290

森野が驚いて振り向くと、そこには永川が立っていた。よく考えれば別に驚くほどのことではなく、当然、永川に決まっているのだが…、
何やら寺の秘密めいたことを聞かされていたところだったので、思わず尻が浮いてしまったのだ。
驚いて損をしたような気になり、森野はひとつ溜息をついた。

「勝浩」
「モノを持ち出したいだけなら、わざわざ森野を連れてくる必要ないだろ。それに、どれが何なのかも、俺にはわからんしな」
「じゃあ、何を?」
「コレだよ」

そう言って永川は、手にしたものを前へ出し、ばたばたと振って見せた。それは茶色く変色した紙束…、いや、何か書物のように見える。

「孝市法師の書き遺したもんだ。まあ、大量にあるが、そのうちの一冊」
「それこそ、お前、どれに何が書いてあるのかわかるのか…?」

それを見た倉が、訝しげな視線を永川へ向ける。

「わかるさ。昔、ひととおり目は通してたからな。ダテにガキの頃から部屋にこもって本ばっか読んでねえんだよ」


[NEXT]
[TOP]
[BACK]

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル