守ってあげたい 間章〜人に言えない夜の事情〜


















最近の金曜日の夜はとても楽しみで仕方ない。

こっちに来て、意外にもさほど不自由を感じることは無かったが15歳になって一つだけ困った事があった。

それは酒である。


お酒はそんなに強くないのだけど、特に日本酒には目が無くてというか、ビールもカクテルも飲むのだが、毎日家で飲むというんじゃなくて出て行って飲むのが好きだっのだ。
だけど、流石に中学生が出歩いて飲むのはいただけないと思うので、最初の頃はお父さんのお酒を買っています風で、お酒を買い込みつまみ片手に一人飲んでいたのだが。


「何か楽しくない」


ということで、金曜の夜は決まって大人っぽくとうか私的には精神年齢と同じく年相応に変装して飲みに行くことにした。
日本酒が好きだなんて、下手すれば親父と一緒に居酒屋で酒を飲むというパターンも有かとは思っていたのだが。
いかんせん、変装がバレて警察沙汰なんぞになったりしたら面倒なので薄暗いBARで日本酒が飲める所を探してみると、何件か探すうちにHITしてそこへ通うようになっていた。


内装は普通のBARなのだけど、ちょっとカウンターに目をやると日本酒の酒瓶がゴロゴロと目に入る。

そこで日本酒を注文すると、おつまみはカシューナッツとかではなく塩辛や梅干なんかが出てくる。

私にとってはパラダイスのようなBARを発見してホクホクだった。


金曜日の夜はしたたか飲んで墜落するように眠りに付くのがここ最近の日課だった。


だから、土曜日の朝はあまり使い物にならないのだが。



そんな事知ったこっちゃ無い方々が、土曜日の朝に来てくださりました。



AM6:30にいきなりマンションのインターフォンが鳴って。


ピーンポーンと響き渡る音が遠くから聞こえて、最初は無視していたけど。あまりの連打ぶりに流石の私も目が覚めました。


文字通りの屍状態で、インターホンまでたどり着き。


「だ、だれー?」

「オレだって開けてくれよ〜」


どうやら相手は向日らしくて。


「ガっくんだ〜」


おおっ、ちまちま生物に会いたいよーっと本能が作用して屍になりながら開錠していた。

オートロックの玄関の開錠しただけなので、エントランスから入って5分後に今度は玄関の扉のインターフォンが鳴りはじめました。


「だ、だれぇ……。」


のそのそと、貞子のように四つんばいになって玄関まで行って鍵を開けると。


「よう」


朝から、爽やかな笑顔の跡部&ホスト部ご一行様を発見して開けたドアを思いっきり締めようとしたが。


ガッ


どこぞの押し売りのように、閉まるドアに足を差し入れてきた。


「おっおい、イテ…」


相手がテニスシューズだろうが、お構いなしにぐいぐい締めようとするけど。
そこはそれ、腕力の違いであっさりドアを開けられてしまった。
入ってとも何も言わないうちに、ドカドカと奴等が上がりこんで来た。
というか、ホスト部ご一行さま全員居たような……。朝から濃っ。

そんな中、長太郎だけが爽やかに微笑んで。


「おはようございます。さん」


って言ってくれたけど。他のヤツラは軽く無視ですよ。
どういう教育受けてるんだよと、思ってしまった。

当然の様にソフォの真ん中にドカっと跡部が座って。


「随分な歓迎振りだな」


とのたまった。おーおしっかりと額に青筋が浮き出ております。怒ってるよー。


「というか、何?今何時なの?」

「6時半やで」


と脇から忍足が話しかけてきた。


「レギュラーご一同様が何の用?」

「今日、地区大会なんでちゃんに応援に来て欲しいって跡部が言うから迎えに来たんだCー」


とジロー。


「…………」


ちょっと待て、たしか地区大会はこいつらレギュラーの出番は無かったような気がするんだが…。私の記憶違いか?


「へぇ…。皆出るんだ?なら見てもいいかもね…」


瞬間ピクリの反応する跡部。あぁ、やっぱレギュラーは出場しないっぽいですね。


「んー。俺らは出なっふがっ」


喋りかけた、ガっくんの口を後から塞ぐ忍足……。

ある意味あんたら分かりやすすぎます。


「でっ、出るぜ。だから、俺様の美技を見に来い」


じーっと跡部を見詰めると。少し焦りつつ、そう言った。

今の勢いだと、部長自ら地区大会に出場しそうよね…。
というか、話変わってしまうじゃない。そ、それだけは避けたいかも。
地区大会から、あの氷帝コールが響き渡るって…。漫画の展開変わるじゃない。


「本当に出るの?」

「あっああ…」


お兄さんおもいっきり顔が引きつっていますよ。もし、これで私が応援行くとか言うとこの人榊監督に電話して自分が出るとか無理言うのでしょうね。


「へぇ…。たしか氷帝って地区大会じゃレギュラー出ないって聞いてたのに、変わったんだねぇ」

「いや…。それは…。」

「というか、あんた達が出るまでのものでも無いんでしょ?」


跡部以外に問いかけると、あっさりと頷いた。


「……。というか、何でこんな時間にうちに来たのかが知りたいんですが…。」

「部長命令だCー。跡部だけじゃあ、エントランスさえ突破できないから連れてこられたんだCー。というか、俺眠いから寝るね」


そう言うとジローはリビングのふわふわのラグの上でパタっと寝てしまった。
多分無理矢理連れてこられたんだねぇ。


「へぇ…。そんなに私が好きなんだ?」


思いっきり、皆の前で問いかけてやる。
さぁ、どう出る?


「そっ、そんな訳じゃねぇだろ…。俺様がお前の事を好きだ何ていつ言ったんだよ」


思いっきり態度に出ていますがな。おそらくその場に居た、眠っているジロー以外の人間は同じ突込みを入れそうになっただろう。


「ほほぅ……。ならなんで、私はこんなに朝早く起こされてしまったのですかねぇ。
 誰かさんが、出ないはずの試合をわざわざ応援という口実で
 私を連れ出す為にこんな朝も早くから、テニス部全体巻き込んでいい迷惑よね?」


手じかに居る、皆に問いかけると。


「んー。俺は、面白そうやから別にかまへんけどなぁ…」

「あっ、俺はさんの家に来てみたかったんで別に良かったんですけど……」

「オレはいい迷惑だぜ?」

「まぁ、長太郎が迎えに来るから仕方なく来ただけだ」

「…ウス」


ですかぁ…。まぁ、独裁者の跡部を止めるほどのキャラクターは居ませんものねぇ。


「向日と宍戸はイヤイヤ来た訳ね。なら跡部止めなさいよ」

「俺等が止められるかよ」


目をやると、んーほのかに頬を染めた俺様が目に入りますねぇ。
もしかして、この人私が初恋だったりなんかします?
つーか、二日酔いで気の遠くなるほど吐き気がして尚且つ喉が渇くのですが、微妙に目眩もするし。


「つーかちょっとタイム」


そう言って、お客様ご一行をほおっておいて台所にミネラルウォーター目当てにやって来た。
六甲の美味しい水を出して飲もうとして、グラスにトクトクと注いでいると。
後から。


「なんや、匂うんやけどなぁ」


と忍足が急に現れてクンクンと私を嗅ぐ。


「なっ、何?」

「ちゅーか、酒臭いで」

「な、訳ないじゃん。私中学生だし、まぁ確かに今気持ち悪いけど…」

「この匂いはどう考えても、酒以外にあらへんと思うねんけどなぁ」

「たっ体臭?」

「…………。」


シーンっとしばしの沈黙の後に。


「ほぅ、なら試させてもらってもええかなぁ?この前の貸しもあるしなぁ」


そう言って、どんどん近づいてきてシンクに押し付けられてとっさに忍足に背を向けて口付けを避けてみた。
もうあんな過ちは沢山だから、全身を使って拒否してみる。だけど、下手に経験値があるらしくて背をむけると後から抱きこまれた。
がっちり後から覆いかぶされて、頬に唇を感じる。両腕の上から抱きしめられて正直身動きが出来ない。


「おっ忍足くーん。この間の事は謝るから…止めて…」

「いやや。男のプライドがそれを許さへんねん」


そういうと、左手一本で私の抵抗を封じて、なんとヤツは胸に手を伸ばしやがった。
テニスをする大きな手で、ゆっくりと揉まれて。寝るときはブラジャーを外しているから、だからパジャマの上からの接触でもやりたい放題にされた。


「なんや、思ったより胸あるらしいなぁ。片手に収まるこの感じえー感じや・・・」


感想なんぞ述べんでいい。こっちは必死で振り解こうと必死なのに…。余裕かましているヤツが憎い。
一通り感触を確かめるように撫で上げられ、揉まれたあとに刺激で主張しつつある胸の頂きを発見されて服の上から掴み上げられた。


「……ぅ…」


上げそうになる嬌声をかみ殺すのに精一杯だった。注意力が散漫になった時、顔を後に傾けられ無理矢理口付けられた。
無理な体勢のキスなのに、施された愛撫でなんだか体が盛り上がってきた。
最初は小さく啄ばまれて、じょじょに唇を舐められて中に舌が進入しかけて…。


「まずぅ」


うえーっとか言いながら、突き放されてうがいまでされた。


「やっぱり、二日酔いのにおいやん。こればっかりは誤魔化しようがないでぇ」


私の意見も無視して胸まで揉んであげく無理矢理キスしたあげくに、まずぅって……。コイツどうしてやろうか。
怒りにフルフル震えながら、どうしようか思案していると本気で具合悪くなってきて。


「トっ」

「と?」

「トイレつれてけボケ!」


顔面蒼白になって、なみだ目で訴えかける私の気迫に気圧されて殆ど荷物のように運ばれたけどちゃんとトイレにまで連れてきてくれた。


さんざん吐いた後にすっきりして、出てきた後に。


「跡部たちに具合悪そうやって言うったったけん。もう帰るらしいで」


優しいのか、何なのか良くわからないお人です。


「二日酔いってのは、内緒やからな」

「もしかして恩売ってる?」


私のこの問いにフフンっと笑って。


「そういう事にしとくわ。ちゃんと貸し返してもらうつもりやから覚悟しいや」


というか、さっきのでこっちがお釣りまで貰える状態だと思うのですが…。

青い顔のまま跡部の前に行くと。


「具合が悪いなら早く言え」

「あっ…いやぁ…」


具合が悪いと言っても、二日酔いですしな。
後で、忍足がニヤニヤしているのが目の入る。微妙にムカツク。


「とりあえず、寝てろ」


そういうとポスンと頭を一撫でされた。
そう言って、跡部様ご一行は帰って言った。あっ、寝てたジローは樺地が担いで帰りましたさ。

とりあえず、自分のせいで漫画のストーリーが変わりそうだったのを防げてちょっと安心。


その後、長太郎とがっくんからメールが入ったりしてちょっと幸せな土曜日でした。


あ、今だに跡部に携帯の番号&アドレスを教えていないのは可哀相かなぁっと思うけど。
下手に教えるとなんだか、濃い内容のメールが来そうなので現状維持のまま行こうと思った。



忍足の一件は頭の中から追い出しつつ。


ともかく、そんな週末の出来事でした。










 
以下後書きは反転処理
と、いうことで壱萬打企画リクエストでそらさまから頂いた、
「逆ハー」「ちょっとH」「ギャグ」に基づいて私なりに頑張ってみました〜。逆ハーには程遠い出来のような気がしますが・・・。
番外編にしようと思いましたが、その話の設定も本編に関りあるので間章にしてみました。
とりあえず、そら様に捧げてみます。リテイク無しだとう、嬉しいです。




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