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「二つに一つだ」
「…そんなん」
「そう。そういう事さ。あの目はマジだった。シラを切れば即座に俺の頭を吹っ飛ばしただろう。あんな目は所沢を離れてしばらく見忘れてたが、交渉の余地を感じさせない、有無を言わさぬ視線だったね。当然、俺に逃げ道はなかった。
 青い目の男はマーティ・ブラウンと言ってね。かつて真っ当な軍隊だったころの広島自衛隊にいたらしいんだが、その後離れて、ここ2、3年の間に訳あって戻ってきたんだと。で、戻って間もなく広島の現状を目の当たりにし、心を痛めたと。
 幸い、西宮は広島を舐めきっていて、ろくに監視もしていない。だからその隙をついて、広島に戦える軍隊を取り戻すべく、密かに人を集めている、
 その目的のため、ひいては広島のため、大きな地下組織での幹部経験があり、関東に人脈があり、市街戦に慣れていて、何より革命を成功させたお前の力が是非必要だと、マーティは畳み掛けるように、そう言った」
「…」
「アメリカ人って奴は概して演説がうまい、…まあ、仮にそうでなくても、裏社会に生きてる人間は大抵、お前が必要だと言われれば弱いもんでね」
「……」
「そうして俺はめでたく自衛隊に飼われる身になった、って訳、だ」

青木はまた椅子へ戻り、自嘲ぎみの笑いを口元にうかべながら、既に火の消えた煙管を噛んだ。


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