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「そりゃあたいした大物だな。そうかそうか。そりゃ結構結構」 
「なんだその顔は。何をたくらんでやがる」 
 
評価を聞きだしておきながら一人合点し半笑いで包帯を巻く大沼の顔を見て、帆足は眉をしかめた。何か嫌な予感がする。 
 
「ん、別に。ひとついいことを教えてやろうか。岸者はお前を気に入ったようだぞ?」 
「どうでもいいことだな」 
 
どうだと言わんばかりの大沼の笑顔から目を逸らし、帆足は言った。他人がどう自分を評しようと一切興味はない。そんな事くらい知っているだろうに、一体何を言いたいのか…、 
 
「そこでだ、お前に岸者を鍛えて貰いたいんだよ」 
「はあ!?ふざけんな!!」 
 
大沼の提案に、帆足は思わず激昂した。岸の初仕事も結果的に無事済んで、もう二度と自分と組むことはないと思ったからこそのあの評価だ。 
褒めたおかげでその後の世話までついてくるのではたまったものではない。 
 
「そんな照れなくてもいいだろう。向こうはお前にキョーミがあるみたいだし、お前は岸者を評価してるんだろ。何も問題ないじゃないか」 
「貴様バカにしてやがんのか、誰がヒヨコの世話なんかッ」 
 
帆足は思わず治療中の脚を振り上げ、踵を椅子へバンと落とした。大沼はその直前にサッと手を引き、事なきを得る。 
 
「あ、こら、暴れるな、まだ終わってない」 
 
大沼はそう言って制したが、帆足の耳にはもはや届いていない。立ち上がって、大沼に掴みかかってくる。 
 
「力者の面倒は見ないと言ったが、力者以外なら見るとか言ってねぇぞ!」 
「まだつってんだろ!聞こえないのかバカ野郎、動くんじゃないッ!!!!!」 
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