愛してくれ」
そう呟いて、眠るお前の唇に口付けを贈る。
幸福な夜になるはずだった。
だが、何故こんなにも胸が痛い。
2006.02.16UP