守ってあげたい 17話
正直今のテンションで、忍足と話をするのはきつい。
でも、ああやって跡部を傷つけてまで自分が成し遂げようとしたものをしっかりこの瞳で見たいと思ったのだ。
「何や、話って」
私の近く、30センチも離れていない場所に忍足は当然の様に腰掛けた。
気だるげに、髪をかきあげるその仕草が中学生にはとても見えない。
フェロモンが目に見えるなら大量放出されてそうです。間近に来られて、至近距離で見詰められるとある意味吸い込まれそう。
んーでも、女モノの香水とか匂ってくるって言う事は。
「昨日はお盛んだったようで」
「あぁ…。に言われてから、マグロの女やない遊びなれた女捕まえてみたけど…。大した事あらへんかったわ」
そう言いながら、凄絶なほどの流し目をくれる。
サブイボが立ちそうになりますよ。
思わず自分で自分の腕をさすって、鳥肌になっていないか確認してしまった。
「相変わらず、乱れてますねぇ……。」
「そうでもないで。これが普通の生活やしなぁ」
乱れた生活が普通って、どんな感覚なのですか?実家のお母さん泣くぞっと思ってしまったのは、ちょっとババくさいかなと思うけど。
「そんな生活する為に、氷帝来たんだ?」
「なんやて」
私のたった一言で気色ばむ忍足……。図星だったから腹が立つのでしょ?
「嫌だ、図星さされたから怒ったの?テニスの腕があって勉強が出来るなら好き勝手出来るから氷帝に来たんじゃないの?
あっ違ったか、美冴姉さん恋しさからかな?」
我ながら凄い嫌味。さぁ、氷帝の天才さん。その巧妙に被った仮面を脱いで、素の顔を見せてごらん。
トンっと肩を押されて、ベットに押し倒されると泣き笑いのような顔をした忍足が覆いかぶさってきた。
「お前に何が分かる……。美冴姉さんは兄貴と結婚して、本当の俺の兄弟になるんや。
そんな人に愛してるやなんて言える訳ないやろ?」
ああ…。そうか、それが貴方の傷なんだ……。
忍足の傷の元が分かって、ここに来た目的が満たされて思わず安心するけど。
悲しそうなその顔に、昔の己の傷がオーバーラップする。愛していると言えないと思えば思うほどに、募ってゆく思い。
愛しているそう思うたびに、自分で自分を傷つけてその痛みを他で紛らわす。
でもそれじゃあ、本当の意味では満たされないよ。
首元にキスが降りてきて、制服のシャツの釦が忍足の器用な指で外されていく。
あっ、今日の下着って……。色気の無いこと甚だしいBカップスポーツブラなのですが・・・。
案の定、ピタって動きが止まりやがりました…。
「随分、面白い下着付けてるなぁ」
「ふふっ、でしょう……。流石に勝負下着は着こんで無いので、後日仕切りなおしとかじゃ駄目かなぁっと思いつつ」
話しながら、外された釦を嵌めなおそうとするとその手を取られて片手で頭上にはりつけられた。
「そんな言葉を信じるほど甘ちゃんやないで」
そう言われて、スポーツブラを上にずらされてしまいました…。体制的には絶対絶命だけど、想像すると少しマヌケよねぇ…。
と、余裕ぶっていられるのもここまでだった。
いきなり、忍足が胸の飾りにキスをしかけてきたのだ。
感触を確かめるように、舌で転がし軽く吸い上げられる。
その繊細なタッチに、かなりのテクニシャンだなぁっと思わず感心してしまいそうになるけど。
漏れ出そうになる声を押し殺すのに、精一杯だった。
忍足の開いた、左手で今度こそ下肢を探られた。
えーっと下は何はいてたっけ……。いかん、普通の白のレースだわ…。くまのバックプリントでも掃いてたら萎えてくれたかもしれないのに……。
性懲りも無く、そんな事を考えつつ。どうやって、逃げ出すか考えてみる。
一応防衛作を取ってから、ここに来たけどそれが来るまでまだ時間がかかるし…。
下着の上から、ゆっくりと摩られて摩擦から繊細な部分を守るように蜜が溢れ出してくる。
「何や、濡れてきたやん。嫌がっとっても体は正直やん」
ガーガー反論したい気分だけど、口を開いたら嬌声になりそうで精一杯の反抗に睨んでやる。
というか、こんな所でロストバージンしている場合では無いのだ。
綺麗な体のままで、15歳の私にこの体戻さないといけないと思っているから絶対にここで忍足とHする訳にはいかないのだ。
改めて、忍足の顔を見ると口調の軽さと反比例するように何処か苦しそうだった。
「…っ、こんなこといくらしても、楽しくないし満たされな…いよっ…」
「満たされるか満たされへんかは、俺が決めるんや」
その言葉と共に、首筋を吸われ下着の横から指を差し入れられた。
「……ぁっ…うっ……」
「結構ヌルヌルやし、これなら慣らさんでも入りそうやなぁ…。んー、どないな感じやろなぁ…」
ゆっくりと繊細なタッチで、秘裂をなぞり指を1本入れて来た。
「やっ…やめっ」
「うわっ、キツ…。指食いちぎられそうやって、感じるんはええけど。ちょっと緩めてくれんとなぁ」
感じるも何も、精神は熟練?でも体は若葉マークもいいとこですし……。
時間稼ぎに何か…っと其処まで考えて。
「もう、逃げたり抵抗したりしないから。手離して」
「ホンマか?」
「自由にしてくれたら、楽しませてあげる」
ペロリと自分で自分の唇を舐め濡らして、挑戦的に笑う。
通用するかなぁっと思っていたが、やっぱり男はバカのようです。あっさりと両手の拘束を解いてくれました。
ついでに、体を捻って入っていた指から逃れてみる。
「お楽しみは、最後にしなくっちゃねぇ……。」
そう言って髪をかき上げてみせる。成る丈、不自然にならない程度に行動をゆっくりにしてみる。
自分が攻められたく無い場合は、相手を攻めるしかない訳で。
忍足のズボンの上からでもはっきりと、形を変えているものをゆっくりと撫でてみる。
うわー。何だかこれだけでも、妊娠しそうな予感。快楽に歪む顔が無茶苦茶色っぽいんですが……。
「ねぇ、忍足。こうやって、体が満たされても心が満たされないとHって虚しいよ?」
「心が満たされるやなんて、夢のまた夢や…。それより、なぁ」
顔をぐいっと下肢に持って来られました。
うっ、ご奉仕しろって事ですか?そこはかとなく嫌なのですが…。
ふぅっとため息を吐いて。
チャックを口にくわえ、ゆっくりと下ろしてゆく。
何処のAV女優かって己に心の中で突っ込みを入れながら…。んーでも時間稼ぐのにはもってこいなのですが……。
後は、下着の上から愛撫とかして誤魔化す?とかかなーっと今後の展開に悩んでいると。
ガチャガチャガチャっと扉を開けようとする音がして。
「さん。居るんですよねー。鳳です。開けて下さい」
「はーい。今開けるねぇ」
天の助けと、固まった忍足はそのままに身づくろいもそこそこに内鍵を開けてさっさと長太郎と退場してみた。
保健室に来る前に、保険をかけていたのだ。忍足との事を話すから、15分後に保健室に来てと長太郎を呼び出していたのだ。
「さん!?今中に居たのって、忍足さんじゃあ……」
「うん。ちょっと取り込み中だったんだけど、まだ全部許すには早いかなぁっと思って、逃げ出してみた」
「と、言うと付き合っているのは本当の事なんですか?」
「うーん。まぁ、そういう事になるかなぁ……。あっ、交友棟にでも行こうか?」
「いえ、音楽室にでも行きませんか?」
「うん。いいよ」
立ち話もなんなので、音楽室に行く事になった。まぁ、ここからだと特別教室棟の方が渡り廊下で繋がっているから近いしね。
そこで起こる事態の事なんて全く考慮しないで其処に向かっていた。
2005.11.08UP