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カップリングにおける受け攻め属性

最初に

前に「受け攻め属性に見えてしまったもの」といったテキストをアップしていた。ひっこめてしまったのは別にマズイことが書いてあったわけではなく、XHTMLに自動変換したときに、テーブルがぐちゃぐちゃになってしまったという間抜けな理由だ。修正してアップしようと思いつつ面倒で放置。

最近アンケートをとったときに、お二人のかたとメールのやりとりがあり、このファイルのことを思い出した。ちょっと読み返してみてそのころから考えが変わったというか新しく気がついたところもあるので、加筆修正を加えることに。今回、やおいだけではなく男女カップリングについても言及。

やおい創作に後天的に附加される受け攻め属性

ゼノギアスのFanFictionを色々と漁っては読んでいらっしゃるある人から次のようなことを指摘された。

「不思議なのは、(シタン受け創作で)シタンを美形と解釈した創作が多いということ。何故、美形であると解釈できるのか」

彼女はやおい好きではない。が、ガチガチの男女愛至上主義者でもない。だから、やおい的視点を持った人とは違う、極めてまっとうな疑問なんだろう。確かに、シタン受け創作は、シタンを美形(寄り)キャラと解釈している方が多い。ついでに言えば、体格は華奢であると描写されていることがほとんどだ。

これが、シタン攻めになるとどうかというと、シタユイに美形解釈があった記憶があるというくらいで、シタラム、シタシグ等で、シタンの美形描写は記憶にない。

このような描写はシタン受けに限ったことではない。他の受けキャラもほとんどが原作と比較すれば、美形(寄り)&華奢解釈になっている。それと、その美形描写がどちらかというと、ハンサム、いい男と表現されるような男性的容姿ではなく、女性的美形(女性と勘違いされる描写多し)に振られている。

たとえば受けになれば、ラムサスとシグルドが美形になる。もっとも、ラムサスには、もともと美形キャラという設定はあるのだが、この美形方向は、冷静に原作から得られる軍人、猛将イメージとは違う。やはり華奢、女性的な方向性に振られることが多い。

あと、シタフェイはあまり数を読んでいないので、はっきりしたことは解らないが、似たようなものではないだろうか。シタフェイのシタンは比較的逞しい男性として描かれている。それに対して、フェイは、華奢で腰の細い、顔立ちの整った繊細な少年として描かれていたことに違和感を持った記憶がある。(公式設定の体重身長、および胸囲から推測すると逞しい武術家としての身体特徴が浮かび上がってくるのだが)

一応、ここはゼノファンサイトらしいので、ゼノを例にしてごちゃごちゃ言っているが、他ジャンルでも同様である。

やおいカップリングの約束事である受け攻めにおける役割分担。

一般的には、攻め=男役受け=女役のように解釈される。もっとも、「女性化した受けが苦手」と公言されているやおい書きさんたちも多いので、こういった説明のされ方が心外な方も多いとは思う。

いずれにしろ、やおいでのセックスはヘテロのそれをイメージしているのは間違いなく、攻めはヤらなくてはいけない立場で、受けはヤられなくてはいけない立場にある。これは大前提となる。

ところが、この受け攻めイメージは、「ヤる、ヤられる」とか「突っ込む、突っ込まれる」とかの肉体的位置関係だけでのイメージではないようだ。受けには受けに、攻めには攻めに求められる属性というものがある。そして、そのキャラがトータルでどちらの特質をより強く持っているかということが、最終的な受け攻めが決定されるのではないだろうか。だから、ヤっていることは攻めだが全体的な印象として受けにしか見えないということがおきてくる。

では、上の受け攻めそれぞれの属性は、もともとそのキャラが最初から持っていたかというと、それは違う。持っていたとするならば、人によってここまで受け攻めキャラが異なることはないはずだ。おそらく、そのキャラが受け(攻め)だと感じた……というか、受け(攻め)にしたいと欲望した書き手が、FanFictionにて後天的に附加、強調してしまったものに過ぎない。

そして、FanFictionにおいて、受けか攻め、どちらかの性質をより強く表出させることによって、そのキャラの性格および容姿に修正(誇張)が加わり、受け攻めイメージがよりクリアになる。

例をあげれば、私にとって、シタンというのは受けキャラだ。FanFiction中の攻めシタンは確かにシタンなのだけど、私から見ても、明かな攻めキャラに仕上がっているということだ。

さて、思いつくままに、受けか攻めかの立場が決まったとき後天的に附加されてしまうそれぞれの属性を下表にて、ならべてみた。

受け攻め属性
属性 トータルイメージ 容姿 シチュエーション
受け 受動的 女性的 被保護者 子供 繊細さ 美形 華奢な 欲情される やられる 流される 愛される 手を出される
攻め 能動的 男性的 保護者 大人 強さ 精悍 逞しい 欲情する やる 押し切る 愛する 手を出す

なんか、こういった表にして色気のない言葉をずらずらと並べてみると、ジェンダー的記号と合致するようで、その身もふたも無さに、ちょっと「トホホ……」となったのだが、私だけだろうか?

これは私がちょっと思いついたものだけを並べただけで、項目はもっと沢山あるだろう。また、受けキャラが、受け属性のみで成り立っていることはほとんどなく、色々と攻め属性も併せ持っているのが普通だ。攻めキャラもしかりだ。その組み合わせのバリエーションによって、数限りないやおいのパターンが存在する。が、それでも最終的にキャラ二人の相対的なバランスにて、受け攻めが決定されるように思う。

男女カップリングに附加される受け攻め属性

ところで、「やおいじゃ限界なら、男×女に求めてみればいいじゃないか」とおっしゃる、そこのお客さん(誰だ?)、「幻想としてのユイファン」でも触れたがそれは今のところ無理がある。男性視点の女性キャラばかりで、既存ジェンダーに素直に同調できなかった私に共感できる女性キャラがほとんど見つからない。

私がFanFictionでシタフェイと同じくらい苦手と感じていたカップリングにシタユイがある。もっとも単純にシタユイが苦手と言ってしまうと語弊がある。確かにセクシュアルな関係としては特にときめきもしないが、原作の夫婦関係にある二人は嫌いでは無い。私もシタユイを書いているし、もともとシタン受けを書いている作家さんが書くシタユイには好きなものが多い。

苦手理由だが、やおい創作と同じように後天的にキャラに附加されるある攻め属性がダメなのだろうと自己分析をしている。(男女カップリング萌えのかたが描く)男女カップリング創作の場合、男性キャラには攻め属性が、女性キャラには受け属性が附加されることがほとどだ。男女カップリング創作をされているかたのほとんどはこのことに無自覚なように思う。

私がシタフェイのシタンが苦手なのは、それが原作に照らし合わせて間違っているとかいうのではなくシタフェイ作者さんが附加した攻め属性が苦手なのだ。もちろん攻め属性すべてが苦手ってことではなく、同じ攻めキャラとして描かれていても、シタラム、シタシグあたりがかなりOKだったりするのは、附加されている攻め属性の種類がシタフェイとは根本的に違うからだろう。

シタユイもそれとまったく同じだ。いわゆる恋愛をテーマとしたカップリング萌えのかたが描くシタユイのシタンに附加されている後天的属性がたぶんダメなのだ。附加される属性はシタフェイのシタンに極めて近いと感じている。

このことはネストリにもあてはまる。ネストリは自分でも書くし現作中のネストリは嫌いではない。だが、FanFictionのネストリで描かれるネスティもトリスも苦手なものが多かったりした。トリスの幼児化やネスティの雄化(トリスを押し倒したくて欲望が渦を巻いているネス(笑))というのはどうも受け入れられない。

もちろん、それが悪いとか間違っているとかいうことではない。ただ単に、私が「男性キャラに附加される攻め属性が苦手」であるに過ぎない。

こうして考えてみると、FanFictionでは男女カップリングにしてもやおいカップリングにしても、結果的に受け攻め解釈をを論点としてしまう、カップリング論争が不毛なわけだ。なぜなら、各自の幻想の中にのみ存在する、客観的には存在していない受け攻め属性について論じ合っているのだから。

夢のパートナーシップ幻想

やおいって男×男である以上、ジェンダーコンプレックスを意識させない夢のパートナーシップになれそうな気がした。だから、受け攻め属性を意識的に削ぎ落として中和してみることが理想に近づくとことだと思っていた。ところが、二人のバランスを完全に均衡にしてしまえば、そこにセクシュアルな記号を挟む余地がなくなり面白くもなんともない。

そして、どう頭を捻ろうが、私の受けキャラは対比の中ではあくまでも受けでしかない。というか、相対的に受けであるからこそ、ときめくというのは間違いないのだ。

受けキャラファンが、肉体的リバシにする等して、受けの乙女化を避けかっこよく描いたつもりでも、できあがってしまったものは相対的にはやはり受けでしかなかったりする。そのキャラが受けだというイメージを持っていない人が見れば、やはり乙女なんだろうなーと、思う。(自分の書いてきたものとか、試みたことを振り返って、思ったことではあるが、それが悪いとは今や思っていない)

そのことに拘ってみて、試行錯誤して挫折した上での、今現在の私の結論だ。

もちろん、それは自分の想像力の限界を感じての結論であって、そういったものが「存在しえない」と言っているわけではないので、誤解無きよう。

以上

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