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二人は考え込むように黙り込んだ。そこへ…、ズカズカと大股に、小柄の男が近づいてきた。彼は挨拶も何も言わず、石井の隣の椅子を引くと、小柄なりにドッカリと腰を降ろした。

「なに二人してサボってんのさ」
「サボってへんわ。話しおうとるねん」
「喋ってるように見えなかったけど」
「せやかて何も命令あれへんねんから、しゃーないやろ」
「てか、仁志たん何しに来たの」

何気なく石井が男の名を呼ぶ。それに彼はきわめて敏感に反応した。

「あのね何度も言ってるけどサ、たんとか呼ばないでくれる?おかげで部下にまで陰で仁志たん言われてるんだけど!」
「そりゃ悪かった」
「まーいいけどサ、もう取り返しつかないし!…俺もなんか飲もうかな」

半笑いで口だけの謝罪を述べる石井の顔を見て眉をひそめると、たったいま席についたばかりというのに、仁志敏久はまた立ち上がって歩いていった。
かと思うと…、またたく間に席へ戻ってきた。


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