新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第52話

「ねえねえ、シンジ。もっと良く見てよ。」 アタシは、買い物が終わって家に帰った後、シンジの前でテニスウエアをとっかえひっか えしていたわ。シンジに見てもらって、一杯褒めてもらおうって思ったからよ。女の子の 当然の権利よね、これは。 「う、うん。」 でもね、シンジったら気のない返事しかしないのよ。一体、どうしたのかしら。 「どう?似合うかしら?」 アタシは、ちょっとむっとしたけど、我慢して聞いてみたの。 「うん、とっ、とっても似合うよ。」 う〜ん、やっぱり何か、心がこもっていないのよねえ。 「可愛いって思う?」 でもね、少し辛抱して聞いてみたの。 「う、うん、思うよ。」 むうっ。シンジったら、生返事ばかりして、しょうがないんだから。それに、アタシの方 を見ていないし。せっかく、アタシのなま足を拝めるっていうのにさ。 「どれくらい可愛いって思うの。」 むうっ。ちょっとからかってやろうかしら。 「とっても。」 もう、シンジったら、まだアタシから目をそらしているわ。 「押し倒したいと思うくらい、可愛い?」 さあて、どう答えるかしら。 「うん、そう思うよ。」 ふふふっ。引っかかったわね。 「きゃっ!シンジのドスケベ!」 「えっ、なっ、なんでだよ。」 「だって、今、アタシを押し倒したいって言ったじゃない。」 あら、シンジの顔が真っ赤になっていくわ。 「そ、そ、そ、そんなこと、言ってないよ。」 「だって、アタシが押し倒したいって聞いたら、うんって言ったじゃない。」 「そ、そんなの、聞いてないよ。」 「何よ、アタシの言うことを聞いていなかったの?」 「そ、そうじゃないけど。」 「じゃあ、聞いてたのね。」 「う、うん。」 「じゃあ、やっぱり、アタシのことを押し倒したいって思っていたのね。あ〜あ、シンジっ たら、紳士だと思っていたけど、実はケダモノだったのね。」 ケッケッケッ。シンジの顔はさらに赤くなっていくわ。 「ち、違うよ。」 「ケダモノ!」 ふふふっ、面白〜い。 「違うったら!」 「違うの?」 「うん、違うよ。」 シンジはやけに力を込めて言ったのよ。 「なあんだ、がっかり。」 「えっ、いっ、今、なんて言ったの。」 あら、今度は大慌てね。 「なんでもなあい。」 ふん、ちゃんと聞かなかったのが悪いのよ。 「えっ、教えてよ。」 まあ、困ったような顔をして。いい気味だわ。 「やあなこった。」 アタシは、シンジにアカンベーをしてやったわ。 「そんなあ、意地悪しないでよ。」 「だってさ。シンジったら、アタシのこと、ちゃんと見てくれないんだもん。」 アタシは、頬を膨らませて、プリプリしてやったわ。 「だ、だって、しょうがないよ。アスカが綺麗すぎるんだよ。」 シンジは、蚊の鳴くような声でそう言ったの。 「えっ、なあに。聞こえなかったわ。」 あら、シンジったらなんて正直者なのかしら。アタシは、思わず顔がニンマリしそうになっ たわ。やっぱり、アタシも女の子だもの。綺麗って言われて、嬉しくないわけがないじゃな い。下心があって言うような人からだと嬉しくないけど、シンジはそうじゃないもの。 「だから、アスカが綺麗すぎるし、そ、その、足なんかもなんて言うか、まぶしいっていう のか、とにかくじっと見ていられないんだよ。」 「えっ、それ、ホント?」 「う、うん。本当だよ。」 アタシは、シンジをもっとからかってやろうかとも思ったけど、やりすぎるとまずいと思い なおしたの。 「でもね、シンジ。アタシは、ちゃんと見てくれた方が嬉しいの。アタシだって、足を見せ るのは恥ずかしいけど、シンジだから見せるのよ。そこんとこを、分かって欲しいのよ。」 な〜んて言いながら、恥ずかしそうにして少しうつむいたのよ。ここで、変なことを言った ら逆効果なのよね。だから、アタシは慎重に言葉を選んだのよ。 「ご、ごめん。そうだよね、見る方よりも、見られる方が恥ずかしいよね。わ、分かったよ、 ちゃんと見るよ。」 そう言って、シンジは顔を上げて、アタシの方をじっと見つめたの。 「き、綺麗だよ、アスカ。まるで、妖精みたいだ。」 「あ、ありがとう。シンジ。」 あら、アタシの顔も赤くなっちゃったようね。もう、シンジったら、口がうまいのね。 「本当に、綺麗だよ。アスカって、こんなに綺麗だったんだね。」 「じゃあ、他のも見てね。着替えるから、ちょっと向こうを見てて。」 「えっ、外に出ていようか。」 「良いのよ、別に。」 「でも、ちらっと見ちゃうかもしれないよ。」 「なに言ってるのよ。アタシの裸をぜ〜んぶ見た人が。」 「あっ、そ、そうだったね。」 シンジは、またもや顔が赤くなっちゃったわ。で、後ろを向いたの。で、その間にアタシは さっさと着替えたの。 「いいわよ、シンジ。今度のはどうかしら。」 「う、うん。あっ、今度は女神みたいだ。」 ちょ、ちょっと、シンジったら。もっと言いようはないのかしら。でも、悪くはないけどね。 こうして、シンジに何度もテニスウエアを見せていたら、シンジが急に鼻を押さえたのよ。 「ど、どうしたの、シンジ。」 「うっ、鼻血が出たみたい。」 「大丈夫?」 アタシは、急いでシンジをベッドに寝かせたの。 「一体、どうしたっていうのよ。」 「ア、アスカの足が綺麗だから、つい、興奮しちゃったみたいなんだ。」 「そう、病気じゃないのね。良かった、心配させないでよね。」 「ア、アスカ。」 「何よ。」 「み、見えてるよ。」 「何が?」 「む、胸が…。」 あら、いやだ。腰をかがめてシンジの様子を見ていたら、角度が丁度良かったらしくて、 アタシのちょっと大きめの胸が、シンジにばっちり見えていたらしいのよ。 「なによ。毎日見てるじゃない。」 そう、アタシ達は毎日心臓マッサージの練習をしているから、その時にシンジはアタシの 胸を見ているのよ。 「で、でも、あれは心臓マッサージの練習だし、心の準備も出来ているし。」 「もう、分かったわよ。」 アタシは、シンジに胸が見えないように立ち上がったわ。 「ア、アスカ。み、見えてるよ。」 「何よ、今度はなあに?もう、胸は見えないはずよ。」 「ス、スコートの中身。」 「なに言ってるのよ。昨日も言ったでしょ。これは、見せても平気なのよ。」 「でも、アスカ。下に何もはいていないんだけど。」 「ええっ!うそっ!」 アタシは、驚いてスコートをめくって見てみたの。そうしたら、シンジの言う通り、何も はいていなかったのよ。 「ア、アスカ。ま、丸見え…。」 あら、いやだ。シンジは気絶しちゃったわ。はあっ、本当にいやになっちゃうような大失 敗だわ。でも、シンジには見られたことがあるし、まあいいわ。 でもね、シンジはしばらく目を覚まさなかったのよ。 つづく(第53話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  以前アスカの裸を見たことがあるとはいえ、チラリ程度だったわけですし。今回のは、 ちょっとシンジには、刺激が強かったみたいですね。 2002.12.22  written by red-x



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