守ってあげたい 27話











翌日、てっきり忍足から呼び出されるだろうと思っていたが予想に反して特に反応は無かった。


これは、もしかして失敗したかなーと思う。
もしかして、私に対して興味が失せたとかかなと思うけど、まぁそうだったらそれはそれで仕方ないのだろうけど…。

タイプ的に、処女性がどうのこうの言うような感じでも無いから知られても大丈夫だと思ったんだけど。

私の読み違いかしら?とか色々考えていたんだけど、元が面倒くさがりのせいでまぁいいかって感じで考えるのを放棄していた。


「昨日、大丈夫だった?」


朝登校すると昨日跡部に連れ去られる私を見ていたが気まずそうに、聞いて来た。


「犯されそうになりました」

「えっ…マジ?で、大丈夫だったの?」

「一発頭突きを食らわしてやったら、萎えたようで無事でした」

「ぶっ…くくくっ…うそ、跡部君に頭突きしちゃった訳?…あはははっ…もー、たまらん」


何故だか、大爆笑の嵐になっている。というか、まーた悪目立ちしてるんですけど。

おかしいなぁ、そんなに笑われるようなこと言ったかしら?


さん。非常に目立っているのですが……」


案に昨日の二の舞ですよという風に匂わせてみる。

それを聞いてやっと、笑いをひっこめてくれた。

が、微妙にまだ肩が揺れているんですけど……。


「そんなに大爆笑されるようなこと言った覚えないんだけど……」

「いや、だってあのお綺麗な顔に頭突きかませるツワモノはだけでしょ?現に、話を聞き耳たててたファンクラブの子たちギョっとしてたわよ。その顔見たら余計に可笑しさが倍増しちゃって……」

「というか、私達の会話って結構聞かれてるの?」

「うーん。だって、は跡部が初めて本気になった女として有名だからねぇ。ある意味注目されてるのよ」

「あらぁ……。そうだったのか、初めて本気になった女ねぇ……。だから、注目されれるのか……。でも、イマイチそう言うの分かんないや」

「跡部君を袖にして、忍足君と付き合ってる女なんて目立つこと請け合いでしょ?なのに、跡部君はファンクラブ一同に引き続きに手を出さないようにって言ってるらしいしね」

「へぇ。まだ続いてるんだそれ。そのおかげで、未だ呼び出しゼロな訳ね」

「流石に鈍いでも、その事は知ってたのね」

「ああ、忍足に教えてもらってたの。ふと疑問に思うんだけど、跡部のファンが居て跡部が抑えてるのは分かるけど。忍足のファンも居るんじゃないの?」


ふと疑問に思ったので、聞いてみるとに深ーいため息を吐かれてしまいました。
とりあえず、周囲の聞き耳をたてているギャラリーが気になったので、教室から人気の少ない廊下へと場所を移して話を続ける。


「………。鈍い鈍いと思っていたけど。これほどとは思わなかったわよ。忍足君に聞かなかった?」

「何を?」

「昨日だけど、忍足君がファンクラブを解散して欲しいって言ったらしいわ」

「ファンクラブの解散?」

「何でも、本気になりそうな女が出来たから他所の女はもう目に入らないんだって、そう言って回っていたらしいわ」


からそれを聞かされて、ドキンと胸が高鳴った。


「それって、もしかして」

「もしかしなくても、の事だと思うわ。あのね、もし忍足君の事本当に好きになったのなら、私の事は気にしないでね」

「そ、んな訳ないじゃない。私は忍足を好きになってなんかいないわ」

「……。がそう言うなら、これ以上私は何も言わないけど。自分に嘘つかないって約束して、

「もう心配性なんだからぁ……。大丈夫よ。私は自分に正直に生きているつもり。だから、予定通りの行動を取るつもりよ」


『自分に嘘つかないで』そう言うの言葉が、今の自分にとって非常に重たかった。

自分に正直に生きていると言った言葉は、半分嘘で半分本当だった。だけれど、自分の気持ちを把握していない私は忍足への自分の気持ちが分からなくなっていた。

跡部が私にむける痛いほどにまっすぐな思い。

思惑を隠しながら、忍足へと近づいていってゆっくりと忍足へと傾いていく自分の気持ちが自覚出来ていた。

でも、これが愛かと聞かれると正直分からないとしか言いようが無い。

同じ思いをしているから、誰よりも忍足の気持ちが分かる。だから、一緒にいるととても楽で自然に微笑むことが出来た。

恋愛経験の少ない中学時代なら、これが愛だと錯覚することが出来ただろうけど。でも、多分違うと思う。

そう思おうと、思い込もうとしていた。














忍足の部活が終わるのを待って一緒に帰るのは数えるくらいしかしていないけど。

この間の埋め合わせがわりに、一緒に帰ろうと言われてしまって流石にその誘いにはNOって言えなかった。


「お待たせやな」

「お疲れ様。さぁ、帰ろ」


わざとらしく、見えるところでは腕を組んで帰る帰り道。

氷帝を出てから、5分くらいは同じ学校の生徒も多くて、でもそれを過ぎると自然と組んだ手を離していた。

でも、その日は違っていた。手を解いて距離を取ろうとすると、ぐっと腰を抱かれて引き寄せられた。


「何?」


引き寄せられついでに、普段は曲がらない角を曲がってしまう。


「俺ん家来ぃひんか?」

「……………。下心が無いなら行ってもいいわよ」


至近距離で忍足の顔を見つめても、ニコっといつもどおり微笑まれてしまう。


「下心なんか、あるに決まってるやろ」

「帰る」


問答無用で踵を返そうとしたけど、後ろから。


「跡部から、全部聞いたんやけどなぁ」

「……マジ?」

「俺は心の広い男やさかい、責めたりはせえへんけど。事情聞くくらいはする権利あるとおもうんやけどなぁ……。一応偽りでもカレカノやし……」


責められる謂れは無いけれど、その話を聞いて嫌な汗がつーっと背を伝う。

結局またしてもひきづられるように、忍足の家のマンションに連れ込まれてしまった。


身の危険を感じつつも、忍足を落としきるチャンスとそう思い直して部屋へと入って行った。









 




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