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考えれば考えるほどに自信を失いそうになり、森野はふと視線を落とした。背後からやや長く伸びた、頭のでかい影が視野に飛び込む。それを見てようやく、ここまで放置していたドアラのことを思い出し、森野はハッとした。
なんてことだ。俺としたことが、自分のことで手一杯だった…、
…マスターの焦りはドアラにも伝わる。一見自由そうなその行動と見てくれに反して、ドアラとは気持ちに敏感な生き物だ。自分がこんなことでは、さぞ不安にさせていることだろう。申し訳ない気持ちで森野は背後の相棒を振り返った。

するとそこには…、
頭の上に鶏を乗せ、また肩にも乗せて、なおかつその腕にも鶏を抱いて立つドアラの姿が…、荘厳に広がった大自然と傾きかけた太陽を背に、神々しくも浮かび上がって見えるではないか!!!!

「お、お前…、」

森野は動揺した。なぜだ、なぜこいつらは、ドアラには襲い掛からないのだ。この鶏たちが普段見慣れているのが山崎なのだとすれば、ドアラよりも自分のほうがはるかに受け入れられやすいはずだ…、
いや何をマジメに考えてるんだ俺は、わざわざ山崎と比べるまでもない、あのアンバランスな頭、耳、そして体色、どう見てもドアラのほうが、動物にも子供にも警戒されやすいに決まっている!それなのに…ッ!!


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