ちょっと、どういうことよ、私のカステラ。
まだ一口も食べてないのよ?取っといたのよ。
戸棚の中には影も形も、
これ私のよ、って言ったわよねぇ?
「ちょっと、残してあったカステラ知らない?」
「お姉ちゃんの?知らないよ?」
「でもあなた、机の上に食べかすこぼれてるわよ?」
「え、嘘、だって食べたのリビングだもの・・・あ!!」
やれやれ。
「お姉ちゃん、ずるい、引っ掛けるなんてひどいよ」
「ひどいのはどっちですか。
あなた自分の分は昨日ちゃんと食べたでしょ?」
「だって、まだ置いてあったから。いらないのかな〜なんて」
「私の好み知ってるくせに。これ私のよって、言ったわよねぇ?」
「だってぇ」
ああ、もう、まったく。
食べ物の恨みは怖いのよ?
それでも素直に謝るんだったら実力行使まではしなかったのに。
「反省の色なしってわけね。だったらお尻にお話しするわ?」
「え、やだ、ちょっとお」
ここまで来たら、容赦しないわ。
私の好みとこの子の好み。よく似てるわよ、よおくわかってる。
似てるのは、わかってるのはそれだけじゃない、
よくわかってるから、泣いてもらうの。
そうね、たっぷりあと八分。
ごめんなさいへの所要時間。
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