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「あれを基地に運び込まれてしまったら取り返しのつかないところでした。もっと早い段階では横浜への要請も考えたのですが、やはり都市国家を名乗っているところは意思決定に時間がかかりますのでね」
「その点所沢なら、一人の独断で応じるだろう、と」

大沼は苦笑しながら言った。それにガイエルも笑顔を隠さず応える。

「まあ、仰る通りです」
「いちおう、我々も通常は幹部会議をもつのですが。昨夜は急ぎのようでしたから」
「ええ。本当に有難い」

さしもの大沼でも、昨夜は迷う理由がなかった。所沢の立場からいえば、関東ではそれなりの影響力を持つ聖都に貸しをつくるまたとないチャンスが向こうから転がり込んできたのだ。
そして、大沼がまともな頭を持った統治者なら、これに応じないわけがないと高田は読んだ、大沼はその期待に満点で応えた。

「それから、これは…、」

ガイエルはそう言うと、上着の内ポケットから一枚の封書を出した。

「高田総統からあなたがたに宛てた親書です」
「というのは、我々解放戦線にということですね」
「いえ、そうではなく」


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