50000Hitアンケートのお礼の品でした。

おはようおひさま

「おはよう、とうさん」
「おはよう、大地。今朝はひとりで起きられたんだな、偉いな」

そう言ってとうさんは笑った。そんな言い方、しなくてもいいじゃんかってちょっと照れくさくっていうかやだな、って思う反面、ちょっとうれしいって思う気もする、微妙な感じ。
台所からはじゅわっと目玉焼きが焼ける音が聞こえる。

「あら、大地、おはよう。洋さん、風太と雷太を起こしてきてよ」
かあさんも僕を見て笑って、とうさんとおんなじことを思ったかもしれないけどそこはスルーしてくれた。実のところ僕はけっこう朝が苦手。ふとんの中でごろごろしてるのが好きっていうか、とにかく何となくベッドから離れられないっていうか、あんまりぐずぐずしてるとあとで焦るはめになっちゃったり、ほかにもやな思いするのは分かってるんだけどね。

でも今日は何か、眼が覚めて。
セミの声にカーテンを開けると、お日さまの光がまっすぐまぶしく差し込んでくる。
何でかあんまりベッドを離れるのも辛くなかったんだ。

「ああ、そうだな」
返事をして寝室に向かったとうさん。このタイミングで僕がばっちり起きてることってあんまりないから、ちょっと興味津々でついて行った。

「雷太、風太、そろそろ起きる時間だよ。いますぐ起きたら今日はお兄ちゃんがちょっと遊んでくれるかもな」
「え〜?」
僕はちょっとびっくりしてとうさんの顔を見て、そしてふたりで笑った。まあ、それで風太たちが起きてくれたらちょっとくらい相手してやらないこともないけど、そこまでの時間はないんじゃないかな?
僕たちの笑い声に風太はうっすら眼を開けたけど、「ううん・・・」とか言ってまたふとんにもぐり込んじゃう。雷太はぜんぜん気付いてないみたい。

とうさんは先に雷太を揺すって、で、さっきとおんなじことを言った。
「え、にいちゃんとあそべるの?!」
ねぼけまなこで、でも遊ぶって単語に反応したみたいな雷太は勢いよくふとんを蹴っ飛ばして起き上がった。そのままパジャマで僕のとこに駆けてくるから、ちょっと取っ組み合い。 僕たちのばたばたに風太が何かむにゃむにゃ言いながら、でもやっぱりふとんに沈んでる。

「風太、もう起きる時間だよ、ほら、出ておいで」
「うぅん・・・やだ・・・」
僕もいつもこんなふうに見えるのかな?眠ってるっていうよりこっちのことはぜんぶ分かってるけど、でもやっぱりふとんが良くってしがみついてるって感じに。
でも、まだ風太たち保育園だもんね。起きれなくってもしょうがないんだと思うんだけど、とうさん?

「風太」
わあ。
ちょっととうさんの声が怖くなっちゃって、僕と雷太は一瞬顔を見合わせた。で、僕はいいこと思いつく。
「雷太、風太をくすぐっちゃえ!」
僕たちは風太のふとんに突撃して、外から中からふたりで風太をくすぐりまくった。
「きゃあ、わ、わ、やあ」
風太は悲鳴を上げてベッドから逃げ出す。僕と雷太は大笑いして、父さんも笑ってた。

「おはよう、風太」
「・・・おはよう、にいちゃん」
ちょっとだけふてくされてるとこ、かわいいよ、風太。
目は覚めたみたい、よかった。あのままとうさんが怖くなっていったら・・・・・やだよねぇ。

とうさんがふたりの着替えを手伝ってる間に、僕は台所に戻ってかあさんにご報告。お皿の上にはもうお日さまみたいな目玉焼きが並んでいた。
「もうすぐみんな来るよ。ねぇ、ベーコンも焼いてよ」
「あら、もう焼けてるわよ。・・・・・でもそうね、きょうはご褒美に1枚余分に焼いてあげましょうか。お茶碗、出してきてね」
「やったぁ!」
僕はベーコン大好き。こういうのなんて言うんだっけ、早起きは300円の得?

「惜しい、3文の得よ。昔のひとの言葉だからね」
かあさんはやっぱり笑って、僕のためのもう一枚を焼いてくれた。
ベーコン一枚の得。明日も起きれたらいいけどね。


2010.07.18 up
お礼なのにスパがないなんて!(ごめんなさい(^_^;))

ちびっこ達は10000Hitのお礼ではじめて書いたので、初心に帰って(?)。
明るく元気にのんびりぼちぼち、息長く続けていきたいです。
ありがとうございました&これからもよろしくお願いします。

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