「後は酒天童子の出番ね」

クヌギの木陰から走り去るサスケ、ジライヤ、達を眺めていた

アヤメ、ユリはそう言うと、忍術でこの場から消えうせた。

一人取り残されたミラはなんとも複雑な気持ちで唇をかみしめていたが、彼女らの後を追うように

急斜面を駆け出していった。



「サスケ〜!」

「ジライヤ〜!」

〜!」

他の三人とばらばらにされて木の梢だけがさわさと揺れ、爽やかな風や小鳥のさえずりもない山中をさ迷っていた

鶴姫、セイカイ、サイゾウは行方不明の仲間の名を呼びながら途方に暮れていた。

「鶴姫、サイゾウ、セイカイ、応答しろ!」

「サスケ!サスケなのね?」

「サイゾウ、お前いったいどこにいるんだ?」

「どこって、周りは木ばっかで場所がわかるようなものは何もないのよ!」

「こっちもどこがどこだか検討もつかないのよ!」

、そっちもなのね?」

離れ離れになってしまった仲間の唯一の安否を確かめることが出来るのは

印籠からの通信だ。

サスケは鶴姫に、鶴姫はに連絡を取り合うと一旦、通信を切って

再び森の中を駆け出した。

〜!」

「サスケ〜!」

「ジライヤ〜!」

サイゾウ、鶴姫、セイカイはこれ以上ない不安に駆られながら森を走り抜けたが、

突如、両脇の茂みががさがさとなったかと思うとあちこちから沢山の竹槍が振ってきて

彼らの行く手を阻んだ。

さらに慌てて走っていたので下をよく見ていなかったセイカイが、

不自然に堆積した枯葉に隠された地雷を踏んでしまい、吹っ飛ばされた衝撃で急斜面を転げ落ちてしまった。

「セイカイ!!」

の印籠にサイゾウの緊迫した声が響き渡った。

「どうしたんだ、鶴姫?」

「セイカイが崖下へ落ちたの!」

ぐいっとの印籠を横から覗き込んだサスケは、さらに森の奥深くへと駆け出した。


うっそうとした樹林の奥にある沢まで来てしまうと、サスケ、の印籠から鶴姫の切羽詰った声が聞こえた。

「鶴姫、応答しろ、鶴姫!」

「サイゾウ、何があったの?サイゾウ!返事して!!」

サスケ、が必死に印籠の向こうへ呼びかけるが、二人とも反応がない。

「くそっ、行くぞ!」

サスケはいてもたってもいられなくなり、ジライヤ、に目配せすると走り出した。

一方、その頃サイゾウ、鶴姫は印籠の赤外線通信にもまともに出られない状況に

追い込まれていた。

急斜面を転げ落ちたセイカイを見つけたまではよかったものの、それはれっきとした

偽者で、おかしいといぶかしんだサイゾウの静止を振り切った鶴姫はこれまた不自然に堆積した

枯葉に隠されていた仕掛けスイッチを踏んでしまい、そこから繰り出された網に包まれてあっという間に木のてっぺんまで

吊り上げられてしまった。

鶴姫を助けようと木のてっぺんまで高くジャンプしたサイゾウは、何者かに

バトンリボンで足をからめとられ、引き摺り下ろされてしまった。

そして、今は、見るからにも凶暴そうな酒天童子の二兄弟と戦っていた。

鶴姫は何とか自分だけでも印籠で連絡を取ろうとポケットをまさぐったが、

いつの間にか、印籠を地上へ落としてきたことに気づいた。

「サイゾウ!」

「鶴姫!」

「どこなの!?」

サスケ、ジライヤ、は鶴姫が落とした印籠から聞こえる何か不気味な者の笑い声に

絶望して叫んだ。

「鶴姫、返事してくれよ!!いったい何がどうなってるんだ!?」

サスケは頭を抱えて叫んだ。

「まさか、二人ともまともに会話できないような状況に追い込まれてるんじゃ・・」

「そんな馬鹿な!」

が呟いた想像できる最悪の事態に、ジライヤはこの先に暗雲が立ち込めているのを感じていた。


サイゾウは網で木上高く吊りあげられた鶴姫の見守る中、図体もでかくスピードも上回る

酒天童子兄弟と接戦を繰り広げていた。

一時は、兄弟の繰り出す剣術に苦しめられた彼だったが、切り札の忍法、「水竜巻の術」で

彼らを翻弄し、盛大に水と竜巻をかぶってぐったりした酒天童子の喉元に忍刀とレーザーナイフを突きつけた。

だが、人質に取られた鶴姫にも魔の手が伸びており、彼が振り返ったときには

彼女は二人のくノ一に両側から忍刀を突きつけられていた。

二人組のくノ一はサイゾウに刀を捨てるように要求し、彼が涙を呑んで

忍刀とレーザーナイフを放り投げると、待ってましたとばかりに起き上がった

酒天童子兄弟が火炎放射を繰り出した。

突然の形勢逆転にサイゾウは避ける暇もなく火炎攻撃の餌食になってしまい、

当然ながら、戦闘衣の変化も解けて倒れてしまった。



「サイゾウ〜!キャーッ!!」

大量の火薬と閃光が飛び散る音、鶴姫の絶叫を最後に印籠からの通信はぷつりと途切れた。

「鶴姫〜!!」

も自分と同じくノ一の危機にこれ以上ない悲鳴をあげた。

サスケ達はもう一刻の猶予もなかった。

走って走って、ひたすら走って鶴姫達を見つけ出さなければならない。

彼らがどれぐらい走ったか分からなくなった頃、常緑樹が入り組んだ小径のところに

鶴姫のバンダナ、サイゾウのギンガムチェックの長袖シャツ、セイカイの黒革ベストが

モズのはやにえのように、一本のブナの樹木に串刺しにして見せしめにさらしてあった。



「どうして俺達にこんなことをする!?」

苦しみに顔をゆがませたジライヤはたけりくるって叫んだ。

「鶴姫・・」

「セイカイ・・」

「サイゾウ・・」

サスケは目に一杯涙をため、はやりきれない気持ちを発散させる為、

わあっと泣き崩れ、地面に堆積していた枯葉をつかんで呪いの言葉を吐き散らした。

サスケはふと目線の先に落ちていた鶴姫の残した印籠を拾ったが、

それはもう呼びかけに答えることなく、静かに眠っているだけだった。

「とにかく、ここから一歩も早く脱出するしかない」

深い悲しみと怒りを胸に秘めたサスケは印籠を握り締めて立ち上がった。

「What?」

ジライヤはその言葉に信じられない面持ちで振り返った。

「何、考えてるのよ!!」

は涙でぐしょぐしょになった顔を上げ、サスケの胸倉をつかみかねない勢いで

激しくつめよった。

「俺達は奴らの術中にはまっている。おそらく、仲間をばらばらにして一人ずつ始末するつもりなんだ。

 奴らは今までの妖怪とは違う。血も涙もない非情な連中だ」

苦境の中でも冷静さを失わないサスケの言葉に、ジライヤは涙を呑んでうなずいた。

「なあ、。お前の気持ちはよく分かるけどここで戦ってちゃ俺達に勝ち目はない」

サスケは実の妹にでも接するような口調で、涙にかきくれたの肩に手をおき、優しく言った。

「一旦、この森を抜け出し、体勢を立て直して鶴姫達を助け出す方法を考えるんだ」



「いいか、二人とも、絶対に離れ離れになるなよ!何が起きるか分かんねえからな・・」

サスケはジライヤ、の肩をがしっとつかむと熱く語りかけた。

二人は短く頷き、また彼とともに走り出した。


「六人中、三人も捕まってしまうとは忍びの衆の名声も地に落ちたものね・・」

ロープで縛られ、ペルシャ絨毯のひかれた部屋の隅に転がされている鶴姫、サイゾウ、セイカイの顔を

一人一人、黒い乗馬用鞭でなでながら確かめる女は高笑いしていた。

「どうやらお前の娘はまだのようね、ミラ」

灰色の忍び装束にピンクの襟巻きを巻いたサクラと呼ばれるくノ一が

面白くなさそうに近づいてきて言った。

「おう!そこのお前、いい女だな・・おい、こっちへきて酌をしねえか」

「なあに、ちょっとだけなら構いやしねえだろ」

円テーブルに並べられた大量の美酒とご馳走で、すっかり気分のよくなった酒天童子兄弟は、人質を吟味していたの母親に目をつけ、

からみはじめた。

「それは後よ、酒天童子。残るターゲットはあと三人。それにこの女には実の娘を始末するという仕事があるの。

 それがすんだら思う存分、この女と楽しむといいわ」

だが、サクラは厳しくそれを制し、酒天童子に一気に後の三人を片付けるように命じて

出て行かせた。










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