「何やってんだよ、12時。11時まで巻き込んでさ」
「……う〜。だって太陽、最近すっごく忙しいし」
「ほぉ?」
「ほんとは先週、太陽と映画見たかったのに!だから平日しかないじゃん」
「それから?」
「私が悪いんじゃないもん。太陽のせいだもん」
「そんで?」
「太陽のばか。意地悪。………もう言うことない」
「11時、いまごろ月に絞られてるぞ。お前のそんな理由でさ」
「………え。ほんとに?」
「嘘言ってどーするよ、こんなことでさ。まあ、付いてった彼女にも責任あるし」
「うそ、やだ、どうしよう……。太陽、止めてきてよ」
「嫌だよ、っていうか無理だ。わかるよな?」
「………。」
「で?12時、そろそろ言えるか?」
「………。ふぇ」
「泣くなよ、泣いてもどーにもならねーだろ。ゆってみ」
「……ごめんなさい……」
いっぱいいっぱい叩かれた。11時も叱られちゃったんだよね……どうしよう。
「後悔するくらいなら、最初っから考えろ?」
そうだけど!だって太陽が、……って思ってる間はわかっちゃうんだよね。
さっきの暴言の分も、校則破って映画見に行った分も、たっぷりと。
「11時にはちゃんと謝れよ?」
「言われなくてもそうするもん」
泣き疲れたころにやっとそう言って解放されて、ぎゅっと抱かれて。
「来週末なら付き合ってやるよ。映画じゃなければ今日の放課後でもいーけど」
「じゃ、両方!」
笑われたけど、でもそれってOKってことだよね。
「でもお前、今日って大丈夫か?」って、いいよ、太陽となら痛くなんてない。
その前に、11時に謝らなくちゃ。取り返しはつかないけどさ、ごめんね、11時。
友達と、恋人がいて一緒に遊べる。
幸せだよねって、思うんだ。
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