新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ
第79話
「ミサト!出てきなさいよっ!いるのは分かっているのよっ!」
アタシは、もう一度大声で叫んだの。そうしたらね、岩陰から恥ずかしそうにミサトが出
てきたのよ。そう、ひょっこりとね。
「あらやだ、アスカったら。いつから気付いていたのよ。」
「最初っからよ。それよりも、こいつらの後始末をお願いね。」
な~んてね。本当に近くにいるなんて思わなかったわ。加持さんからそれらしきことを聞
いていたけど、まさかこんなに近くにいるなんて思いもよらなかったわ。
「あはははっ。アスカも随分派手にやったわね。まあ、いいわ。後は何とかするわ。で、
当て身でも食らわせて気絶させたの?」
「ううん、違うわよ。こいつらの両手両足の骨を叩き折っておいたわ。」
「ちょ、ちょっと、アスカ。それっていくら何でもやりすぎじゃない。」
ミサトの顔が少し青くなったわ。何よ、甘いこと言って。
「あのねえ、こいつらはシンジを殺そうとしたのよ。生かしてやっただけありがたいと思
ってもらわなくちゃ。」
「で、でもね、少~しやりすぎたと思わない。」
むっ。ミサト、アンタは甘い。そんな甘い態度が悪い奴らを増長させるのよ。
「いいえ、全然思わないわ。その証拠に、一人くらい息の根止めてもいいわよ。」
「ちょっと待って、アスカ。分かったから、それだけはやめてよ。」
あら、ミサトったら顔が真っ青よ。一体どうしたのよ。
「簡単よ。こいつら動けないから、顔を水につけておけば5分で死ぬわよ。試してみよう
か。」
そうよね、こいつらなんて生かしておく価値なんてないわよね。
「ア、アスカ。あなた、そんなに怒っているの?」
「ミサトだって、加持さんが同じ目に遭わされたら怒るでしょ?」
「そりゃあそうだけど。アスカ、頼むから落ち着いてよ。」
「アタシは落ち着いているわよ。落ち着いていないのは、ミサトじゃない。」
「そ、そうかしら。まあ、とにかく後は私に任せてちょうだい。アスカには、シンちゃん
をお願いするわ。」
「ええ、いいわよ。じゃあ、任せたわよ。」
アタシはそう言って、シンジを抱えて歩き出したわ。
***
「あっ、アスカ。一体どうしたの。」
少し歩いたら、シンジが目を覚ましたわ。ふうっ、良かったあ。大した怪我が無いって分か
っていたんだけど、それでも心配だったのよね。でも、目を覚ましたんなら一応大丈夫って
いうことよね。これで一安心だわ。
「あっ、シンジ。目を覚ましたの。良かった、心配したんだから。」
「えっ、どうして?」
もう、こいつったら、覚えていないのかしら。まあ、いいわ。そっちの方がアタシにとって
も都合がいいものね。
「シンジは転んで頭を打って気絶していたのよ。だから大人しくしてね。」
「ええっ、恥ずかしいよ。」
「いいから、アタシの言うことを聞きなさい。」
「う、うん。」
アタシが少し大きな声を出したら、シンジは黙ったの。それからアタシはシンジを抱えて、
みんなのところに向かったわ。
***
どれどれ、ヒカリ達はどうしているかしらね。アタシは少し離れたところで立ち止まって、
ちょっと様子を見たのよ。そうしたらね、ヒカリと鈴原が並んで眠っていたのよ。
「見てよ、シンジ。二人とも眠っているみたいよ。」
「そうだね。お邪魔しちゃあ、まずいかな。」
「そんなことないわよ。シンジも隣で寝るのよ。」
「え~っ、そんなの嫌だよ。」
「じゃあ、ホテルに戻って寝る?」
「それも何か嫌だな。」
「じゃあどうするの?」
「やっぱりちょっと休むよ。アスカの言う通りにする。」
「最初からそう言いなさいよ。」
アタシはヒカリ達のところまで歩いていって、鈴原が寝ている横にシンジをそっと降ろした
の。そうして、アタシもシンジの隣で横になったわ。
「アタシも少し休むわ。」
「うん、アスカ。そうしようよ。」
こうして、アタシ達は束の間の眠りにつこうとしたの。でもね、ちょっと閃くものがあった
から、起き上がったのよ。
「そうだ、いいこと考えたわ。」
アタシは、ヒカリのところに行って、ちょっとした悪さをしたの。
***
「ねえ、アスカ。起きてよ。」
う~ん、誰よ。アタシの安眠を妨げるのは。
「ねえ、アスカ。起きてよ~。」
はっ。この声はシンジね。アタシは、少しずつ目を開いたわ。
「あっ、アスカ。起きてくれたんだ。さっきトウジ達とも話したんだけど、ちょっと早い
けどホテルに戻って、温泉にでも入ろうって話しになったんだけど、アスカはそれでもい
いかな。」
「ヒカリは何て言ってるの。」
「どうも、洞木さんが言い出したらしいんだ。」
「そうなの。じゃあ、いいわよ。でも、ユキは戻ったの?」
「うん、ケンスケと一緒に戻ったよ。」
あら、二人きりでいたわけね。うん、いいことだわ。
「じゃあ、行きましょうか。」
アタシはそう言ってからヒカリを見たけど、ヒカリの頬が少し赤かったことを見逃さなか
ったわ。
つづく(第80話へ)
目次(目次へ)
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あとがき
どうやらシンジに異常は無かったようです。アスカも安心して眠ることができたようで
す。でも、アスカの言う悪さって、一体なんでしょうか。
2003.7.15 written by red-x
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