新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第39話

相田は途端に小さな声でこう言ったの。 「お、お、お、俺の好きな子は、も、も、森川さんだよ。」 あら、嫌だ。アタシったら、アタシを騙すための嘘かと思っていたのに、この分だと本当 かもしれないわね。相田は俯いて、顔は真っ赤っかになっちゃったし。もう一方の森川さ んも、真っ赤になって固まっちゃったし。 この瞬間、アタシ達の周りに、木枯らしが吹いたような、そんな感じがしたわ。 *** 「あら、そうなの。で、森川さんはどうなの?」 え〜い、こうなったら破れかぶれよ。アタシは、森川さんにストレートに聞いてみたわ。 「えっ、私は、その、…。」 え〜い、じれったいわね。アタシは、良いことを思いついたの。 「あら、相田君のことが大嫌いなのね。ごめんなさいね、嫌なことを聞いちゃって。」 「い、いえ、嫌いっていう訳じゃあ。」 森川さんは、途端に慌てたわ。少しは脈がありそうね。 「じゃあ、決まりね。森川さんは、アタシ達と一緒にお昼を食べたり、遊んだりするグル ープに入ること。アタシやシンジ達は、テニス部に入ること。それで良いわよね。」 アタシは、ニッコリ笑って超能力を使ったわ。そう、『エンジェル・フェイス』をね。こ れは、男に効果が有るんだけど、女の子に対しても、少しは効果があるのよ。その証拠に、 森川さんはアタシの方を見て、真っ赤になったわ。 「えっ、一緒にお昼を食べたりするんですか。」 「ええ、そうよ。それとも、アタシ達と一緒じゃ嫌かしら。」 「いいえ、そんなことはありません。惣流さんみたいな綺麗な人と一緒にお昼を食べられ るなんて、とても嬉しいです。」 あら、何て正直な子だこと。それに、上手く話をそらしたのに気付かれなかったようね。 「じゃあ、早速明日から一緒に食べましょうよ。良いわね?」 「は、はい。」 「それから、テニス部に顔を出すのは、明日からでいいかしら。それとも、今日が良いか しら。」 「も、もちろん、今日からが良いです。」 「そう。じゃあ、相田君は、鈴原君を説得してちょうだい。5人一緒に出たいから。」 「えっ、あっ、ああ。えっ、でも5人って、一体?」 相田ったら、急に話しかけられて、混乱しているみたい。しょうがないわねえ。 「何言ってるのよ。アタシにシンジにヒカリに鈴原君と相田君でしょ。」 「えっ、俺もかよ。」 「だって、鈴原君や相田君が一緒じゃなきゃ、シンジは行かないって言うかもしれないじ ゃない。だったら、アタシも行かないわ。とにかく、鈴原君を説得でもなんでもしてよ。」 「あっ、ああ。分かったよ。」 相田は、さっさと鈴原のところに行って、少し話し込んでいたけど、どうやら説得された ようね。『しゃあねえなあ。』なんて言っていたもの。 で、相田はこっちに戻ってきたわ。 「トウジはOKだって。これでいいかな。」 「ええ、上出来ね。」 こうして、アタシ達5人は、テニス部に入ることになったの。ミサトの許可をとる必要が あるけど、後回しでにしても多分大丈夫でしょ。 で、アタシ達はテニスコートに向かったの。 *** 「今日から、2年生5人が入部することになりました。では、自己紹介をお願いします。」 「2年A組の、鈴原トウジや。皆さん、よろしゅう頼んます。」 「同じく2年A組の、相田ケンスケです。よろしくお願いします。」 相田があいさつしたら、女子部員が少しキツイ目をしたわ。相田ったら、女子の中では評 判が悪いのね。 「同じく2年A組の、碇シンジです。よろしくお願いします。」 あら、今度は男子がキツイ目をしたわ。やっぱりアタシが原因かしら。 「同じく2年A組の、洞木ヒカリです。よろしくお願いします。」 今度は、男子どもはニコニコしちゃって。男って分かりやすいわねえ。 「同じく2年A組の、惣流・アスカ・ラングレーです。よろしくお願いします。」 アタシは、ニッコリ笑ってあいさつしたわ。そうしたら、男子がニヤニヤして、女子の一 部が頬を赤く染めたの。あら、やだわ。アタシはリツコやマヤと違って、ノーマルなんだ から。絶対にズーレは嫌だわ。 「今日は、この5人は1時間ほどの見学とします。では、練習を始めてください。」 部長の言葉に従って、部員達は練習を始めたわ。どれどれ、部員は結構いるわね。全部で 30人ていうところかしら。 「じゃあ、皆さんはこちらに来てください。」 アタシ達はコートの外にあるベンチに座らされて、男子部長の北岡さんと女子部長の石田 さんから、部活についての説明を受けたの。 アタシは、自分とシンジが毎日練習に参加するのは難しいことや、この市から外に出られ ないことなど、正直に話したわ。最初は驚いていた2人も、ネルフのIDを見て、ようや く納得したみたい。 偶然なんだけど、北岡さんのお父さんがネルフ保安部にいるんですって。だから、ネルフ のやっていることについては、ある程度知っているみたい。そんな訳で、話はスムーズに 進んだのよ。 でもね、アタシが譲れない条件として、試合の時はシンジとのダブルスに限るって言った ら、さすがに渋ったのよ。でも、無理に押し通したの。だって、シンジと一緒にダブルス を組んでおけば、戦闘の時にも応用しやすいじゃない。 何て言うのかしら。あうんの呼吸っていう奴かしら。アタシが最初は乗り気じゃなかった テニス部への入部を前向きに考えたのは、そういう理由があるからよ。そうじゃなきゃ、 ミサトを言いくるめられないわ。じゃなくて説得出来ないじゃない。 こうして、アタシは色々な条件を認めてもらって、テニス部に正式に入部したのよ。 *** 「はあ、何でワイがテニスなんてやらなあかんのや。」 帰り道で、鈴原がぼやいたわ。でも、それを聞いて血相を変えた相田が、説得にかかった のよ。小さな声でね。 (トウジ、頼むよ。テニス部に好きな子がいるんだよ。だから協力してよ。) (まあ、ケンスケがそこまでゆうんなら、しゃあないか。) それを聞いて、アタシは閃いたの。 「ねえ、みんな。今度の土曜日に、テニスウエアを買いに行きましょうよ。」 ふっふっふっ。アタシったら、何て頭が働くのかしら。アタシの頭の中で、様々な陰謀− じゃなくて良い考え−が浮かんでいたわ。 つづく(第40話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  ケンスケの恋は、成就するのでしょうか。ケンスケの告白についての返事はありません でしたが、断られもしなかったので、ケンスケにとっては一歩前進でしょう。あとは、ア スカがどう料理するかでしょう。 2002.9.24  written by red-x



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