「え、何のこと?知らないよ?」
見なきゃいけないものを、見ないふり。
自分に目隠しするの、苦手じゃないんだ。
「・・・・・。」
え〜っと、黙ってじっと見つめるのやめてよぉ。
どーしてそんなに、淋しげな目をするのさ、って。
ほんとはちゃんと、わかってるけど。
あ〜ダメだ、わかってるなんて思っちゃダメ。
それじゃ目隠しできてない。
勝手にうろたえてるこっちをじっと見続けていたその手が、
そっと目の上に置かれた。
「十数えたら、目隠しを外すから」
凶器なクセにいまは軽いその手の重みが、実は結構気持ちよくって。
「十、九、八・・・」
静かな声の、カウントダウン。
さてはてどうしたものだろう。
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