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噂話
キャロルが壷を抱えて回廊を歩いていると、湯殿で準備をしている侍女達の声が耳に入った。
「ねえねえ、あのキャロルとか言う側室の体、見たでしょう?」
「見たわ見たわ、色は本当に白かったわね。」
「びっくりしたわ、肌理細やかでなめらかで。でもね〜。」
「何々?私そこにいなかったの、どうしたの?」
くすくす笑い声。
「うふふ・・・無いのよ。」
「無いって何が?」
「ばかね。胸よむ・ね。あれでどうしたら男を落とせるのかしら。信じられないわ。」
頭を殴られたような気がした。あの無表情な侍女達が、楽しそうに他人の噂話に興じている。
しかも・・・しかも人が一番気にしていることでっ。
持っていた壷を握りつぶしそうなくらい震えてしまった。
無いものは仕方が無いでしょうっ!?これでも運動したりして努力はしていたのだからね!
・・・・・ママは大きかったわ・・・・・誰に似たのかしら・・・・・・
侍女達のおしゃべりは続いている。
「じゃあ教えてあげる?よくマッサージすることだって。」
「え〜っ?自分でやっても意味無いわよ。恋人にやってもらうのが一番よ。」
「貴女、それ本当?」
「じゃあ私はもう必要ないわね。十分大きいもの。」
「確かにね〜。でも最近恋人と別れたんでしょ?」
「つまらないんだもの。へたくそで。」
へ・・・へたくそ・・・ってなにがっ!?
「キャロル?」
「きゃあぁっ!!」
がしゃんと壷を落として飛び上がる。女官長と、おまけにファラオまでが、吃驚した顔で立っていた。
「どうしたのです?赤い顔をして。」
「なっ!何でもありません!!」
ヘルメス顔負けのスピードでキャロルが逃げ出してしまった後で、湯殿の侍女達は女官長におしゃべりがばれてこってり絞られた。
「ナフテラ・・・私ってやっぱり・・・その・・・・小さいのかしら?」
「夜伽の支度をされながら、おずおず聞いてみる。
「・・・・・昼間の噂話を気にしているのですか?」
「そういう訳ではないけれど・・・」
「何を言っているのです。貴女の胸がその大きさなのは、貴女に釣り合っているからですよ。
そうですね・・・それでも気になるというならレタスを食べなさい。」
「レタス?」
「そうです。レタスはミン神の食べ物。多産と豊穣を司り、女は妊娠しやすくなり、男は精力がつくと言われています。
妊娠すれば、自然と胸は大きくなります。」
「う・・・・・そういうことじゃないの。」
頭がくらくらしてきた。そうよね、横着しても無理よね・・・・
「安心なさい。メンフィス様も気にするなと仰っておられましたから。」
・・・・・・・・・・はい?
「・・・・・ナフテラ・・・・・今・・・なんて・・・」
「?ファラオがそう仰ったのですよ。気にするなと。」
「・・・・・まさか・・・あの噂話を・・・・・」
「お聞きになりましたよ。あれだけ大きな声が聞こえないはずありません。
全く・・・他人の噂話をあんなに大きな声でするなどはしたない・・・・・あっ!?キャロル?どうしたのです?」
目の前が暗くなって蹲ってしまった。聞かれた。一番聞かれたくないことを。一番聞かれたくない人に。
「・・・・・・・・・・っ」
寝台に潜り込んで掛け布を被り、丸くなって小さくなってキャロルが羞恥に呻いている。
ナフテラは困っていたが、「大丈夫だから」と繰り返すと一人にしてくれた。
もうじきファラオが来るから、それまでに何とか平常心に戻らねば。
とりあえずあの侍女達は叱責だけで済んだが、此処でキャロルがトラブルを起こしたらまた騒ぎが大きくなるだろう。
だけど私は悪くない。悪くない。悪くない。
胸が小さいのは仕方が無い。大きければ良いってもんじゃないわよ。
誰かが部屋に入ってきたが、キャロルは掛け布に包まったまま気付かずぶつぶつ言っている。
「そうよ・・・大きけりゃ良いってもんじゃないわよっ!!」
勢い良く叫んで掛け布を跳ね除け、身を起こす。
ごちっと大きな音がして目の前に白い火花が散った。
「・・・・・あいたたた・・・・・・」
「・・・・・この石頭が・・・・顎が割れるかと思ったぞ・・・というのは冗談だ。大丈夫か?」
「〜〜〜〜〜く〜〜っ・・・何したのよ・・・メンフィス。」
「とっさに顎の下に腕輪を入れて防いだ。謝らぬぞ。いきなり身を起こしたのはお前だからな。頭突きを食らわされては堪らない。」
頭を抱えたキャロルが半べそをかきながら文句を言うが、メンフィスはあっさりといなした。
「それより。」
「きゃ――っ!!言わないで言わないで!」
「・・・・・何を騒ぐ。聞いてしまったものは仕方なかろう。」
再び寝台に突っ伏し掛け布を被ろうとしたが、腰を下ろしたメンフィスが端を踏み付けている。
「胸が小さいと気にしているようだが。」
すぱりと言われて絶句する。
「そんなことはどうでも良いではないか。」
「貴方にとってはどうでもよくても私にとっては重大問題なの!!」
再び跳ね起きて猛然と食ってかかる。
「そりゃ貴方は選り取り見取りだし、周りには綺麗で好みの女性が一杯いるし、アイシスだって他の女の人だって
胸の大きい人たちばかりだったし、望めばいくらだって手に入るし。男の人って胸の大きい人が良いって聞いたし。
これでも努力してるのよ。でも大きくならないんだもの。」
言っているうちに自分でも訳が分からなくなってきた。
「では手伝ってやろう。」
ぴたりと声が止まる。
「湯殿の侍女が言っていたな。自分でするより男にしてもらうほうが大きくなると。」
「・・・・・」
「脱げ。」
「・・・・・はい?」
「脱いで仰向けになれ。これから毎晩、私が腕によりをかけて大きくなるよう揉んでやろうではないか。」
「・・・・・・・・・・」
「胸だけではない。どこもかしこも揉み解して飛び切りの体にしてやる。それこそこの世の男共が涎を垂らして
欲しがるような体にな。・・・・・だがそうなったお前を抱くのはこの私だけだ。」
メンフィスの黒い瞳が色香を宿して輝いている。自分の愛する娘が自分の愛撫で変わってゆく。
想像すると堪らなく興奮するのだろう。
「・・・・・嫌。」
「・・・・・なに?」
「だって今のメンフィスの顔、すっごくいやらしいんだもの。すけべって言うのよ。それ。」
「構わぬ。男がすけべ・・・・か?いやらしくなくなったらこの世に楽しみが無くなる。」
飛び掛ってきた。
悲鳴を上げて寝台から転がり落ち、立ち上がって二人で追いかけっこを始める。
机に腰が当たって響く。壷に肘が当たって落ちて砕ける。薄い紗に髪飾りが引っかかって外れる。
きゃあきゃあ言いながら部屋の中を駆け回り、仕舞いには戻って二人して息を切らして寝台に倒れ込んで大笑いする。
「ああ・久しぶりだわ。こんなに笑ったの。」
「私もだ。こんなことは絶えてなかった。お前といると安心する。矢張りお前が一番だ。」
「・・・ねえ・・・メンフィス・・・」
「なんだ?」
「こんな私で良いの?こんなちっぽけな・・・う・・・んふん・・・」
「安心致せ。お前が一番だ。心配せずとも私がお前を飛び切りの女にしてやる。そら・・・・・」
「あ・・・」
指が動き出す。唇が滑り出す。それだけでキャロルの瞳は潤んでいる。
「間違いない。お前は好い女だ。感じやすくて艶かしくて無垢な顔と淫らな体を持った最高の女だ。
もっともっと淫らになれ。よがって花開け・・・そしてお前を抱く私をこの世の男共が羨んで嫉妬で狂うような
女共がお前を見ただけで嫉妬に狂うような・・・そんな女になれ。」
衣の間に掌を差し込んでゆっくり胸を撫でる。。数度触っただけで頂が固く勃ち上がる。
ピンク色の頂が切なそうに男を誘う。
甘く噛んで転がし、突いて咥えて吸い上げる。あるいは指で摘んで引っ張ってみる。
「あ・・・あは・・・あは・・・ん・・・」
チュッと音を立てて離し、両手で包んで揉みしだく。しっとりした双円は、まるで瑞々しい果物のようだ。
「そら・・・心配せずともこれは直ぐ大きくなる。ならずとも極上の手触りだ。柔らかくてしっとりして滑らかで・・・」
言いながら先端を摘み上げる。白い肩がぴくりと震える。
「敏感だ。言うことはないぞ。」
一度放して身を起こし、うっとりとしたキャロルを向こう向きに膝に座らせる。
そして肩紐を解き、下から掬うようにして双円を掌に収める。
揉んでは摘み上げ、擦り上げ、捏ね回すと乳房はどんどん硬く張り詰めて来る。キャロルの唇から切ない溜息が零れる。
「あは・・・ああん・・・はぁあ・・・」
「好いか?・・・もっとしてやろうか?」
キャロルが必死で頷く。
「あ・・・あ・も・・・もっとして・もっと・・・」
「では此処は私にしてくれるだろうな?」
ぼんやりした頭で頷く。男の指が片方、下の唇を開いてゆっくり花びらを擽りだす。
「ああ・・・ああ・・・・・あああ・あ・・・」
「お前も待ちわびていたのか?涎など流しおって・・・本当に淫らな・・・」
口では責めるようなことを言いながら、メンフィスの瞳は耐え切れない欲望を湛えている。
未だろくに触れてもいないのに、白い肢体は男を待ちわびて濡れている。
花びらを突き、柔らかく揉むと、白い尻が切なそうに震える。さらに花びらを開いてやると、それだけでキャロルは切ない溜息を漏らした。
「はあぁ・・・ああ・・・」
瞳を閉ざし、赤い唇を半開きにして黄金の頭をメンフィスの肩に預け、うっとりと快楽の波間に漂っている。
だが。
男の指が隠された宝珠に触れた途端、嬌声を上げて尻を振った。
「あああっ・あうっ・あっ・ああっ・あああっ」
これも好いだろう?上と・・・下と・・・」
片手で乳房を、片手で宝珠を。絶え間なく突いてやると白い肢体が踊りだす。同時に小さかった水音が大きくなり、
花園から蜜が溢れてメンフィスの太腿まで濡らして行く。
腰帯を解き、キャロルの衣と自分の腰布と、一緒に放り出して白い膝を開かせる。
床頭台に胸を押し付け、己のいきり立った肉棒を、濡れた泉にゆっくりねじ込む。
「ああああ・・・ああ・・・あ・あああ・・・っ」
白い腕でしがみ付き、背中を反らしてキャロルが悦びの声を上げる。突き出した胸を掌で掬い、再び指を絡めて揉みしだいてやる。
「ああ・あああっ・いい・いいの・いいの・ああ・もっと・もっと・・・・っ」
胸を揉んでやるだけでキャロルは自ら背をくねらせ、尻を揺すって快楽を貪ろうとする。
色事に不慣れな身体が、与えられた快楽に素直に反応してしまうのだ。
「そんなに動くと直ぐ達ってしまうぞ・・・」
「ああうっ・そっ・そんなっ・そんなっ・あああっ」
耳元で囁くメンフィスの声。甘く低く、擦れて蜜を塗したようなその声。
覆いかぶさってくる胸は広く熱く、耳朶を咥えて舐めまわす舌は餓えた獣のようにキャロルの理性を奪い尽くす。
「片手の指で乳首を、もう片手の指で飛び出した宝珠を。咥えられた耳朶と楔を打ち込まれた泉と。
同時に揺すられて、キャロルはあっという間に頂上目指して駆け上った。
「あ・ああああっ・あっ・ひいっ・ひいっ・も・だめ・いく・いく・いくっ・いくぅぅ・・・・・・・っ!!」
ぐったりした体を褥に押し倒し、未だ朦朧としているのにも構わず一気に貫く。
白い肢体が痙攣し、あらん限りの力で太い楔を締め付ける。
「くうっ・・・・・堪らぬな・・・未だ色事など知らぬといっても通るであろうに・・・・・」
そのままゆっくり腰を打ちつけながら囁く。
「キャロル・・・キャロル・・・応えぬか」
呻いた唇がそのまま嬌声を零し始める。水音を立てる泉が震えて、何度もメンフィスを締め付ける。
「あっ・ああっ・ああっ・ああっ」
突き上げるたびにキャロルが背を反らす。頭を振るたびに黄金の髪が光を放つ。
形良い胸のふくらみが突き上げられるたびに揺れている。
「うっ・くぅ・くっ・・・ああ・おまえだけだ・おまえだけだ・私を・こんなに狂わせるのは・・・」
「ああ・ひい・ひいっく・くう・ああ・あう・ああ・メン・フィス・メン・フィス・・・あ・もっと・もっと・・・」
お互いに腕を絡め、唇を合わせて猛然と求め合う。
激しく突きこむ男の物が蜜を溢れ零す泉をかき回し、擦り上げ、狂った泉が高い水音とともに男の楔をを濡らして褥に雫を撒き散らす。
「あああっ・ああ・あああっ・あう・ひいっ・ひいっ・もう・もうだめ・も・いっちゃうぅぅ・・・・・!!」
「一緒に・・・キャロル・・・私と・・・」
あああぁぁああっ!ああっく・ああっ・あ・あっ・ああっ・・・・ぁぁぁああああ―――――・・・・・っ!!」
「キャロル・・・ッ・・・くっ・・・・・・ああ・・・」
「キャロル・・・?」
一瞬飛んだ意識を捕まえたメンフィスが、白い肢体を揺さぶる。
「・・・っ・・・あ・・・メンフィス・・・」
「どうだ?胸は大きくなったか?」
からかわれたキャロルが赤くなる。
「そっ・そんなに直ぐ大きくなる訳ないじゃない。馬鹿。」
「馬鹿と申したな・・・よし、もう一回だ。それから明日からは極上の香油を使って、この私が直々に胸を揉んでやる。
・・・・・感謝いたせ。」
「そっ・そんな。今夜はもう良いわ。お願い止めて。」
「今更遅い。自業自得。」
再び圧し掛かられたキャロルが甘い懇願を繰り返す。
果たしてキャロルの悩みは、今後解決するのだろうか。
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