「05時、無理してんじゃねぇよ」
「無理なんてしてない、太陽に何がわかるの?」
「そーゆー言い方が、そもそもお前らしくねぇだろ。
気持ちはわからなくもねぇし、努力は買うけど、やりすぎだ」
あの人は明るいのは嫌いみたいで。
だから、地味にしてようって思ったんだよ。
だけど、普段あたしそうじゃないから、どうしていいかわかんなかったんだよね。
2日くらい誰とも話さないようにしてみたら、なんでか隣のクラスの太陽が突っ込んできた。
「何よ、太陽こそそんな言い方、むかつく」
触れられたくない乙女心って、あるでしょ?
だいたい、太陽に知ってほしいんじゃなくて、別の人に気づいてもらいたいのに。
勘の良すぎる幼馴染なんて、持つものじゃないわよね、まったく。
「05時…。そんなふうに言う自分を、どう思うんだ?」
「……放っといて」
やばい、かも。
言い過ぎた、そんなことわかってる、だからたしなめられたってことも。
その上にこの返事は、たぶんオトメゴゴロの問題でフォローできる範囲を超えた。
だけど、だって、止められなかったんだもん。
「来いよ」
案の定、控室に引っ張っていかれて。
ぱしぃん!
「やだ……太陽のばか」
「はいはい、俺のことならいくらでもどーぞ」
ぱしぃん!
甘えて当たるのは、許してくれるらしいのに。
……ごめんなさい、その一言が出るまで叩かれ続けた。
「結構みんな、心配してたぞ。俺にも、05時が苛ついてるように見えたし」
それじゃ逆効果だろ、ってああもう、そーゆーことまで言うかな。
デリカシーないよね!……心配してくれたのは、わかるんだけど。
「……うう。心配かけない範囲でやれって言うんでしょ。わかってる」
「イイコだな」
太陽にそう言われても、嬉しくないんですけど………嘘です、ちょっと嬉しいです。
それからもあたしは試行錯誤を重ねてて、ときどき太陽はあたしを見て笑ってる。
笑ってくれてる間はたぶん、大丈夫だから。
ちょっとほっとしながらも、あたしは全力をつくすのだった。
|