廃プリとAXの昔話。
みんなが手伝ってくれたお陰で引越しは早く終わった。
元々、瑠玖の家もそこまで物が多かった訳でも無かったので
新しい家での家具の設置とかもすぐに済んでしまった。
俺の家にあった物は処分してしまったし。
元の瑠玖の家は不動産業者に頼んで売りに出し、俺が借りていた家は家主に返し。
俺達は新しい家での生活をスタートさせる。
「とりあえずは、ここらへんにソファなんかが欲しいトコやな」
「そうだね、あるといいかも」
風呂も夕食も終えてベッドに腰掛けながら空いている空間を見詰める。
ベッドは奥の部屋に置いても良かったんだけど、そうするとベッドで部屋が埋まってしまったので
今まで通りベッドはダイニングに置いた。
食事をするテーブル、暖炉、キッチンにベッド。
そして奥の部屋は衣装部屋になる。
ホントに少し広くなっただけで、今までと使用割合は変わってない。
そこにプラスαで食器棚とかソファを置こうと考えて居る。
一人で暮らして居た時とは考えもつかない事だらけだ。
「ホントにこれから二人で暮らすんだね」
「そうやで。約束やったやん」
「うん」
頷いたら瑠玖は身体をこっちに向けて頭を撫でてくれた。
「不束者ですが、これからもよろしくおねがいします」
「ぶっ・・・こちらこそ」
急に真面目な顔して言うので、おかしくなって笑ってしまった。
不束者は俺の方じゃないのかなぁ。
そう思いながらまだ笑いを抑えられないで居たら。
ぎゅっと抱き締められた。
少し、力が強い。
「瑠玖?」
「海月・・・」
「わっ」
背中に腕を廻そうとした直後、視界がくるっと回って。
ふわっと石鹸とシャンプーの匂いが香った後。
背中がベッドに着いているのに気が付いて。
瑠玖に抱き締められたまま、俺はベッドに倒れ込んで居た。
「・・・瑠、玖?」
瑠玖は俺を抱き締めたまま、動こうとしなくて。
何だか少し不安になって名前を呼んだ。
暫くして、瑠玖は俺の顔の横に腕をついて身体を少し起こした。
目が凄く真剣だった。思わず息を飲む。
「ど、どうしたの・・・?」
何だろう。心臓がバクバクして来た。
何だか分からないけど・・・いや、もしかしたら。
多分。俺これから何かされるのかもしれない。
直感的にされる側だと悟った。
出来るなら俺も何かしたいけど・・・どうしていいか分からない。
「海月、引っ越して来て早々なんやけど。俺、ずっと我慢しとった事あってな」
「・・・うん」
「嫌やったら嫌やって言うてな」
「・・・うん」
何だろう何だろう。
瑠玖が我慢してた事で、俺が嫌がるかもしれない事・・・。
我慢してた、と素直に言ってくれた事は嬉しかった。
でも、我慢させてた事が何だか悔しかった。
もしかしたら仕方無かった事なのかもしれないけど。
「・・・お前に、触ってもええかな?」
「え・・・?」
触る?
触るのなんて日常茶飯事じゃないか。
頭撫でて来るし、手は握って来るし、抱き締めて来るし・・・。
そこまで考えて、今瑠玖の言う『触る』は別の意味を持っていると言う事に気が付いた。
そう、そう言う事なんだ。
だから、我慢してたんだ。
だから、俺が嫌がるかもしれない事だと思ったんだ。
経験が無くて、初めての事だから。
じっと瑠玖の目を見詰めた。
困ったような目をして、瑠玖も俺を見詰めてただ返事を待ってるみたいだった。
「・・・いいよ」
瑠玖にされる事で嫌だと思った事なんて一度も無いんだ。
多分大丈夫だと思う。
それにして貰えれば、俺もやり方がわかる。
次は瑠玖にしてあげられる。
「あー・・・その前に」
「何?」
「俺な。ゆくゆくは、お前の事抱きたいと思ってんねんけど」
抱きたい?!
抱きたいって事はつまりその・・・俺とえっちをしたいって事ですよね。
それで、瑠玖が俺の事を抱きたいって言う事は?
「・・・抱きたいってどゆこと?」
「あぁ、そうやな。分かりやすく言うと、海月が女役」
「女、役」
・・・そう言う事かぁ。
挿れられる側って事か。
何処に??????
「海月は?海月はどう思てる?」
「え、俺?」
考えた事も無かった・・・。
キスだけで精一杯の現状。
まぁ多分ゆくゆくはそうなるんだろうとは朧に考えてはいたけど。
具体的には何も考えて無かったな。
でも、そうだよね。
男同士だもん。どっちかが女役にならないとえっち出来ないよね。
多分瑠玖は、俺が瑠玖を抱きたいかどうかって聞いてるんだと思う。
男として当然の欲求だと好きな相手を抱きたいと思うんだろうけど。
やっぱ俺変なのかなぁ。
瑠玖に対して持つ感情おかしいのかな。
「・・・瑠玖になら、抱かれたい、かな」
女役でもいいかなって思ってしまう。
勿論他の男に対しては嫌だ。
考えただけでぞっとする。
優しいマスターでものんびりとしたザフィさんでも嫌だ。
「でもね、瑠玖。俺、女の子じゃないよ。どうするの?」
「・・・それは、後で教える」
瑠玖は俺の首筋辺りに顔を落とすと、低い声で「触ってもええな」と囁いた。
顔と首筋に触れる瑠玖の髪の毛がくすぐったかったけど、なんとか頷いてみせる。
途端、瑠玖の口唇が首筋に触れた。
啄ばむようなキスをするみたいに、口唇は首筋に触れる。
その度に身体がびくっとなってしまって、なんだか怖い。
どうしていいか分からなくてぎゅっとシーツを握り締めた。
口唇はそのままに、瑠玖の手がそっと腕から肩を撫で、鎖骨の辺りまで滑って来た。
ホントに滑って来たと言う表現がぴったりな程、優しい触り方。
触られた所がむずむずして何でか声が出そうになる。
「痛い事せんから。力抜いて、怖くないで」
そう言われて自分が身を硬くしていたのに気が付いた。
瑠玖の優しい声に少し安心する。
シーツを握り締めて居た手を瑠玖の頭へと伸ばしてみた。
「ぅわっ」
思わず瑠玖の頭を抱く手に力が入る。
瑠玖の手が服の中に入って来たからだった。
優しく動く指先が直接自分の肌に触れているのが分かる。
やっぱり瑠玖の手が肌をなぞった後はむずむずして、何と言うか・・・。
多分、気持ちがいい。
気が付いたら息が弾んで居た。
キスをしている時よりも息苦しい気がする。
「あっ」
瑠玖の指先が胸の先端に触れた。
身体にピリっと電気が走ったみたいになって、思わず声が出てしまった。
恥ずかしくて口を押さえる。
そんな俺を見て、瑠玖は嬉しそうに笑った。
「尖ってる。感じてくれてんねやな」
感じてる。
そう言われて更に恥ずかしくなった。
だけど、瑠玖の言う事は多分正解で、瑠玖の指がそこに触れる度に身体が跳ね上がる。
気持ちいいと思う。
さっきみたいな電気が走ったような感覚は無いけど、代わりに背中をぞわっとした
悪寒に似た、でも悪寒ではない感覚が走るようになった。
そして、さっきから股間に集まる熱。
これだけはどうにも誤魔化しようが無い。
下半身は瑠玖と完全に密着してる。伝わってない筈が無い。
「声、出そうやったら我慢せんでもええよ。聞かして?」
恥ずかしいのに、恥ずかしいのに。
聞かせてなんて言わないで欲しい。
だけど、瑠玖の手が動く度に喉が引き攣って声が出そうになる。
さっきからそれをずっと我慢しているせいでやっぱり息苦しい。
声を出せば少しはまともに呼吸が出来るだろうか。
余り大きな声にはならないように、詰めていた息を吐き出すように喉を開放してみた。
「んっ、ぁ・・・は」
鼻にかかったような、自分の声ではないような。
そんな、少し高めの声が漏れる。
「可愛い」
それを聞いて瑠玖は満足そうにそう呟いた。
喉が引き攣るのも、息苦しいのも少しは楽になったけど・・・。
果たしてこれは可愛いのだろうか。気持ち悪いと自分では思うのだけど。
瑠玖の頭が下の方へと行ってしまったので、掴むモノが無くなってしまった。
着ている服は捲られて胸を露にされてしまったので、上にたくし上げられた服を掴んでみる。
「んんっあっ」
瑠玖の口唇がさっきの所、胸の先に触れた。
食むように動いている。
女の子のように柔らかい訳では無く、平坦だ。
口に含む事も難しいと思うのに、瑠玖はそこを優しく口唇と舌先で触る。
こう言うのを、愛撫って言うのかな。
俺はただ、されるがまま。
感じるままに声を上げているしかなかった。
同じ事を瑠玖にもやれと言われても、出来ないかもしれない・・・。
「海月」
名前を呼ばれて顔を上げると、瑠玖の顔が目の前にあった。
思わず手を伸ばす。
頭を捕まえた所で、口唇が重なった。
優しいキス。
触れ合って、口唇を食むだけのキスだった。
「嫌やないか?」
「今更聞く?それ」
「そうやな」
お互いに吹き出して笑い合う。
でも多分。これで終わりじゃない。
さっきのキスは言わば中間地点。
まだまだ俺は瑠玖に愛撫されるんだと思う。
「下の方も触ってええかな?」
「・・・聞かなくてもいいってば」
恥ずかしくて顔を背けたら、瑠玖は「そうか」と言って俺の頭をくしゃくしゃにした。
瑠玖の指先は少し焦らすみたいに俺の腹辺りを撫でた後。
思い切ったように俺の両脚を抱えてパンツごとズボンを引き下ろした。
あっと言う間に下半身が剥き出しになる。
見られている、と思うと恥ずかしくて脚を閉じようとするも
瑠玖の手はそれを許してはくれなくて。M字に脚を開かれた。
「瑠玖・・・、そんなまじまじと見ないで。恥ずかしいから」
付いてるモノは同じモノなのに。
そんなじっくり見なくたっていい。
と言うか。
そんなに見るなら、俺も見たい。
「なんか不思議やな」
「何が」
「同じモン付いとる筈やのに、海月のやと可愛く見える」
「気のせいだから、それ」
コレが可愛いだなんてあり得ない。
と言うか、可愛いって暗に小さいって言ってる?瑠玖。
誰かと比べた事とか無いから、大きさとかは分からないけど。
まぁ、確かに大きいとは自分で思った事は無い。
「これやったらいけるわ」
「何、あっ」
太ももに手がかかり、髪の毛が触れる感触がしたかと思うと。
自分の分身が何か柔らかいモノに包まれた。
それが瑠玖の口唇だと、舌だと気付くまで時間がかかった。
先端を舐め取るように動く舌。
敏感な部分だから腰が跳ねる。
勿論今まで他人に舐めて貰った事なんて一度も無い。
自分でだって必要な時以外は滅多に触らないのに。
瑠玖だって他人のモノを舐めるなんて事した事ないだろうに。
何で俺の舐めちゃってるんだろうか。
「あぁ・・・ん、は、ぁ」
これは駄目だ。気持ち良過ぎてすぐ出ちゃいそう。
慣れてないから、出るタイミングとか伝えられないけど、瑠玖大丈夫なのかな。
いいのかな、このままで。
「あかん、顎疲れた」
「あっああああ」
「おわっ」
瑠玖が口を離した瞬間に出てしまった。
先端を吸うようにしたままで離した瑠玖が悪いんだ。
でも、ごめん。顔にかかってる・・・。
「はっぁはっ、瑠玖、ごめ、ん」
「いや、ええよ。良かったか?」
「ん、・・・うん」
顔中俺の吐き出した白濁液まみれ。
これはちょっと酷いなと思って。
起き上がって、やった事無いけど舐め取ってみた。
青臭い匂い。苦くて不味い。
だけど、自分の出したモノ。責任持って処理します。
「そんなんせんでもええのに」
「瑠玖にばっかりさせて、悪いから」
なんとか飲み込んで、また舐め取る。
瑠玖の顔中にキスしてる気分になって来た。
膝立ちで瑠玖の肩に両手を付いて掴まってなんか夢中。
瑠玖の手は俺の腰に軽く添えられてて、動く気配はない。
「綺麗になった」
「おう、ありがとう」
白濁液は無くなって見た目綺麗にはなったけど、瑠玖の顔は俺の唾液まみれ。
やっぱり顔洗って拭いた方が早かったのかもしれない・・・。
それでも瑠玖は何処か満足そうな顔をしていて、俺の腰を引き寄せて抱き締めて来た。
俺は下だけ裸。瑠玖は一枚も脱いでいない。
なんかずるいなぁと言う気分。
「・・・もうしないの?」
「うん、満足した。これ以上やったら押さえ効かんくなるからやめとく」
「そっか・・・」
なんだかほっとしたような残念なような。
でも、俺ばっかりして貰うのも申し訳無いのでこれはこれでいいのかな。
次があるなら俺も瑠玖に何かしてあげられたらいい。
「あ、そういえば」
「ん?」
「俺に触る前に教えてくれるって言ってたの、覚えてる?」
「あぁ、女やないけどどうすんの?ってやつか」
「そう」
頷くと腰を抱いていた瑠玖の両手がするんとお尻を伝い、割れ目をなぞったかと思うと。
「わっえ?え?」
「今度海月に触る時はここも攻めてくから。心の準備しといてな」
ここって。
指でつんと触れられて、ぴくっとしたのは分かったけど。
指も入りそうにも無いそんなトコに・・・本当に挿れるのか。否、挿るのか。
心の準備、と言う事は今度は痛かったりするんだろうか。
少しの期待と大きな不安を混じり合わせながら、瑠玖に愛撫される次を待つ事にする。
次は、俺も少しは触りたいな。
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