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「そうだ、それより岸者は。どうだった?」

ひとしきり笑って、やがて呼吸が整うと…、笑いすぎた目をこすりながら大沼は尋ねた。

「はあ、さては貴様、それを聞きに来たんだな」

大沼の意図を知って帆足は渋い顔をしつつ、しかし、口元に少し笑みを浮かべて答えた。

「それもある。だがお前が怪我してこなけりゃ明日にしたさ。まあ、ついでだ、見た感じを聞かせてくれ」

小野寺評する帆足と同様に、小野寺のことは別に帆足から散々聞かされなくても知っている。大沼が聞きたいのは岸のことだ。
青木の脱退以降、長いこと空席になっていた幹部の残り一席を埋めるに足る人材かどうか。
勿論、自身と、その頭脳である長田で協議した上でそう判断したから、先立って末席に加えたのだが…、しかし別の視点からの評価も欲しい。

「そうだな…、まあ、基本的に、力者と同じで考えは甘い。だが、射撃の腕と判断力、それに…」
「それに?」
「…度胸はいい」
「ほお…、」

縫わずに傷口を固定するためにガーゼの上からとにかくテープを貼りまくる手を止め、大沼は感嘆の声を漏らした。

「随分な高評価だな。そのココロは」
「俺の言いつけを破って、状況にうまく対応した。自力で活路を開いたんだ。…経験を積めば、使えるだろう」
「初仕事で帆にそんな評価を貰うとは」
「貴様そんなにメチャクチャ貼り付けて…、剥がす時のこと考えてやがるのか」

大沼の手元を見て帆足は思わずそう言ったが、大沼はその質問に答えない。


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