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「貴様、爆破ができると言ったな。この部屋の壁を崩せるか」
「あ、ああ。そのくらいなら。でも…、それを繰り返して、外へ脱出できるほどには、連発できないんだ」

帆足の意図を理解し、大沼はそう言ってうつむいた。すると帆足は急に椅子から立ち上がり、大沼に近づいてきて、声をひそめて耳打ちした。

「…二度撃てればいい」

それを聞いて大沼は目をぱちくりした。二度。そのうち一度目は、この独房の壁だろう。そうすると、残りは一度だ。

「すると、残り一度は、どこで」
「最後だ。外門の守衛を突破する時」
「そこまでの道のりは…、どう抜けるんだ」
「俺が風を起こして、貴様の一発目で出た炎を煽る」
「…なるほど」

そうやって通常の何倍もの速度で火が燃え広がれば…、確かに、この監獄の管理側を混乱に陥れ、隙に乗じることは充分に可能だろう。…しかし。

「だが、そうすると、ここに囚われている人々は」
「まあ、全滅だろうな。囚人はもちろん、看守も、ほとんど」

小声で、しかしきっぱりと帆足は言い切った。大沼の視線が一瞬泳ぐ。

「…そう、だよな。やっぱ無理かー」


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