新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ
第95話
「さあっ、遅いからもう寝ましょうよ。」
部屋に入るなり、ユキはそう言いながら布団の中に入ろうとしたのよ。アンタねえ、何ふ
ざけたことを言ってるのよ。夜はこれからじゃないのよ。それが常識っていうもんでしょ
うに。
「ユキ、何を言うの?夜はこれからでしょ。」
アタシは、すこ~し凄味を効かせて言ったのよ。そしたら、ユキったら慌てちゃってさあ。
「え、ええっ。もう遅いから寝ましょうよ。ねえ、洞木さんもそう思いますよねえ。」
なんて言いながら縋るような目でヒカリを見たんだけれど、残念だったわね。ヒカリとは、
もう話はついているのよ。
「ユキ、アスカの言う通りよ。夜はこれからよ。」
「ひええっ~っ。そ、そんなあ~。明日の朝、起きられなくなりますよ~っ。」
ユキは思いっきり肩を落としていたわ。
***
「さあて、用意はいいかしら。」
「ええ、アスカ。お菓子にジュースでしょ。ちゃんと用意してあるわよ。」
「じゃあ、始めましょうか。」
そう、女の子だけになったんだから、積もる話をしないとね。でもね、最初は無難な話し
から始めるのが礼儀って言うもんよね。もっとも、口火を切ったのはヒカリだったわ。
「ねえ、アスカ。初めて入った温泉の感想は?」
ふむ、そうきたのね。本当に無難な話だわ。
「そうねえ、何か大勢でお風呂に入るのって楽しいわね。のんびりできるし、くつろげる
のもいいかしら。」
「そうですよね。温泉って、私大好きなんですよ。」
おかげで、ユキも話しに乗ってきたわ。
「ふうん。それで、ユキは温泉にまた入りたいと。」
「そうですね。また来たいですね。」
よし、ここからが本番ね。
「そうね、相田君と二人で来ればいいじゃない。2~3泊すれば?」
「な、何を言うんですか、惣流さん。からかうのはやめてくださいよ。」
あ~ら、ユキったら真っ赤になっちゃって。おっもしろ~い。
「そうよ、アスカ。ちょっとからかい過ぎじゃない。それに、不潔じゃない。」
あら、ヒカリったら、そういうことを言うのね。この、裏切り者。ちょっとお仕置きしち
ゃおうかしら。
「ふ~ん、ヒカリは鈴原君から二人っきりで旅行に誘われても断ると。それじゃあ、シン
ジ経由で鈴原君に伝えておくわ。」
「ま、待って。私が悪かったわ。まいった。」
まったく、もうっ。ヒカリったら、真っ青になって謝る位なら、そんなこと言わなければ
いいのに。
「分かったわ。シンジをけしかけて、鈴原君から旅行に誘うように仕向けようか。」
「ええっ、そんなことになったら困っちゃうわ。」
ううっ。ヒカリったら、今度は妄想の世界に入ったようね。不気味に体をくねらせだした
わ。ユキも、ちょっと体を引き気味にしだしたわ。こりゃあ、早いとここっちの世界に戻
さないよヤバイわね。
「ちょっと、ヒカリ。話はこれからでしょ。」
「はっ。ご、ごめんさい。」
ふうっ、ヒカリは案外簡単に復帰してくれたわ。これで話が進むわね。
「ねえ、ヒカリ。正直に言って。鈴原君と二人で旅行したいの?」
「そ、そりゃあ、したいわよ。でもね、私達はまだそんな仲じゃないし。難しいかしらね。
少なくても、中学生のうちは二人で旅行するのは難しいと思っているわ。」
「ふ~ん、て言う事は、したいのね。」
「そ、そういうアスカはどうなのよ。」
「べっつに~。だって、考えてもごらんなさいよ。アタシとシンジは、一緒に住んでいる
のよ。わざわざ二人で旅行する必要はないのよ。」
「でも、惣流さん。葛城さんていう保護者の方と同居してるんですよね。碇君と二人だけ
の時間なんて、あんまり無いんじゃないんですか。」
「そんなことはないわよ。ミサトは帰ってくるのは遅いし、帰って来ない日もたまにある
し。二人だけの時間て、結構多いわよ。」
「いいわね、アスカは。一緒に住んで、婚約までしているんだもの。他の女の子に取られ
る心配はないものね。」
う~ん、そうでもないけどね。紅い瞳の女神みたいな感じの女の子や、茶髪のハツラツ娘
なんかがライバルになる可能性があるのよね、これが。でも、ここでは言わない方が賢明
かしらね。話を合わせておこうかな。
「へへへっ、いいでしょ。羨ましい?」
「う~ん、正直言って羨ましいわ。」
はははっ、今日のヒカリはやけに素直じゃない。さあて、攻めるなら今がチャンスね。
「でも、ヒカリ。キスは毎日してるんでしょ。いいじゃない。」
「えっ。私、アスカにそんなこと言ったかしら。」
「ううん、言ってないわよ。でもね、鈴原君が相田君に得意気に言っているらしいのよ。
シンジの話しだと、俺はイインチョと毎日のようにキスしてるぞって。羨ましいだろって
相田君に言っているらしいのよ。」
「んもうっ、鈴原ったら口が軽いんだから。あれほど内緒にしようって約束したのに。」
なんて言いながら、ヒカリは頬をプリプリしたのよ。馬鹿ね、奥手の鈴原がそんなことを
言う分けがないのに。ひっかかったわね、ヒカリ。
「でもさあ、鈴原君は喜んでいるみたいだから、いいじゃない。」
「う~ん、まあ、そうね。」
あら、ヒカリったら今度はニコニコしだしたわ。まったく、顔の表情がころころ変わるこ
と。
「とまあ、ヒカリの惚気話はここまでにして、今度はユキの番よ。覚悟しなさいよね。」
「ひええ~っ。そんなの、ないですうっ。」
ユキの顔に冷や汗がタラーリと流れたけど、そんなの無視よ、無視。今日はなんとしても
ユキの本音を聞き出すわよ。アタシは、ユキに詰め寄っていったわ。
つづく(第96話へ)
目次(目次へ)
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あとがき
女の子だけになると、話題は尽きないようですが、今回のアスカの目的はユキのケンス
ケに対する気持ちを聞き出すことにあるようです。果たして、ユキはケンスケのことをど
う思っているのでしょうか。
2003.12.11 written by red-x
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