ありがとう、って。声にならない。
知っています。あれもこれも私のためだということを。
嫌がる私に、手を上げるあなたの方が辛く思っていることも。
知っているのにそれなのに、言い返す、泣く、口を閉ざす。
そうして私はあなたを度々傷つける。
許してほしいの。
けれどあなたは「何のことですか」と、そ知らぬ顔で言うのでしょう。
そんなことよりとあれやこれや注文を付け、きっと私を煙に巻く。
傷を私に悟らせるなど、あなたが最も拒むこと。
でも知っているわ。ありがとう。
いつも素直に思えるわけではないけれど、それは私の至らなさ。
ごめんなさい、ありがとう。
素直に伝えなければいけない言葉だけれど。
いつか声にできるのかしら。
伝えきれない感謝を乗せた、ありがとう。
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