049

…それから季節は移ろい、いつしか秋となり、ビッグ・ドメは少しずつ実用に耐えるようになって戦線の押し上げに威力を発揮しはじめる。
ちょうどそのころ森野は、文京から毎日毎日飽きずに飛んでくる無人機を、ビッグ・ドメ搭載の高射砲で撃ち落とす作業がマイブームで、これを朝の体操がわりに毎日毎日飽きずに撃墜し、勝手に脳内スコアをつけて楽しんでいた。
しかし、ある日事件は起きた。そもそも近頃いまひとつ調子が悪いと言われていたビッグ・ドメが公道の真ん中で緊急停止し、そのまま起動しなくなったのである。
こうなったらメカニックを呼んで急ぎ修理を依頼せねばならないが、本来自分の管轄でない仕事を趣味で行っている関係上、手続きが色々かかってくる。おまけに今は早朝だ。
ああ面倒くさい、なんで俺のときに止まるんだよこの野郎…、と思い、森野は舌打ちをした。仕方なくコクピットを脱出し地面へ降り立つと、道路脇のゴミ集積所に折れた竹箒が捨ててあるのが、ふと視界に入ってきたのだ。
…森野はおもむろにゴミの山へ近づき、竹箒の柄をひっ掴むと、腹いせにそれで思い切り、ビッグ・ドメの尻をぶったたいた。
するとビッグ・ドメは突然ヘッドライトを白黒させ、空へ向かってビーム砲を放った…、


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