常緑樹の生い茂る稲荷神社の境内ではなぎなたの稽古をする女の子達がいた。

二つの薙刀がぶつかり合い、パン、パンと乾ききった音が響く。

女の子が薙刀を一突きすると、鶴姫はそれを交わしたり、受け止めたりする。

そして、鶴姫は女の子の突きを受け止めると、それを絡めて交わし、

ぐんっと地面を蹴って宙に飛び上がった。

一方、少し離れたところでは拳法の稽古をするジライヤとの姿があった。

「オネガイシマス!」

「お願い〜します!」

瞑想し終わった二人の帰国子女は大声で挨拶を交わし、

二人は同時に右足を軽く引いて、拳法の構えを取った。

先に踏み込んだのはだ。

左足を軸にジライヤの右腕目掛けて回し蹴りを放つ。

ジライヤはわずかに後ろに下がると、右腕で彼女の回し蹴りを防いだ。

それからしばらく双方共に拳の応酬が続き、

ジライヤがほんのわずかな隙を見て右足を高く掲げて蹴りを入れた。

はわずかに後ろに下がると、両手で向かってきた蹴りをはたき落す。

そして、またまた拳の応酬が続けられる。

ジライヤは彼女が振り上げた拳をなぎ払い、も負けじと彼が振り上げた拳

を防いだり、なぎ払ったりして対抗した。


「今日はこれまで」

「桜子ちゃんは筋がいいのね。また上達してる」

こちらでは薙刀を置いて、タオルで汗を拭く鶴姫と女の子の姿が見える。

「OK,スゴクGoodな蹴りだ。ソノチョウシ、ソノチョウシ・・」

「Thanks,My teacher.でも次はもっと本気で行くかも。」

白熱してきていた拳法の稽古も、ジライヤが半ば

後ろから抱きかかえる形で終わらせた。


「ねえ、いなくなった弟さんの行方、まだ分からないの」

「ええ、でもいなくなった弟の新一を私が必ず見つけ出します」

「稽古お疲れ様!」

「We have just finished!」


鶴姫と旅の道中で知り合った桜子という少女が

話し込んでいると、とジライヤが駆け寄ってきて「私達もちょうど終わったところな

んだ」と会話に入ってきた。


四人はまだ気づいていなかった。

この境内には怪しげな妖気を発するお稲荷様の銅像があり、

それが赤い光を帯びてこちらの会話を全て盗み聞きしていたことに。


「何か分かった?」

「ああ、やっぱり何者かに子供達が次々と誘拐されているみたい」


稽古を終えて戻ってきた鶴姫は、情報収集に出かけていたサイゾウと向き合っていた。

猫丸の中にいたサスケも同じような情報をすでに掴んでいた。

それは神隠しともいうべきもので、ここいらでは裕福な家庭の子供達ばかりを狙った身代

金目的の誘拐事件が頻発していた。

それも誘拐犯はどうやら人間ではなく、白塗りの狐のお面を被った連中で

裕福な家庭の親が子供返して欲しさに莫大な身代金を払っても子供は返さないという

非道な輩とのことだった。


これを耳に挟んだジライヤは「絶対にユルサナイネ!」と強く呟き、

セイカイやサイゾウもむかっ腹を立てているようだった。


「お姉さん、ちょっと来て!」

「どうしたの桜子ちゃん!?」

深刻な空気の中、さっき鶴姫と稽古していた少女が血相を変えて駆け寄ってきたので

話はそこで打ち切りとなった。


鶴姫は少女の後を追っていってしまい、サイゾウとは後ろ髪を引かれる思い

だったが、サスケの「桜子ちゃんのことは鶴姫に任せて、

俺達は狐のお面を被った奴らを探すんだ」の一言で

仕方なくまた情報収集に向かったのだった。



彼らが情報収集に出かけていると突然、にわか雨に襲われた。

それは不思議な雨だった。先ほどまで空はからからに快晴だったのに。

「うわっ、冷てぇ!」

灰色の石畳の大きな階段を駆け下りてきたサスケはずぶぬれになりながら叫んだ。

ほぼ同じ時に道路を渡ってきたサイゾウ、セイカイも似たような格好だった。

「うわっ、やっ、スゴイ・・」

「ホントクレイジーな雨だぜ!」

偶然落ち合って、ジライヤが差しかけてくれたオリーブグリーンのジャケットを

一緒に引っかぶって駆け下りてくるのはだ。


サスケやサイゾウは最近急速に仲がよくなりつつあるジライヤと

横目で眺めながら「どうやらこの天気雨今度の誘拐と関係あるらしいな」

「天気雨が降る日には狐の嫁入りが・・」

「誘拐された子供は必ず狐の嫁入りを観にいくって家を出てるらしいんだ」

とか言って話し込んでいた。




その頃、鶴姫は桜子とともに狐の嫁入り行列を追って、

敵のアジトまでたどり着いたところだった。

だが、地下に面しているガレージはもぬけの殻である。

「お姉さん、狐の嫁入り行列はどこに行ったの?」

真っ暗なガレージに戸惑う二人を嘲笑うかのようにそれは現れた。

突如、無数の赤い眼が二人を取り囲んだのである。

鶴姫はとっさに後ろ手で桜子を庇っていた。

赤い眼の正体は狐の面を被ったドロドロで彼らは槍を手に手に

躍り出てきた。

鶴姫は混乱しながらも、一人のドロドロの湾曲した剣の一振りを

コンクリートの床を転がって避けていた。

そして、彼女は向かってきた敵の反動を利用して、二人のドロドロ

の手首を掴んで投げ飛ばした。

「Hey,guys!」

そんな時、暗闇に紛れて一人のドロドロの肩をつつく者がいた。

次の瞬間、振り返った敵は横っ面を張り飛ばされ、槍を持った手首を折れるぐらいに

捻られてコンクリートの床に叩きつけられてしまった。

!」

鶴姫は驚いたやら嬉しいやらで叫んだ。

援軍に勇気づけられた鶴姫が印籠で変化するのを尻目に、

はよろよろと起き上がってこようとしたドロドロの槍を取り上げると

もう一発、きつい蹴りを首筋にお見舞いしてやった。



















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