「16時、まだいたの?もう下校時刻過ぎたよ」
「あ、月。なんとなく、帰りたくなくて」
「もう、僕と太陽しか残ってないよ。僕らももう帰るし」
「あー、そう、だよね。」
「お、16時。一緒に帰るか?」
「太陽、…うん」
「なんだぁ?帰りたく、なさそーだな」
「うーん、うん。ねぇ、どっか寄らない?」
「すげぇな、お前。このタイミングで月を誘うやついるんだな」
「16時、試験準備期間中だから、部活も委員会もなしでこの下校時刻だって自覚……なさそうだね」
「そうだっけ、そういえば。でも期間中だからって寄り道しちゃいけないって規則もないでしょ?」
「ま、そりゃそーだけど」
「太陽、そそのかすようなこと言わない。16時、規則の問題じゃないよ。
僕は帰るけど、16時はどうする?」
「うーん。なんかこう、ひとりでまっすぐ帰るのも、気が乗らないんだけど」
「ほら、肉まんでも食って帰るか?
16時、別にどっか行きたいわけでも勉強したくねぇってわけでもないんだろ?」
「買い食いもあんまり勧めないんだけど……まあ、それくらいなら?」
「……うん」
なんか夕方ってわけもなく寂しい。でも月までこんなこと付き合ってくれるなんて、
実は思わなかったから。ちょっとほっこりして帰ったんだ。
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