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「後ろの車は、どうだ」
「動きがありません。動けないのかもしれない」

問われて岸は自分の考察を述べたが…、帆足は同じ質問を小野寺にはしなかった。
つまり今、この作戦上において帆足は小野寺を見限ったのだ、ということは、小野寺本人は勿論のこと、若輩の岸にもすぐにわかった。しかし…、

「なら、そっちも取り押さえるぞ。岸者、やれるか?」
「や…、やってみます」
「よし」

今この場、この状況、帆足がジッと見守っているのか睨んでいるのか、とにかくその目に凝視された状態で小野寺を気遣えるような余裕など、とても岸は持ち合わせなかった。
岸は緊張気味に腰の短剣を抜くと、ゆっくりと慎重に歩き出した。それから少し遅れて帆足が歩き出そうとした、その時…、
突然、エンジン音が鳴り響いた。
その音が耳に飛び込んだ瞬間、帆足はピンときた…、

「岸者退け!あれが本体だ、先頭ははじめからオトリなんだよッ」
「え、」

輸送車は数メートル後ろへ下がり、そして猛然とエンジンを唸らせ、急発進した!



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