シルバースター乗馬クラブに剣戟の音が鳴り響く。
白い囲いの中ではヒュウガ、リョウマ、ハヤテが剣の稽古をしていた。
ヒュウガが豪快に剣を振り回す中、ハヤテはそれを後ろ宙返りで交わし、
その横をリョウマが横トンボ返りして通過していった。
女性陣はじょうろでシャクヤクの花に水をやりながら、
戦う三人の男達をうっとりと眺めていた。
「やっぱり素敵だなぁ・・ヒュウガ・・」
サヤの目がとろんとなっているのは気のせいではない。
「うん、ヒュウガを見るサヤの目ってキラキラしてるもん」
木の実の精は、彼女がヒュウガに淡い恋心を抱いていることを知っていたので
嬉しそうに言った。
「そりゃあ何たって・・」
サヤが胸をときめかせてその続きを言おうとした時だった。
「そりゃあ何たって・・サヤはヒュウガにべた惚れだもんなぁ〜♪」
だが、ヒカルが意地悪く彼女の緩みきった顔を覗きこんで
甘い幻想をぶち壊した。
「えっ、えっ、そうなのか!?」
この手の話には疎いゴウキは心底驚いていた。
「え、本当に!?」
これにはもびっくり仰天だ。
ヒカルは「そうだよ〜本当だよ〜♪」とニヤニヤ笑って
の耳にビックニュースを吹き込んでやった。
「違うよもう!勝手に想像しないでよ!!私にとってヒュウガは優しいお兄さんで、戦士として尊敬できる大先輩だもん!」
サヤはぷっと膨れて反論した。
「へぇ〜そんなの本当かどうだか・・」
だが、ヒカルは涼しい顔でサヤの言い分を聞き逃す始末である。
「ごちゃごちゃ言うと怒るよ、ヒカル〜!!」
サヤはむっとして拳を振り上げた。
「どわ〜っ!!」
「ちょ、ちょっと待てよ!!いきなり!!」
「はあっ!」
「待てぇ〜!」
次々と繰り出されるサヤの拳をゴウキを盾に避けるヒカル、サヤの一番近くにいた
はもう少しでヒカルに向けられたパンチを食らいそうになり、ほうほうのていでゴウキの下をくぐって
駆け出していった。
サヤやヒカルやがわあわあ大声を上げた為、真剣片手に睨みあっていた
男達は何事かと顔を見合わせた。
「どうしたんだ?」
「さあ?」
ヒュウガやハヤテがが小首をかしげた時だった。
「ちょ、ちょっとヒュウガ、止めてってば、あなたの彼女!」
が白い柵の下を潜り抜けてリョウマ達のところへやってきた。
「え、彼女?」
「とぼけないで、サヤのことに決まってるじゃない!」
の爆弾発言に何のことやら状況がさっぱりつかめない
ヒュウガは戸惑った。
「は?え?おい、、それは違うぞ!」
「もうっ、誰でもいいから早くあの二人止めてよ!!」
やっと状況がつかめたヒュウガは、真っ赤になって
その事実を否定したが、はそれどころではなく全然聞いていないようだった。