新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ
第40話
「さあて、ヒカリ。今日はちょっと付き合ってよ。それと、シンジにちょっとお願いがあ
るんだけど。」
「えっ、なあに。」
「あのね、(こしょこしょ…)。」
アタシはシンジに内緒話をしたの。
「ああ、分かったよ。任せておいて。」
シンジは頷いたわ。こうして、アタシはシンジと別行動を取ったの。
***
「ねえ、アスカ。一体どこへ行くの?」
アタシがずんずんと歩いて行くもんだから、ヒカリは少し心配になったらしく、不安そう
に聞いてきたわ。でも、目的地に着くと呆気に取られたみたい。
「こ、ここって、スーパーよね。」
「ええ、そうよ。」
「でも、一体どうして?」
「今度の日曜日にお料理の練習会をするでしょ。だから、どういうものを買うのか、目星
を付けておくのよ。」
「でも、買いに行くのは、鈴原と相田でしょ。」
「何言ってるのよ。そうしたら、ヒカリと鈴原君が一緒の時間が減るでしょ。それでも良
いの?」
「えっ。」
「良くないわよね?だから、買い物はヒカリと鈴原の2人なの。相田はうまく引き止める
から、後は上手くやりなさいよ。」
「う、うん。ありがと、アスカ。」
ヒカリの顔は、真っ赤になった。
***
「ねえ、ミサト。良いでしょ?」
「う〜ん、どうしようかなあ。」
晩御飯が終わってから、アタシはミサトにテニス部入部の許可をもらおうとしたけど、ミ
サトが素直にウンと言わないのよ。ん、も〜、ケチねえ。
「しょうがないわねえ。エビチュ1ケースで良い?」
「えへへっ。悪いわね。」
ニンマリするミサト。本当にしょうがないわね、このビール腹星人は。
「でも、エヴァンゲリオンの訓練の一環っていうのは本当なのよ。2人で戦うタイミング
を掴むのに、テニスのダブルスはうってつけだと思うし、シンジも訓練だと思わずに、気
楽に出来るから、長続きするじゃない。」
「はいはい、分かったわよ。許可するわよ。」
「ありがとね、ミサト。」
良し、これで後顧の憂いは無くなったわ。ミサトのお墨付きがあれば、後で誰かから文句
が出ても多分大丈夫ね。アタシは安心してシンジと学生生活を謳歌出来るっていう訳よ。
じゃなくて、訓練に専念出来るのよ。
「じゃあ、シンジも良いわね。」
「うん、もちろんだよ。あんな所で訓練するよりも、ずっと良いもの。」
「で、あの2人にはちゃんと言ってくれたの?」
「うん。トウジもケンスケも喜んでいたよ。」
「まあ、そうでしょうね。あとは、アタシが森川さんにOKをもらえば良いのね?」
「そうだね。」
アタシがシンジと話始めたら、ミサトが興味津々ていう感じの顔になったわ。
「何の話よ?お姉さんにも教えてよ。」
「どうする、アスカ。」
「言っても良いんじゃない。」
「実は、今度の日曜日にお料理会をすることになったんです。それで、アスカの発案で、
明日に女の子3人がお弁当を2人分作ることになったんですよ。」
「へえ、面白そうじゃない。」
ミサトの目が少し輝いたわ。ちょっと危険な香りがするわ。でも、大丈夫。加持さんに頼
んで、その日はミサトをデートに誘ってもらうことにしてあるから。
「でも、アタシはその日は都合が悪いのよねえ。後で話だけでも聞かせてよ。」
「ええ、良いですよ。」
良かった。加持さんは、アタシの頼みを聞いてくれたようね。
「で、どうだった、新しい学校は。2人とも、話を聞く限りでは、お友達も出来て、部活
にも入って、青春を謳歌しているっていう感じだけど。」
「ええ、良かったです。最初はどうなることかと思いましたけど。」
「うん、何があったの?」
「えっと、アスカ。言ってもいいかな?」
何よ、そこまで言ったら、駄目だとは言えないじゃない。
「うん、良いわよ。」
「実は、最初のあいさつの時に、アスカが婚約していることを話しちゃったんです。だか
ら、クラスの男子の目が凄く痛くて。」
「あっら〜、やるじゃない、アスカ。『シンジはアタシのものよ。』っていう感じね。」
「そ、そうじゃないわよ。シンジが変な女に引っかかるとまずいと思って。」
「アスカったら、素直じゃないのね。」
「でも、友達が出来たのは、アスカのお蔭なんです。アスカが面倒見の良さそうな女の子
に校内を案内してもらったんですが、その時に、男子も必要だからって、アスカが男子に
声をかけてくれたんです。トウジっていうんですけど、なかなかいい奴でした。」
「あら〜、アスカったら、そこまで面倒見たの?」
「まあ、否定はしないけどね。でも、それだけじゃないのよ。シンジは気付かなかったけ
ど、その女の子が好きなのがそのトウジって子なのよ。だからお願いしたのよ。」
「ええっ!洞木さんが、トウジのことを好きだって!」
「な〜によ、シンちゃん。気がつかなかったの?」
「う、うん。全然気付かなかったよ。」
「はあ〜っ。やっぱり、シンジは鈍いわね。それじゃあ、相田が森川さんのことを好きだ
なんて、気付いていないでしょう?」
「ええっ!どうしてそんなことが分かるんだよ?」
「ミサト、聞いた?」
「あははははっ。シンちゃん、もう少し恋愛には気をつけないとね。そんなんじゃ、アス
カに飽きられちゃうわよ。」
「ええっ。」
シンジは、その瞬間、涙目になったわ。
「馬鹿言わないでよ、ミサト。そんなことはないからね、シンジ。アタシは絶対に自分か
らはシンジを裏切らないから。シンジは、アタシに何があっても見捨てないわよね?」
「うん、もちろんだよ。」
「うわあ、暑っついわねえ。良いわね、若いって。」
「ふん、泣き虫が何を言うのよ。」
「あっ、アスカ。それは言わないでよ。」
「アンタが先に言ったんでしょうが。」
「わ、悪かったわよ。ごめん、アスカ。」
「じゃあ、許してあげるけど。二度と変なことは言わないでよね。」
「はい、はい。分かったわよ。」
こうして、色々とあったけど、アタシのシンジの転校は、無事に終わったの。そして、
これからは、優雅にテニスもしながら、学生生活を楽しまなくちゃ。それが、シンジの
ためだし、人類のためですものね。
…という訳で、第2部「婚約…そして転校へ」終了よ。
でも、まだまだ続くわよっ!
つづく(第41話へ)
目次(目次へ)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あとがき
ようやく、アスカとシンジの転校が無事に終わりました。ちょっとした失敗はありまし
たが、3バカトリオは結成されましたし、ヒカリ+1で、男女比も1対1になりました。
これから、明るい学生生活が待っているのか、それとも無残に崩れさるのか。それはじき
に明らかになるでしょう。
2002.10.1 written by red-x