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沈黙が場を支配する。何を知られているのか、一方、何を隠しているのか。睨みあう視線がぶつかり、激しく火花が散る…、

「お前に関係ないことだろ」
「そりゃ俺には関係ないよ。話にまぜてくれとも言ってないし。ただ、三次の一市民としてはさっさと決めてくれってことで」

この腹の探りあいを嫌ったのか、永川は視線を逸らし、一方的に話を打ち切ろうとした。しかし東出は間髪入れずに食い下がる。
そこへ…、黙ってやりとりを聞いていた林が意を決したように口を挟んだ。

「まだ…、」

消え入るような声だった。そしてその声はすぐに東出に遮られる。

「まだ?何?まだその話は早いってか」
「ちょっと、やめなよ」

見かねた貴哉が割って入った。もっとも、彼もさほど気が大きくないと見えて、東出と永川の顔を交互に見てから生唾を飲み込むような仕草をしたが…、
ここはやはり自分が言わねばならないと思ったのだろう。すぐに決心し、言葉を続けた。

「おかしいよ、二人とも。仲良くしろとは言わないから、少し静かにできないの。お客さんもいるんだし。第一、ここ病室だよ?」

貴哉の言うことはもっともだった。永川はハッとして森野の顔を見た、それに対し森野は自分は構わないという風な意味で首を少し横に振った。
しかし森野が構わなくても、病室で言い争いをしていたことは事実だ…、そこで永川が何か口にするよりも一瞬早く、東出が声を発した。

「まあ、悪かったよ。俺ら下に降りてるから」


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