新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ
第90話
「惣流さん、言われたとおり４０回やりましたよ。」
ユキは、ちょっと恥ずかしそうな顔をして言ったわ。げえっ！ユキったら、本当に４０回
もニギニギしちゃったのよ。騙したアタシも驚いちゃったわ。
はっ。もしかしたら、もっと凄いことを言ってもやっちゃうんじゃないかしら。あ〜んな
ことや、こ〜んなことも。きゃっ、何ていやらしいのかしら、ユキったら。
なんて考えてる場合じゃないわね。本当にやったら大変なことになるし、シンジが自分に
もやってほしいなんて言ったらアタシにまで災難がふりかかるものね。とにかく、これで
おしまいにしないといけないわね。
「そ、そう。良くやったわ。これで、二人のコンビネーションは数段良くなるわね。」
アタシはそう言いながら、そうっとヒカリの方を見たんだけど、二人の世界に入っていて、
こっちのことには気付かなかったみたい。ふうっ、良かったわ。ヒカリに気付かれたら、
絶叫どころじゃ済まなかったわよね、きっと。さあてと、後はユキを上手く丸め込むだけ
よね。
「コンビネーション以外にも、重要なことがあるのよ。それをこれから教えてあげるわ。」
「は、はい。お願いします。」
「それじゃあ、手は元の位置に戻してね。」
「は、はい。」
「相田君も良く聞いてね。」
「う、うん。」
相田の顔は、未だに惚けているわ。まっ、しょうがないわね。でも、アタシに感謝しなさ
いよね。とっても良い思いをしたんだから。
それからアタシは、適当なことを言ってその場を上手くごまかしたわ。それからしばらく
して、アタシとシンジ以外は部屋に戻ったの。シンジが絶対に大丈夫だって言うから、さ
っきと同じくシンジと二人で残ったのよ。
でも、ちょっと嫌な予感がしたんだけどね。
＊＊＊
「ちょ、ちょっと、やめてよっ！」
「お、お願いだよ、アスカ。ちょ、ちょこっとだけだから。」
「ちょこっとでも駄目っ。」
「先っぽだけでも。」
「それも駄目よっ！」
「ねえ、お願いだよ。頼むよおっ。」
「嫌って言ったら、嫌なのよっ！」
「いいよ、もう止まらないから。」
「ちょ、ちょっと、シンジ。止めなさいよねっ！」
「ア、アスカが綺麗で、魅力的だからいけないんだよ。ぼ、僕が悪いんじゃないんだ。」
「ちょっと〜っ、やめなさいよねっ！」
そう、シンジは再びケダモノと化して、アタシに襲いかかってきたのよ。でも、アタシも
油断したわ。シンジが絶対に大丈夫だって言うから、今度は大丈夫だと思ったんだけど、
やっぱりシンジは襲いかかってきたのよね。
＊＊＊
「アスカ、ごめん…。」
「もうっ、さっきと同じね。何でも謝ればいいと思ってないでしょうね。」
アタシはシンジを睨み付けた。今度は、シンジが正気に戻るまで１０分かかったの。さっ
きよりも５分ほど短かったから、少しましって言えるのかしら。その間、アタシはさっき
と同じくシンジの攻撃を何とかしのぎきったわ。
「ごめん、本当にごめん…。」
シンジはそう言いながら俯いたわ。反省しているように見えるけど、さっきと同じだから
今度は信用出来ないわね。
「ふんっ！今度はただじゃ許さないわよ。」
アタシは、シンジの体の一部を思いっきりつねろうとしたわ。でも、シンジが股間を押さ
えながら悶絶する光景が目に浮かんで思い止まったの。そんなことして、トラウマにでも
なったらまずいじゃあない。だから、お尻をつねったの。
「いったーいっ！」
シンジは涙を流していたけど、まあ、これくらいの罰が丁度いいかもね。でもね、そのう
ちシンジは本格的に泣き出しちゃったのよ。
「ううっ…。ひっく、ひっく…。」
「ど、どうしたのよ、シンジ。」
「だってさ…、だってさ…、ケンスケなんか付き合って間もないっていうのに…、あんな
いいことしてもらってさ…。僕なんか…、婚約までしてるのに…、お尻をつねられてさ…、
泣いてさ…、あんまりにも惨めでさ…。やっぱり…、僕なんて…、どうでもいいって思わ
れてるのかなって…。」
くぉらあーっ！男の子でしょ！しっかりせいーっ！
なんて言いたいけど、今言ったら逆効果になるわね、きっと。しっかし、こいつは本当に
お子ちゃまね。情けないし、直ぐに泣くし、どうしょうもない奴よね。
こんな情けない奴は、ボッコボコにして、根性を叩き直すのが一番いいんだけどね。でも、
アタシがやるのはまずいわね。今のシンジにそんなことをしたら、シンジはアタシに嫌わ
れたと勘違いして身投げするわね、間違いなく。でも、他の人間にシンジをボコボコにさ
せるのは嫌だし。
そうなると、方法は限られてくるわね。あ〜あ、失敗したわね。本当に、口は災いの元っ
て言うらしいけど、その通りだわ。ユキにあんなことを言わなければ良かったわ。でも、
しょうがない。シンジを慰めないと、悪い方向に行きそうだわ。
アタシは、意を決してシンジに優しく言葉をかけたわ。
「ごめんね、シンジ。痛かった？でもね、シンジも悪いんだよ。いきなりエッチなことを
するんだもん。」
「でもさ…、もっと優しくしてくれてもさ…、いいじゃないか…。」
「優しくって、どうすればいいの？」
「そうだね…、例えばさ…、森川さんと同じことをしてくれるとか…。」
くぉのやろーっ！
アタシは、シンジを逆さ釣りにして、ボッコボコにしてやりたい衝動に駆られたわ。でも、
我慢、我慢。アタシは、自分にそう言い聞かせたの。
「そうすると、シンジはどう思うの？」
「とってもさ…、嬉しいよ…。アスカがさ…、僕のことをさ…、好きなのかなってさ…、
そう思うようになると思うよ…。」
ふんざけやがってーっ！くぉの、ぶぁかやろーっ！
だが、アタシは理性を総動員して心を落ち着かせた。全ては人類のため、世界平和のため、
アタシは繰り返しそう自分に言い聞かせたの。そして、炎のように怒っていながら、聖母
のような優しい声で応えたわ。
「わかったわ。でもね、お願いがあるの。」
「えっ、なあに。」
「アタシのこと、好きとか、愛してるとか言ってほしいの。」
アタシはそう言いながら、顔を少し赤くしたわ。まあ、女の子なら誰しもこれくらいの演
技は、お茶の子さいさいだけどね。
「う、うん。ア、アスカ。大好きだよ、世界で一番愛してるよ…。」
このスケベバカは、アタシの演技に気付いていないようね。でも、好きって言われて少し
良い気分になったけどね。
「嬉しい…。いいわ、ちょっと向こうを向いて。」
「う、うん。」
シンジが向こうを向いた隙に、アタシはシンジの背中に抱きついたの。
「恥ずかしいから、こっちを向かないでね。お願いね、シンジ。」
「う、うん。」
「それじゃあ、始めるわよ。」
「ああっ。」
始めた途端、シンジの体がピクリと震えたわ。
つづく（第91話へ）
目次（目次へ）
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あとがき
口は災いの元。ユキを騙したアスカに、天罰が下ったようです。でも、シンジ。とって
もいい思いをしています。
2003.10.24 written by red-x