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あの会議ののち井端に冷たく突き放され暗澹の気持ちになっていたところへ、その井端から森野隊の一部をお前に預けると通達を受けたものだから、
そもそも突き落としたのが井端ということも忘れ、荒木は地の底からでも救われたような気になった。
当然、普段以上に張り切った荒木だが、彼の主任務は特殊装甲車部隊の機動力を使った敵前線の撹乱であり、元々神経も体力も使う激務である。
本人もそれを得意としてはいるが、それでもやはり半日も駆けずりまわればクタクタになる、気力だけではどうにもならない。

「はぁ…、疲れた」

宿舎の殺風景な廊下を歩きながら首を傾け、筋をパキッと鳴らして荒木はつぶやいた。肉体にはここのところの疲労がすでに蓄積している。
井端の頼みを意気に感じて今日一日は夢中で戦場を走り回ったが…、
そもそもが陽動を目的として編成されている荒木隊はそんなに人員が多くなく、荒木自身、大人数を指揮することに慣れていない。
そこへ一部とはいえ森野隊を預かって人数が倍増してしまったので、荒木にかかる負担は昨日までとは桁違いだ。
こーりゃ、森野云々より前に俺がまいっちゃうかもね………。弱気な考えが頭に浮かぶ。


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