エラガバルス帝 

〜ギボン先生曰く「史上最低の君主」〜

ギボン『ローマ帝国衰亡史』第6章より

帝


その5

誰も止める人がいない。



元老院の皆さん方、気の毒ですよねえ。ワンマンとか、独裁とかってのはこのような構造的欠陥があるんです。つまり、非常識で社会に害をもたらすものであったとしても、それを止めることができない。元老院の決定を、皇帝は「拒否権」一発で覆すことができます。元老院は、もう事実上政治的な権限はもっていません。というか、皇帝の愚行や非常識を止める方法が無いんです。暗殺をのぞけば。だから、皇帝が、黒い変な石をまつるあやしい教祖さまでも、変態産業を国の税金でやろうとも、止められないんです。

確かに、ローマは、ひとりに権力を預ける帝政によって、100年以上も続いた内乱の時代を終わらせ、崩壊の危機を免れました。しかし、それは薬によって毒を制したのではなく、毒をもって毒を制したことだったのです。


かりにもローマ世界の元首たるものが好んで女装、たとえば王笏にかわる糸巻竿を手にするとか、ことさら女の行状を真似るとか、挙句の果ては、実にひどい話だが、さまざまの国家要職まで男色の相手に配給してまわる始末。


さて、エラガバルス帝、このような変態人事を行い、周囲の大顰蹙を買います。今の安倍政権もそうですが、仲良し派閥人事って、基本的にいい顔されません。ましてや、こんな変態人事が、周囲にどんな目に映ったかは言うまでもないでしょう。


現にその一人などは、公然と皇帝、いや、より適切な彼自身の言い方をかりれば、「女帝の夫」という称号から権能まで、併せ与えられる有様だった。


エラガバルス帝がオカマの女役で、そのお相手が、「女帝の夫」という称号で、ローマ世界に君臨しました。もうムチャクチャです。ですが、ローマの人々は、これにも耐えるしかない。このバカ帝に比べれば、コンモドゥス帝など、ものの数ではないかもしれません。このお相手は、ヒエロクレスという競争用戦車の御者だった男です。


当時ローマ民衆の前に公然と展開され、権威ある当代史家たちもまた証言を与えている場面だけに限ってみても、言語に絶した醜状は、いつの時代、どこの国と比べても、比較を絶したものだった。


ギボン先生の「最悪」判定がでました。ギボン先生、ローマの最悪の皇帝はこのエラガバルス帝だとおっしゃっています。この判断は妥当だと思います。

こんなバカげたことはもう終わりにしたいと、ローマの多くの人々が望みました。前述の通り、終わりにするには暗殺しか道は残っていません。「ああ、エラガバルス帝も、もう先は長くないな〜」と思った読者の方々、正解です。

■その6


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