守ってあげたい 13話
ここ最近の悩みを解消すべく、お昼休みに跡部の目を掻い潜ってとお昼休みにある場所に行くことにした。
そこはある意味私にとって鬼門なんだけど、あいにく家庭科の授業の無い私達にはその場所は必要だった。
こそっと入り込んだ場所は、この間私がうっかり忍足とキスしてしまった。保健室だった。
「本当にあるの?」
「あるでしょうそりゃ。身体測定でも測るから、絶対あるって」
そう言うと無人の保健室の中、前年度は保険委員だったという触れ込みのがごそごそと引き出しを漁っている。
「だって気になって仕方ないんでしょう?」
「まぁ、そりゃ…。」
「あっ、あった。じゃあ、行きますよー。はい腕上げてー」
と謎な会話をしていますが、何のことは無いメジャーでバストのサイズを測ってもらっているだけなのですけどね。
「えーっとアンダーが64、5センチって細っ、トップが78センチってこれ多分Cカップじゃない?」
「おおっー。やっぱりそうかと思っていた所なんだー。今のBカップのスポーツブラじゃ心もとなくって・・・」
「今時スポーツブラですか?どこのお子様かと思うわよー。やっぱ勝負下着は必要でしょ?」
と、は私と二人ということもあって下着をチラみせしてくれる。
おおっ、色は薄いピンクだけどレースが沢山使ってて、大人っぽい下着ですな。私も、前はああいうの一杯持ってたから。
「という、さんは勝負下着が必要ということは彼氏居るんですな?」
「へへっ…。まぁね、でも全然かっこよくないの。でも優しくて好きなの」
そう言って微笑うの顔はとても幸せそうで、いい恋愛しているのが良く分かる。
「んー。多分だけど、年上?」
「えっ何で分かるの?」
「大人っぽい勝負下着が必要って、同年代じゃそんな下着必要ないでしょ?」
「ああ…。んーでもなかったのよ、こう見えても同年代の男の子相手でも気使うわよ。まぁ、でも今は今の彼専用に色っぽくて可愛いの選んでいるけど」
さっきまでの幸せそうな顔のとは、違って少しかげりのあるその表情。
「その前の彼氏っぽい、同年代の男ってもしかして忍足?」
「…ッ。ってたまに、すごく鋭いのね。普段は鈍い時はおかしいくらいに、鈍いのに…」
何気に褒められて、貶されているような気がするけど。まぁ、ここはスルーで。
「ということは、やっぱりそうなんだ」
「うん、でも昔の事よ?1年間くらい前の話だし、私が本気で忍足君が遊びだった。それだけだから…」
昔の事そういうの言葉とは裏腹にその表情はすぐれない。
「忍足許すまじ、機会があったら1回締めとくね」
私の言葉を聞いて、肩が揺れている。
え?もしかして泣いちゃった?
「大丈夫??」
「…プ…あはははっ…っていい子よね…。何だかと一緒にいると、愉しくって笑いが止まらないわ。ありがと、本当は私がきちんと向き合えれたら一番いんだけど、意気地なしだから…」
そう言って微笑うの表情があまりに綺麗で。
「だから、機会があったらがきっちり締めといて」
そう言ってまた、茶目っ気たっぷりに微笑むを見ていると。とても大切に思えた。
だから、忍足は機会があったらキッチリ締めようと思った。
大切な大切な、私の友達。大好きだから、仲良くしようね。
ひとしきり笑いあっていると、廊下が少し騒がしくなって。
「ね、もしかして保健室に誰か来ようとしているのかも?」
「マジ?」
不法進入まがいに、保健室に来てメジャーを漁っていた私達はあわててしまって。
「どうする??」
「とりあえず、隠れよう」
二人で、この間忍足が寝ていたベットへと隠れた。
ガラガラガラ
「まぁ、コーヒーでも出してあげるから。飲んだら、サボらないで授業に行きなさいよ」
「へぇへぇ。全く、いつまでたっても美冴姉さんは子ども扱いするんやから、かなわんわ」
入ってきたのは、この声から保健の先生と特徴あるエロボイスから噂の忍足だと思われた。
思わず、と顔を見合わせる。
「私にとっては、いくつになっても手のかかる弟ですからねぇ。サボってばっかり居ないで、真面目に授業に出てくれるならこんな心配しなくてもいいんだけどね」
「弟って、俺の方がもう背も高いんやで」
「いくら背が高くなっても、私にとってはいつまでたっても泣き虫のゆうちゃんよ」
「…美冴姉さんにはホンマ、かなわんなぁ……」
「あはは…言ってなさい」
プルル、プルル
内線の入る音がして、保険医の先生が受話器を取って一言二言話した後に。
「じゃあ、ちょっと呼ばれちゃったから職員室に行って来るね。それ飲んだらさっさと授業行きなさいよ」
「へぇへぇ」
「もぅ、ちゃんと出なさいよ」
そう言って出て行ってしまった。
どうやら、保険医の先生と忍足の関係は私が想像したアダルティなものではなく、親戚のお姉さんとその弟って感じだった。
でも出るに出られなくなってしまった、私とは息を殺して忍足が出て行くのを見守るしかなかった。
しばらく沈黙が続いていて、そっとカーテンの隙間から忍足を見ると。
一瞬わが目を疑ったのだが、女物の薄いピンク色のカーデガンを大切そうに抱きしめていた。
それって、多分保険医の先生のよね…。
とても切なそうな顔をして、抱きしめているその行為から導き出される答えは。
片思い……ね。しかも、告げる事も出来ない完全な一方通行の思い。
そこまで考えて、様子のおかしいに気がついた。ポロポロと涙を零しているのだ。
至近距離でを見詰めると、涙を流しながらすがり付いてきた。
ああ……。なんだか分かっちゃった。忍足あんたの女遊びの原因は、ソレなのね。
とっても切なくて、かわいそうだとは思うけど。自分の報われない恋のやるせなさをまぎらわせる為に、自分の事真剣に好きな女の感情弄んだのね。
許さない。
こんな状態になっても忍足に見つかりたくないのか、必死で声を押し殺して泣き続けるを抱きしめて。
絶対、懲らしめてやると心に誓っただった。
2005.10.29UP