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しかし、そのときだった、パン、パン、と二度乾いた音がして、輸送車は急にガクンと動きを止めた。
一体何が起こったのか…、と誰も考えるまでもなかった。岸は拳銃を構え、敢然と大型車両のすぐ前に立っていた…、その岸の咄嗟に撃った拳銃弾が見事、
迫り来る輸送車の、割れたフロントガラスの向こう、ドライバーの頭に命中したのだ!

「岸者てめぇ…、撃ったな」

銃は使うな、と帆足はあらかじめ言っていた。その禁を破ったことは岸も勿論承知…、九死に一生を得たばかりの強張った腕と、構えた銃を降ろしながら、彼は弁明を試みた。

「すみません、でも…、今は、緊急と、思いましたので」

確かに帆足は『緊急時以外、銃は使うな』と言った。そして、あれは間違いなく緊急時だろう。しかし…、
でもと言うな、そこはただ謝っておけ……!小野寺は心の中で叫んだ。所詮、理屈の通じる相手ではないのだ。
そもそも、仲間が一瞬の機転で命の危機を回避したというのに、まず何よりも先にそれを喜ばないなど、頭がおかしいとしか思えない。
話して理解を得ようとせず、噛み付かれないようにだけしておけばいいんだ…、今にして思えばそれを先に伝えておくべきだった、と小野寺は後悔したが、先に立たず。
刺すような獣の目に気後れしつつ、たどたどしくも…、岸はハッキリと言い分を述べた。果たして。


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