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「しかし、理屈がわかっても、普通はそこから先が大変なんじゃがの。一体どうやったらこんな」
「それは…、少々、歌を、」
『続いては特集のコーナーです。スラィリー猟が最盛期を迎えていますが、例年通り犠牲者も相次いでいます。
少しでも被害を減らすためにはどうしたらいいのか、スラィリー猟に携わる方々にお話を伺いました』
「お、これ、ナーとか出るんやないの?」
「今年はまだ取材受けてない」
「え、じゃあ誰やろ」
「いっぱいいるよ関係者なんて、わざわざあの山の中の俺ん家まで来る局は少ないよ」
「誰か知り合い出るやろか」
「出るかも」
さすがに自分たちに関係するニュースとあって、先程の野球の話題にも劣らぬ勢いで、三人はテレビをみつめている。
また一人おいてけぼりになった森野は、途中で切れた言葉の続きを、白飯と共に飲み込んだ。
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