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「…今回の、文京からの攻撃が始まったころだ。俺が、今の基地のトップにいる、その上官のとこへ尋ねて行った時に、中から、
 作戦立てる声が聞こえてきた。その声が…、森野では不足だ、って、確かにそう言ったんだ。
 まあ、俺は別に、ドアラと喋れるって以外は特別なんにもできないしな。
 何をさせるにも不足だ、そんなことはわかってたさ。わかってたはずなんだが、…実際言われると、ショックなもんだな」
「そりゃ、そうだろう」
「そのあと、ちょっと頭でも冷やしたくて、大型兵器の格納庫をぶらぶらしてたらさ、故障で動かなくなったビッグ・ドメが置いてあって。
 俺よりこいつのほうが余程使えるのにな、って思った。それに色々思い出したりね、機械だけどこいつも仲間には違いないのに、
 修理代が回せないからって他所へ売り飛ばされるなんて理不尽だと思ったんだよ。
 そのとき…、所詮たいした役にも立たない俺だからこそできることって、これじゃないかと、ひらめいたんだ」
「全然頭冷えてないな」
「…だから、いいんだって。俺がいなくても軍はどうってことはない。そんな俺からすれば、お前がうらやましい」
「そりゃ筋違いだな。替わりがきかないのは俺じゃない、俺に叩き込まれた能力だぞ」
「……」

永川にピシャリと言い返され、森野は返す言葉を失った。
その考え方には同意できない、言えるものなら反論したいが、どう言えばいいのかがわからない。
…引っかかるものを胸に抱えたまま、しかし口ではかなわない、そう思って森野は沈黙した。


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