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幻想としてのユイファン

今はひっこめてしまったが、前に「ユイ評」をアップしていた。その時、ユイというキャラを「ゼノギアスの女性キャラの中でも一番好きなキャラである」と書いた記憶がある。そこで、一番好きなカップリングはユイシタであるとも公言していた。そう信じ込んでいた。

が………、ごく一部の例外を除き、世のシタユイ創作はまずピンとくるものはなかった。そして、世のシタユイが駄目なのは、ただ単に、キャライメージが自分と違うからと考えていた。

ところが、某所のリレー小説のシタユイに参加してみて、『それは違う』と思いはじめた。

自分でイメージを膨らませてしまうと違和感を拭えない。つまり、ユイに対し具体的なイメージを持つこともできなかった。私の書いたバーツはあくまでも、自分好みの少女であり、ユイではない(もっとも、ゲーム中やPWに記述されている、最低限の情報とは矛盾ないようにはつくっているつもりなのだが、あまりにも情報が少ないからオリキャラにしないとセリフすら出てこないのだ)。だから、それをユイだと考えたとき、自分でも違和感がある。

そして、他の方が書かれたユイも、やはりその作者さん好みの少女でありゲーム中のユイとは繋がらず違和感を覚えずにはいられなかった。

何故ユイに対しイメージができないのか、あるきっかけから、ひらめき、あっさり納得してしまった。そこで導き出された答えは、実につまらないものだった。

そう、ユイは、シタンありきのキャラなのだ。

ガスパールの孫娘であり、武術の腕は夫並みというシタンの妻としての位置づけ。ところが、シタンを抜きにして考えたとき、ユイそのものがどういった意志を持っているのかがちらりでも見られるシーンや記述はゲーム中にもPWの中にもなかった。

私は、今までに数作品にユイを登場させている。その時のユイは、あくまでもシタンの妻としての言動をさせることしかできなかった。シタンの言動に対するリアクションはイメージできる。シタンとの夫婦の絆もはっきりとイメージできる。が、個としてのユイがシタンとは別の思惑でどう動くかはまったくイメージできなかった。これは、各人の想像力で組み立てることしかできない世界なのだ。

シタン抜きのユイをイメージしたとき、それはあまりにも虚ろなのだ。虚ろにしなければいけなかった。私にとって、決めてはいけないのことだった。そして、興味深いのは、二次創作をしない方々がシタユイ夫妻を表現するとき、「尻に敷く」「夫を立てながら、実はコントロールしている」「良妻賢母」「貞淑な妻」等の、古典的夫婦イメージを当てはめてしまうことだ。私個人はそういった手垢のついたジェンダー観は苦手ではある。

だが、たぶん、それは正解なのであろう。シタユイ生みの親にはそういったイメージがあるのではないだろうか。料理上手であるという設定がその拘りを感じさせる。ユイという女性が、自らの意志で何かを目指しているという姿はなかった。天帝からの密命を遂行しようとする夫を支えるということを第一優先に行動しているようにしか見えなかった。そこには、ひたすら夫を信じ、家庭を守りながら、子供を育てる内助の功に専念する古典的な妻の姿があるだけであった。

『ガスパールの孫であり、武術の腕はシタンと互角』という設定は一見、行動的で、新しい女性像であるかのように錯覚させる(たぶん、工作員、軍人、騎士、暗殺者等の設定で描かれるユイがそれにあたるのだろう)。が、それは、控えめで物静かな風情やら、料理上手(=家庭第一)といった古典的妻の美徳を持った上で、初めて許された能力なのだ。

美人で、高い能力を持っているに関わらず、あくまでも夫を陰で支える役に徹し、夫を信頼し、夫が(仕事で)家庭を顧みなくても、不満を漏らすことなく、家庭をけなげに守る姿。それは、「外で仕事をするのはいいけど、家事と子育てはきちんとやってほしい」という既婚男性の虫のいい願望を見せつけられているようで苦笑せざるを得ない。

エリィやマリアやエメラダや新エレの少女たちは未婚男性のドリームであり、ユイは既婚男性のドリームなのかもしれない。

では、ジェサイアの妻ラケルはどうだろうか。

実は、彼女に関して、PWを読む限りユイよりよほど情報は多い。ボディペインティングという趣味。ユーゲント出身であり、ゲブラーでのドライブ依存症治療の部門に配属されるはずだったこと。夫に対する進言。設定を読んだ限り夫を抜きにした意志を感じさせる。PWのラケルとユイの設定を読み比べたとき、ゲーム中に度々登場し、セリフもちゃんとあり、イベントもあったユイの方が、ラケルよりもつくり込まれていないのは明らかだ。もし、ページ数に限界があり、削らざるをえなかった設定やエピソードがあったとしたら、ほとんど準主役級のシタンの妻で、ゲーム中にちょくちょく登場するユイではなくて、顔アップイラストもなかったラケルの設定やらエピソードを削るのが普通ではないだろうか。たぶんユイに関して発表できる設定はさほど多くない。そこまでつくりこまれていないキャラなのだ。

男性視点のシタユイ夫妻。もしかすると、女性視点(アンチ男性視点との表現が正しいかも)で描かれたかもしれないたジェシラケ夫妻。ジェシラケ夫妻がもう少し語られていたとしたら面白かったかもしれない。が、それは、圧倒的多数である男性スタッフ(想像)の中から生まれるのは難しかったのかもしれない。

誤解のないように言っておくが、男性に夢を与えるユイや他の少女キャラや、シタユイ夫妻が悪いと言っているわけではない。キャラ設定はつくりこまれた方がいいと言っているわけでもない。古典的夫婦像がいけないと言っているわけでもない。それは、一つのキャラのつくり方であり、そういったキャラが魅力的に映る人も多いのだ。だから、女性のユイファンも確かに存在する。(これはエリィにもいえる)

女性比率が比較的高いと言われるRPGですら、やはり男性プレーヤー比率が圧倒的に高いという。また、製作スタッフも圧倒的に男性が多い。とすると、一時の夢を提供するゲーム中の女性キャラは男性視点ばりばりのものになるのはそれで飯食っていく以上、致し方ないというのは理解できるし、別に文句を言う筋ではない。しかし、私のように男性視点バリバリの女性キャラに魅力を感じない人間もかなりいると、断言できる。

私にとって、ゼノギアスの女性キャラの中で感情移入できるキャラはいなかった。ゼノギアスの中で描かれる恋愛観や夫婦観にも共感することはできなかった。かといって、ゼノの中の女性キャラが、嫌いではないし、好きといえば好きなのかもしれない。興味が持てないだけで。ということで、「シタユイ偽装結婚説」やら「フェイエリつくられたカップルだから愛し合っていない説」を推しはしない。いくら、ユイに魅力がないとはいえ、私にとってシタンを語るときこの夫妻の絆は切れない。好きなキャラの妻や恋人までが魅力的である必要もないのだ。

ユイは情報が少ない分、人によってはむしろ自由にイメージできるだろう。

想像力が豊かな方々にとってはとても、魅力的なキャラに仕立てるのは可能だろう。

しかし、私にはそこまでの想像力はない。そこまでも萌え心は残念ながら持っていない。そして、困ったことにそこまで想像力で膨らませてしまったユイに共感できない自分がいる。

私はよほどのことがない限り、独自の拡張キャラ設定は避けたいと思っている。PW以上のキャラ情報はなるべく、ぼかせるだけぼかすことにしている。そうでないと落ち着かないのだ。ゲーム中の会話から読みとれる情報を第一に、それで矛盾をきたすときにはPWを参考にし、そこから破綻ないようにストーリーをつくることしかできない。

私が捏造できるのは、せいぜい(やおいも含む)エピソードだけのようである。

さて、結論としては、私はユイを登場させたとしても、主役に近い位置に彼女を置くことはない。理解できないから書けないではない。触れたくないというのが本音だ。ユイというキャラを中心にストーリーをつくろうとすれば、ユイというキャラを膨らませなくてはいけない。だが、私にとって(私に都合のいいイメージであっても)膨らませてしまったユイはすでにゲーム中のユイではないのだ。どんなに、巧妙にやったとしても。そして、膨らませずに、ゲーム中で負わされた彼女の役目に忠実であればあろうとすれば、私にとって魅力のない女性として描かざるを得ない。

(自分にとって)魅力的な女性に描こうとすれば、ゲーム中のユイと違うものになり、ゲーム中の彼女と違和感ないように描こうとすれば、魅力的とは思えない。

ということで、どっちに転んでも書いていて楽しいキャラではない。

書けるのは、せいぜい、シタユイ夫妻の話だけである。が、シタユイの絆は、キス話で言いたいことはすべて言ってしまった。あれ以上、足すものも、削るものも何もない。

だから、二次創作に求めるモノは何もない。ユイという女性を無理やり穿りだそうという気になれないのだ。

そう、シタユイはある意味聖域なのかもしれない。

と、ここまで書いて!!!(←その前にここまで読み終えた暇人などいるのでしょうか)

「そんな、分かり切ったこと、何今頃気が付いているんだ! アホ!!」という罵声が聞こえてきたような気がします。いえ、まったくもってその通で。でも、すっきりしりしました。割と思い込みが激しかったのか、現実を直視していなかったらしいです。ようは、ユイが私にとって魅力的だと思っていたのは大きな勘違いだったということなんだけど。

最期に、言いたい。

男性ドリームの女性キャラが悪いとは言わない。でも、そればっかだと、感情移入できるキャラ及び、人間関係で固めた二次創作を(書く書かないは別にして)求めると、ヤオイにならざるを得ないじゃないか!!!〈魂の叫び(大嘘)

読む分には、ヤオイが今のところ一番楽しいです。〈結局それかい

ということで、まちがって「なるほど!」とか、思ってしまったかた。あまり真剣に受け取らないでくださいね。かなり、強引な屁理屈ではありますので。

以上

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